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クラボウ Research Memo(7):注力事業へ経営資源を集中し、事業ポートフォリオ改革をさらに加速する方針(2)
配信日時:2025/07/25 11:07
配信元:FISCO
*11:07JST クラボウ Research Memo(7):注力事業へ経営資源を集中し、事業ポートフォリオ改革をさらに加速する方針(2)
■クラボウ<3106>の新中期経営計画の概要
4. 各事業セグメントの見通し
(1) 化成品事業
2028年3月期の売上高740億円(平均成長率3.9%)、セグメント利益60億円(同6.1%)を計画している。半導体やエネルギー関連市場へ向けた高機能プロダクツ事業(高機能樹脂製品、機能フィルム)への経営資源集中と事業拡大加速を進めるとともに、自動車や住宅関連市場向け産業マテリアル分野における新規ビジネスの展開と市場への深耕を図る。半導体製造関連向けは初年度である2026年3月期に調整局面を見込むものの、その後大きく伸長する見通しである。利益率は、高収益の高機能樹脂製品の伸びにより8.1%(2025年3月期比0.5ポイント上昇)に改善する想定だ。
(2) 繊維事業
2028年3月期の売上高490億円(平均成長率0.3%)、セグメント利益12億円(同152.0%)を計画している。厳しい事業環境(価格競争の激化等)が続くなか、独自技術の開発強化と付加価値向上を進めるともに、海外拠点への設備投資を通して競争力を高め、グローバルサプライチェーンの整備・拡大を進める。初年度である2026年3月期に構造改革費用を見込むものの、その後、構造改革効果や独自技術製品の強化、グローバルサプライチェーンの拡大等により収益の底上げを図る。利益率は、まずは2.4%(2025年3月期比2.2ポイント上昇)に改善させる想定だ。
(3) 環境メカトロニクス事業
2028年3月期の売上高270億円(平均成長率7.2%)、セグメント利益40億円(同6.2%)を計画している。注力領域である半導体製造関連事業、並びにライフサイエンス・テクノロジー事業の成長加速を進めるほか、社会課題の解決に資する環境(排水・排ガス処理、バイオマス等)やインフラ関連ビジネス(交通インフラ検査事業等)などの市場開拓と収益力強化を図る。ライフサイエンス・テクノロジー事業については、バイオ分野やラボオートメーションシステムが拡大するとともに、半導体関連分野への装置・機器の供給が業績の伸びをけん引する想定である、利益率は14.8%(2025年3月期比0.4ポイント下降)と高水準を維持する想定だ。
(4) 食品・サービス事業
2028年3月期の売上高112億円(平均成長率2.3%)、セグメント利益8億円(同3.4%)を計画している。「食品事業」は、既存商品の市場浸透と差別化商品の開発、販路開拓を進める。また、フリーズドライ食品を軸に注力事業であるライフサイエンス・テクノロジー事業の一端も担っていく。「サービス事業(ホテル事業)」は、観光及びインバウンド需要の取り込みや顧客満足度の向上により引き続き安定推移する見通しである。
(5) 不動産事業
2028年3月期の売上高38億円(平均成長率0.7%)、セグメント利益22億円(同-0.6%)を計画している。今後も工場跡地等の遊休資産の有効活用による長期安定収益源として重要な役割を担う。賃貸契約の大半が長期のため、引き続き安定的に推移する見通しである。
5. キャッシュ・アロケーション
3年間の投資計画として、設備投資に210億円(そのうち注力事業へ87億円、環境投資に24億円)、M&Aに100億円の合計310億円を予定している。また、株主還元(3年間)には配当130億円、自己株式取得200億円の合計330億円を予定しており、成長投資と株主還元へバランスよく配分する方針だ。一方、その原資については、営業キャッシュフロー360億円※1、非営業資産※2の売却230億円、借入金など50億円により捻出する計画となっている。
※1 研究開発費60億円控除後。
※2 政策保有株式、遊休不動産の売却等。
(1) 株主還元方針
高水準で安定した配当を行うため、株主資本配当率(DOE)4%を新中期経営計画期間の目標値として設定した。また、3年間で200億円の自己株式の取得も併せて実施する。
(2) 政策保有株式の圧縮
2028年3月期までに連結純資産の20%未満まで段階的に売却を進め、そこで得たキャッシュは自己株式取得などに充当していく。2025年3月期末の投資有価証券の残高は約560億円、純資産は約1,210億円が計上されており、現在の相場環境や簿価を前提とすれば、そこから300億円程度の売却規模になると判断できる。
(3) 研究開発投資(R&Dの強化)
3年間で60億円の研究開発投資を計画している。特に、技術研究所と各事業部との連携により、次世代の主力事業として推進している4つのプロジェクト(ロボットセンシング、セミコンソリューション、ライフサイエンス・テクノロジー、マテリアル・ソリューション)を本格化していく。
6. 資本収益性の向上に向けた道筋
同社の推計によれば、株主資本コストは6~7%のレンジにあるが、株主の期待するリターンはさらに高いものと認識しており、新中期経営計画の目標であるROE10%(以上)の実現やIR活動の充実などを通じて、PBRの引き上げ(まずは常時1倍以上の水準を確保)を目指す。特にROEの改善に向けて、事業ポートフォリオ改革や政策保有株式の圧縮によるROICの向上と株主還元の充実に取り組む。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<HN>
4. 各事業セグメントの見通し
(1) 化成品事業
2028年3月期の売上高740億円(平均成長率3.9%)、セグメント利益60億円(同6.1%)を計画している。半導体やエネルギー関連市場へ向けた高機能プロダクツ事業(高機能樹脂製品、機能フィルム)への経営資源集中と事業拡大加速を進めるとともに、自動車や住宅関連市場向け産業マテリアル分野における新規ビジネスの展開と市場への深耕を図る。半導体製造関連向けは初年度である2026年3月期に調整局面を見込むものの、その後大きく伸長する見通しである。利益率は、高収益の高機能樹脂製品の伸びにより8.1%(2025年3月期比0.5ポイント上昇)に改善する想定だ。
(2) 繊維事業
2028年3月期の売上高490億円(平均成長率0.3%)、セグメント利益12億円(同152.0%)を計画している。厳しい事業環境(価格競争の激化等)が続くなか、独自技術の開発強化と付加価値向上を進めるともに、海外拠点への設備投資を通して競争力を高め、グローバルサプライチェーンの整備・拡大を進める。初年度である2026年3月期に構造改革費用を見込むものの、その後、構造改革効果や独自技術製品の強化、グローバルサプライチェーンの拡大等により収益の底上げを図る。利益率は、まずは2.4%(2025年3月期比2.2ポイント上昇)に改善させる想定だ。
(3) 環境メカトロニクス事業
2028年3月期の売上高270億円(平均成長率7.2%)、セグメント利益40億円(同6.2%)を計画している。注力領域である半導体製造関連事業、並びにライフサイエンス・テクノロジー事業の成長加速を進めるほか、社会課題の解決に資する環境(排水・排ガス処理、バイオマス等)やインフラ関連ビジネス(交通インフラ検査事業等)などの市場開拓と収益力強化を図る。ライフサイエンス・テクノロジー事業については、バイオ分野やラボオートメーションシステムが拡大するとともに、半導体関連分野への装置・機器の供給が業績の伸びをけん引する想定である、利益率は14.8%(2025年3月期比0.4ポイント下降)と高水準を維持する想定だ。
(4) 食品・サービス事業
2028年3月期の売上高112億円(平均成長率2.3%)、セグメント利益8億円(同3.4%)を計画している。「食品事業」は、既存商品の市場浸透と差別化商品の開発、販路開拓を進める。また、フリーズドライ食品を軸に注力事業であるライフサイエンス・テクノロジー事業の一端も担っていく。「サービス事業(ホテル事業)」は、観光及びインバウンド需要の取り込みや顧客満足度の向上により引き続き安定推移する見通しである。
(5) 不動産事業
2028年3月期の売上高38億円(平均成長率0.7%)、セグメント利益22億円(同-0.6%)を計画している。今後も工場跡地等の遊休資産の有効活用による長期安定収益源として重要な役割を担う。賃貸契約の大半が長期のため、引き続き安定的に推移する見通しである。
5. キャッシュ・アロケーション
3年間の投資計画として、設備投資に210億円(そのうち注力事業へ87億円、環境投資に24億円)、M&Aに100億円の合計310億円を予定している。また、株主還元(3年間)には配当130億円、自己株式取得200億円の合計330億円を予定しており、成長投資と株主還元へバランスよく配分する方針だ。一方、その原資については、営業キャッシュフロー360億円※1、非営業資産※2の売却230億円、借入金など50億円により捻出する計画となっている。
※1 研究開発費60億円控除後。
※2 政策保有株式、遊休不動産の売却等。
(1) 株主還元方針
高水準で安定した配当を行うため、株主資本配当率(DOE)4%を新中期経営計画期間の目標値として設定した。また、3年間で200億円の自己株式の取得も併せて実施する。
(2) 政策保有株式の圧縮
2028年3月期までに連結純資産の20%未満まで段階的に売却を進め、そこで得たキャッシュは自己株式取得などに充当していく。2025年3月期末の投資有価証券の残高は約560億円、純資産は約1,210億円が計上されており、現在の相場環境や簿価を前提とすれば、そこから300億円程度の売却規模になると判断できる。
(3) 研究開発投資(R&Dの強化)
3年間で60億円の研究開発投資を計画している。特に、技術研究所と各事業部との連携により、次世代の主力事業として推進している4つのプロジェクト(ロボットセンシング、セミコンソリューション、ライフサイエンス・テクノロジー、マテリアル・ソリューション)を本格化していく。
6. 資本収益性の向上に向けた道筋
同社の推計によれば、株主資本コストは6~7%のレンジにあるが、株主の期待するリターンはさらに高いものと認識しており、新中期経営計画の目標であるROE10%(以上)の実現やIR活動の充実などを通じて、PBRの引き上げ(まずは常時1倍以上の水準を確保)を目指す。特にROEの改善に向けて、事業ポートフォリオ改革や政策保有株式の圧縮によるROICの向上と株主還元の充実に取り組む。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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