注目トピックス 日本株
クラボウ Research Memo(1):2025年3月期は計画を上回る大幅増益。事業ポートフォリオ改革をさらに加速
配信日時:2025/07/25 11:01
配信元:FISCO
*11:01JST クラボウ Research Memo(1):2025年3月期は計画を上回る大幅増益。事業ポートフォリオ改革をさらに加速
■要約
1. 事業内容
クラボウ<3106>は、1888年創業の大手繊維メーカーである。創業以来、常に時代の先を見据えながら、新しい価値の創造に挑み続けてきた。現在は、暮らしを支える繊維、自動車、住宅、バイオメディカル、食品や、産業を支えるエレクトロニクス、半導体、環境プラントなど幅広い分野に事業を展開している。また、創業時より社会貢献活動に積極的に取り組んできた実績があり、今後も国際社会の共通目標であるSDGs(持続可能な開発目標)への対応とともに、健康、快適、環境への配慮などをテーマとした商品・技術開発を追求し、より良い未来社会の創造に向けて貢献していく。
2025年3月期が最終年度となった前中期経営計画「Progress’24」(2023年3月期~2025年3月期)では、外部環境の影響等により繊維事業の苦戦が続いたものの、収益性が高く成長が見込める半導体製造関連分野などが伸長し、業績を底上げした。新たにスタートした中期経営計画「Accelerate’27」では注力事業に経営資源を集中し、事業ポートフォリオ改革をさらに加速していく。
2. 価値創造プロセス
同社の価値創造プロセスは、蓄積してきた技術やノウハウ、人財等の経営資源を社会課題の解決や成長市場へと展開し価値を創出するものである。これまでの歴史を振り返っても、樹脂加工技術を住宅用建材や自動車部材へと展開した化成品事業、さらには染色工程での「色」制御の自動化から色彩管理及び検査・計測へと広がったエレクトロニクス事業(環境メカトロニクス事業)など、これらは祖業である繊維事業から派生したものである。また、安定収益源となっている不動産事業や技術研究所を中心とするR&D体制なども価値創造を支えている。今後は、半導体製造関連市場、ライフサイエンス・テクノロジー領域(自動化・制御装置市場、メディカル市場、食品市場などで構成)といった収益性が高く成長が見込める分野へ経営資源を集中し、社会課題の解決と持続的な成長を同時実現する価値創造ストーリーを描いている。
3. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比0.4%減の150,660百万円、営業利益が同12.3%増の10,311百万円と微減収ながら大幅増益となった。売上高は、半導体製造装置向け高機能樹脂製品や太陽電池向け機能フィルムが好調であった「化成品事業」が大きく伸長した一方、カジュアル向けが不振であった「繊維事業」の落ち込みや「環境メカトロニクス事業」においては工作機械事業の譲渡による影響もあり、わずかに減収となった。利益面では、「化成品事業」における高付加価値商品の販売拡大等に加え、海外子会社の損益改善が進んだ「繊維事業」の黒字化により計画を上回る大幅増益となった。
4. 新中期経営計画「Accelerate’27」の基本方針
2019年度からスタートした「長期ビジョン2030」※(2020年3月期〜2031年3月期)の第3ステージにあたり、「高収益事業の成長加速と経営資源の効率的な活用による企業価値の向上」という基本方針の下、半導体製造関連やライフサイエンス・テクノロジー領域等を注力事業とする事業ポートフォリオ改革をさらに加速し、最終ステージでの仕上げにつなぐ考えだ。最終年度(2028年3月期)の連結売上高1,650億円、営業利益130億円を目標に掲げ、営業利益率は7.9%(2025年3月期比1.1ポイント上昇)に改善を図る。加えて、資本収益性を重視した資源配分と財務・資本政策の実施によりROICを7.9%(同2.4ポイント上昇)以上、ROEを10.0%(同2.4ポイント上昇)以上に高める計画だ。
※ 2030年の目指す姿として、「イノベーションと高収益を生み出す強い企業グループ」を掲げている。
5. 2026年3月期の業績見通し
新中期経営計画「Accelerate’27」の初年度となる2026年3月期の連結業績については、売上高を前期比4.4%減の144,000百万円、営業利益を同22.4%減の8,000百万円と見込んでいる。構造改革中である「繊維事業」や半導体市場の市況回復の遅れを見込む「化成品事業」が減収となるほか、工場閉鎖に伴う異常操業費用や労務費等のコストアップを見込み営業減益となる見通しとなっている。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益については政策保有株式の売却益により増益を確保する。年間配当は、前期比102円増となる1株当たり282円(中間141円、期末141円)を予定している。
■Key Points
・2025年3月期は微減収も、大幅増益を実現し、中期経営計画最終年度の利益目標を達成
・成長性・収益性の高い半導体製造関連分野や自動化・制御装置市場などに経営資源を集中し、社会課題の解決と持続的な成長を図る
・新中期経営計画では事業ポートフォリオ改革をさらに加速し、利益率や資本収益性の改善を推進
・積極的な株主還元を継続。新中期経営計画では、株主資本配当率(DOE)4%を目標値に設定するとともに、3年間で200億円の自己株式取得も併せて実施する計画
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<HN>
1. 事業内容
クラボウ<3106>は、1888年創業の大手繊維メーカーである。創業以来、常に時代の先を見据えながら、新しい価値の創造に挑み続けてきた。現在は、暮らしを支える繊維、自動車、住宅、バイオメディカル、食品や、産業を支えるエレクトロニクス、半導体、環境プラントなど幅広い分野に事業を展開している。また、創業時より社会貢献活動に積極的に取り組んできた実績があり、今後も国際社会の共通目標であるSDGs(持続可能な開発目標)への対応とともに、健康、快適、環境への配慮などをテーマとした商品・技術開発を追求し、より良い未来社会の創造に向けて貢献していく。
2025年3月期が最終年度となった前中期経営計画「Progress’24」(2023年3月期~2025年3月期)では、外部環境の影響等により繊維事業の苦戦が続いたものの、収益性が高く成長が見込める半導体製造関連分野などが伸長し、業績を底上げした。新たにスタートした中期経営計画「Accelerate’27」では注力事業に経営資源を集中し、事業ポートフォリオ改革をさらに加速していく。
2. 価値創造プロセス
同社の価値創造プロセスは、蓄積してきた技術やノウハウ、人財等の経営資源を社会課題の解決や成長市場へと展開し価値を創出するものである。これまでの歴史を振り返っても、樹脂加工技術を住宅用建材や自動車部材へと展開した化成品事業、さらには染色工程での「色」制御の自動化から色彩管理及び検査・計測へと広がったエレクトロニクス事業(環境メカトロニクス事業)など、これらは祖業である繊維事業から派生したものである。また、安定収益源となっている不動産事業や技術研究所を中心とするR&D体制なども価値創造を支えている。今後は、半導体製造関連市場、ライフサイエンス・テクノロジー領域(自動化・制御装置市場、メディカル市場、食品市場などで構成)といった収益性が高く成長が見込める分野へ経営資源を集中し、社会課題の解決と持続的な成長を同時実現する価値創造ストーリーを描いている。
3. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比0.4%減の150,660百万円、営業利益が同12.3%増の10,311百万円と微減収ながら大幅増益となった。売上高は、半導体製造装置向け高機能樹脂製品や太陽電池向け機能フィルムが好調であった「化成品事業」が大きく伸長した一方、カジュアル向けが不振であった「繊維事業」の落ち込みや「環境メカトロニクス事業」においては工作機械事業の譲渡による影響もあり、わずかに減収となった。利益面では、「化成品事業」における高付加価値商品の販売拡大等に加え、海外子会社の損益改善が進んだ「繊維事業」の黒字化により計画を上回る大幅増益となった。
4. 新中期経営計画「Accelerate’27」の基本方針
2019年度からスタートした「長期ビジョン2030」※(2020年3月期〜2031年3月期)の第3ステージにあたり、「高収益事業の成長加速と経営資源の効率的な活用による企業価値の向上」という基本方針の下、半導体製造関連やライフサイエンス・テクノロジー領域等を注力事業とする事業ポートフォリオ改革をさらに加速し、最終ステージでの仕上げにつなぐ考えだ。最終年度(2028年3月期)の連結売上高1,650億円、営業利益130億円を目標に掲げ、営業利益率は7.9%(2025年3月期比1.1ポイント上昇)に改善を図る。加えて、資本収益性を重視した資源配分と財務・資本政策の実施によりROICを7.9%(同2.4ポイント上昇)以上、ROEを10.0%(同2.4ポイント上昇)以上に高める計画だ。
※ 2030年の目指す姿として、「イノベーションと高収益を生み出す強い企業グループ」を掲げている。
5. 2026年3月期の業績見通し
新中期経営計画「Accelerate’27」の初年度となる2026年3月期の連結業績については、売上高を前期比4.4%減の144,000百万円、営業利益を同22.4%減の8,000百万円と見込んでいる。構造改革中である「繊維事業」や半導体市場の市況回復の遅れを見込む「化成品事業」が減収となるほか、工場閉鎖に伴う異常操業費用や労務費等のコストアップを見込み営業減益となる見通しとなっている。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益については政策保有株式の売却益により増益を確保する。年間配当は、前期比102円増となる1株当たり282円(中間141円、期末141円)を予定している。
■Key Points
・2025年3月期は微減収も、大幅増益を実現し、中期経営計画最終年度の利益目標を達成
・成長性・収益性の高い半導体製造関連分野や自動化・制御装置市場などに経営資源を集中し、社会課題の解決と持続的な成長を図る
・新中期経営計画では事業ポートフォリオ改革をさらに加速し、利益率や資本収益性の改善を推進
・積極的な株主還元を継続。新中期経営計画では、株主資本配当率(DOE)4%を目標値に設定するとともに、3年間で200億円の自己株式取得も併せて実施する計画
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<HN>
Copyright(c) FISCO Ltd. All rights reserved.
ニュースカテゴリ
注目トピックス 市況・概況
NY市場・クローズ
海外市場動向
注目トピックス 日本株
注目トピックス 経済総合
強弱材料
コラム【EMW】
オープニングコメント
日経225・本日の想定レンジ
寄り付き概況
新興市場スナップショット
注目トピックス 外国株
個別銘柄テクニカルショット
ランチタイムコメント
後場の投資戦略
後場の寄り付き概況
相場概況
本日の注目個別銘柄
JASDAQ市況
マザーズ市況
Miniトピック
来週の買い需要
日経QUICKニュース
みんかぶニュース 投資家動向
みんかぶニュース 為替・FX
みんかぶニュース 市況・概況
みんかぶニュース 個別・材料
みんかぶニュース コラム
みんかぶニュース その他
ビットコインニュース
アルトコインニュース
GRICI
暗号資産速報
Reuters Japan Online Report Business News
金融ウォッチ その他
FISCO その他
グロース市況