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明日の株式相場に向けて=AI・半導体も「中低位株」の打順に

配信日時:2025/06/30 17:30 配信元:MINKABU
 週明け30日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比336円高の4万487円と5連騰。前週は週初こそ小安かったものの、そこから上げ足を一気に強め怒涛の4連騰を演じ、2000円近い上昇をみせた。前週末はフシ目の4万円大台も回復している。その後に欧米株市場が全面高に買われたとはいえ、週明けの東京市場はスピード警戒感が意識されてしかるべきではあった。ところが朝方から日経平均はスタートダッシュを決め、一時700円あまりの急騰をみせ、売り方はお手上げ状態ともいえる超強気相場の様相を呈した。  しかし、4万1000円台が見えてきたところで、さすがに「待てよ」というムードも台頭してきた。俗に「三空に売り向かえ」というが、きょう前場の段階では三本目の陽線を立ててその三空を形成した。高値圏で3つマドを開けるというのは目先天井を示唆するに十分な要素をはらむ。無双のモメンタム相場もどこかでターニングポイントを迎えるわけで、後場の値動きはその気配を感じさせる。冷静にみて、日本株をここまで買い上がるインパクトのある材料は見当たらない。むしろ、米国との関税交渉は暗礁に乗り上げた感が否めない。今回7度目の渡米となった赤沢経済再生担当相は、ベッセント財務長官と会うことすらできず帰国の途に就いた。すがりつく日本と、突き放すトランプ米政権の構図が見えてきた。最大の懸案である自動車関税についてトランプ米大統領が折れる気配はない。市場関係者からは「(トランプ氏は)強気の前言を翻すことで『TACO』と揶揄されているが、子分とみなしている日本についてはチキンになる必要がないということのようだ。石破首相との相性の悪さが浮き彫りとなってきた」(中堅証券ストラテジスト)という嘆きも聞かれた。合成麻薬のフェンタニルの日本経由の迂回輸出が取り沙汰されるなか、それを交渉のネタに使われそうだ。トランプ氏はカナダとの交渉を打ち切り、新たな関税をかけることを表明したが、その延長線上に日本が置かれているようで穏やかではない。  そうしたなかもAI・半導体関連株の人気は続いている。防衛関連との交互物色だが、目先はAI周辺に投資マネーが照準を合わせている。エヌビディア効果といえばその通りで、エヌビディアが変調をきたせば、アドバンテスト<6857.T>を筆頭に関連銘柄の気勢は削がれることになる。そして既にその兆候はある。しかし、テーマ物色のコンセプト自体が短期間で色褪せるとは考えにくい。仮に全体が調整局面となっても、リスクオフ一巡後に日経平均と連動しにくい銘柄への資金シフトが想定される。例えば株価的に出遅れ感の強い1000円未満の銘柄は、次のステージで活躍機会が高まることも予想される。  AI関連では引き続きメタリアル<6182.T>に着目。現在の600円台のもみ合いは26年2月期の業績変化を織り込みに行くのであれば、絶好の拾い場となっている可能性はある。同社株は週足もしくは月足で眺めておくことが肝要である。また、SMN<6185.T>の400円近辺の株価はマークしておきたいところ。ソニー系のアドテク企業だが、ビッグデータ処理・AI・金融工学を礎としたマーケティングテクノロジーを標榜している。同社株も業績回復色が鮮明となるなか、株価は長期下降トレンドから離脱したばかりで、その初動を捉えたい。このほか、当欄で何度か紹介した銘柄ではあるが、クロス・マーケティンググループ<3675.T>もPERなどから判断して700円台の株価は水準訂正余地が大きい。AIチャットボットをはじめ、AIの利活用に重点を置き経営資源を振り向けている。  更にUAEのスターゲート構想参画など、“ソブリンAI”の立ち上がりでAIデータセンターの世界的な需要加速が想定され、東京市場でもデータセンター関連への視線が改めて熱を帯びつつある。そのなか、金融向け以外に生成AI導入支援にも乗り出しているAGS<3648.T>に目を配っておきたい。時価は1000円台を目前に瀬踏みを繰り返している状況だが、週足でみると4月以降は陽線の多さが際立っており、薄商いながら足の長い資金が断続的に流入している形跡がある。比較的地味な銘柄だが、開花が近い可能性も。  株価3ケタ台の銘柄以外では、半導体製造装置向けレーザーで高実績を有するとともに、量子コンピューター関連としても存在感を示すオキサイド<6521.T>に調整一巡感が出ている。また、ファインケミカル部門で先端半導体材料に注力する四国化成ホールディングス<4099.T>の動きもチェックしておきたい。  あすのスケジュールでは、6月の日銀全国企業短期経済観測調査(日銀短観)が朝方取引開始前に開示されるほか、前場取引時間中に10年物国債の入札が行われる。後場取引時間中には、6月の消費動向調査、6月の新車・軽自動車販売台数が発表される。海外では6月の財新中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表されるほか、6月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値、6月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数、5月の米雇用動態調査(JOLTS)、5月の米建設支出などが注目される。また、パウエルFRB議長がECB主催の「ECBフォーラム」の討議に参加する予定。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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