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明日の株式相場に向けて=恐怖を代償に果実を取りに行くタイミング

配信日時:2025/06/25 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(25日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比151円高の3万8942円と続伸。朝方は強弱観対立のなか前日の終値を上回ってスタートしたが、その後は鳴かず飛ばずで、前場の取引終了前に大口の売りが出てマイナス圏に沈んだ。ところが、後場に入るとジリジリと水準を切り上げる展開に変わった。市場では「CTA(商品投資顧問)はロングを積み増している状況にあり、(全体相場は)そう簡単に崩れない」(準大手証券ストラテジスト)という指摘が聞かれる。日経平均は結局ほぼ高値引けとなった。  レーザーテック<6920.T>が前日に続く大商いで断トツの売買代金をこなし続伸、売買代金2位のディスコ<6146.T>、同3位のアドバンテスト<6857.T>と、前日同様に半導体製造装置大手が足並みを揃えて上値を追った。これまで繰り返されてきた半導体と防衛の交互物色で、防衛関連が一服している間は半導体関連が買われるというパターンだ。レーザーテクは空売りファンドのスコーピオン・キャピタルの毒にやられ10カ月あまりにわたる苛烈な下げ相場に見舞われたが、積み上がった信用買い残が捌けた効果で、ようやく復活の狼煙を上げた。半導体関連全般への見直しムードにつながれば、おのずと日経平均4万円大台乗せのシナリオも現実味を帯びることになるが、今はまだ若干の違和感が残っている。  中東情勢に関しては、トランプ米大統領は半ば強引に自身のSNSでイスラエルとイランの停戦合意を発表したが、紆余曲折を経たものの現状は停戦が順守されている状況のようだ。地政学リスクの後退はマーケットにはポジティブだが、この間に浪費されたのはミサイルだけではない。関税交渉の時間も失われた。気がつけば相互関税の上乗せ分についての交渉期限が来月9日に迫っている。再延期される可能性はあるが、こちらの方は納得のいく落としどころはなかなか見えてこず、株式市場にとっては難所が続く。相場は距離感のつかめない悪材料には弱い。勝手に最悪のシナリオを掲げ投資家心理が暴走してしまうからだ。  ローマ帝国ストア派の哲人として名を馳せたセネカは「恐怖の数のほうが危険の数より常に多い」と説いた。これは言い得て妙で、株式投資においても正鵠を射た言葉といえるかもしれない。やや拡大解釈をすれば、恐怖の先には危険だけではなく同じ顔をしたチャンスもたくさん待っている、ということになる。そもそも、恐怖の代償としてチャンスを取りにいくのが相場と対峙するということにほかならず、ノーリスク・ハイリターンなどはこの世界に存在しない。中東リスクしかり、トランプ関税しかりであるのだが、トランプ関税についてはどんなに上手くまとめても、「ビフォートランプ」よりは関税負担が今より大きくなることに変わりはない。こう考えるとチャンスの芽は見えてこないが、実際のところはそうでもない。リスクを行き過ぎて織り込むというプロセスは、そのアンワインド局面に乗ることでチャンスを得るという考え方ができる。相場は常にタイミングと需給が方向性を握る。  では、今はトランプ関税という逆風材料をマーケットは過剰に織り込んでいるのだろうか。答えはノーであろう。米国で恐怖指数と呼ばれるVIX指数が参考になるが、前日は12%近く急低下し17.48と短期・中期・長期いずれの観点からもほぼ大底圏に沈んでいる。かなり楽観に傾いている状況が見て取れる。トランプ関税については、米国と米国以外の国益はトレードオフの関係にあるとはいえ、問答無用のアメリカ・ファーストを押し通してグローバルマネーが米国株市場に集中する道理はなく、むしろその逆だ。したがって、マーケットも今の株価水準とタイミングは、恐怖の代償としてチャンスをつかみに行く場面ではない。6月相場後半は配当再投資の買いなども機能して下値リスクは限定的かもしれないが、であれば買い出動するのは7月相場で全体指数が下押すのを待ちたい。  もっともこれは総論であって、「森」に惑わされず個別株のピンポイント物色、つまり「木」を見ることに専念すれば眼前には異なる景色が見えてくる。常に待機資金が胎動するなか、最近は株価3ケタ台の材料株に動意が相次いでおり、ここに焦点を当てるのも一法。例えば、遊技機向け映像開発を手掛け、AI活用のシステムソリューションで新境地を開拓するテクノロジーズ<5248.T>。業績は目覚ましい成長をみせており、5日移動平均線との上方カイ離を解消した水準は買い場となる可能性がある。また、前週も取り上げたが、メタリアル<6182.T>はSNS投稿・最新トレンド分析AIエージェント「Metarealソーシャルメディア」を提供しており、AIエージェント関連の一角として押し目は買い対処しておきたい。同社株は週足などで少し視点を引いて見ることが肝要だ。このほか、エディア<3935.T>はIP関連の穴株として4ケタ大台を目指す相場を期待。業績の高変化が際立つうえ、増配や自社株買いなど株主還元に積極的な姿勢は評価できる。任天堂<7974.T>の上場来高値更新を受けIPビジネスに対する相場の感応度が高まっていることも追い風だ。  あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に発表される。また、前場取引時間中に2年物国債の入札が行われる。なお、この日は6月権利付き最終売買日となる。IPOが1社予定されており、東証グロース市場にエータイ<369A.T>が新規上場する。海外ではEU首脳会議(~27日)、メキシコ中銀の金融政策決定会合のほか、米国では週間の新規失業保険申請件数、5月の耐久財受注額、5月の仮契約住宅販売指数が開示される。この日はバーFRB理事の講演が予定されており、その内容が注目される。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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