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明日の株式相場に向けて=国家安保の要衝を担うサイバー防衛に着目

配信日時:2025/06/24 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(24日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比436円高の3万8790円と急反騰。4日ぶりに大きく切り返した。朝方にロケットスタートを決め、取引開始後10分で3万8990円まで上値を伸ばし、3万9000円大台まであと10円というところまで迫ったが、残念ながらそこがこの日の高値となった。しかし、米株価指数先物の強調展開を横にらみに半導体関連を中心に終始買い意欲は旺盛で、最終盤のクロージングオークションで一段高、日経平均は400円を超える上昇で着地した。  前週から中東情勢を巡るニュースヘッドラインに振り回されてきたが、ここにきてにわかに状況が好転し、イスラエルとイランの停戦に向けた動きが加速した。前日にイランが米国への報復攻撃としてカタールの米軍基地にミサイル攻撃を行ったが、これは事前通告をしてからおもむろにミサイルを発射したもので、米軍は迎撃に成功して、ほぼ撃ち落とした格好となり人的な被害もなかった。そして、日本時間の今朝方、電撃的なトランプ砲が取引開始前の東京市場に鳴り響くことになる。トランプ米大統領が自身のSNSでイスラエルとイランが停戦で合意したと発表、これが東京市場に急速なリスクオンをもたらし日経平均を押し上げた。こうなると米国のイラン核施設攻撃とイラン側の報復に至るまで、直近の中東有事は出来レースで兵器の在庫一掃セールだったようにも見えてくる。  個別株ではレーザーテック<6920.T>が満を持して物色人気化し、アドバンテスト<6857.T>やディスコ<6146.T>など他の半導体製造装置主力株も売買代金上位を独占して株価を上昇させ、日経平均の跳躍を後押しした。一方、中東リスクに対する懸念が後退したことで、防衛関連株の上値を買う動きはいったん鳴りを潜めたが、どちらかといえばこれは条件反射的な動きといえる。石破首相は出席を見送ったが、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議では、トランプ米政権が加盟各国に強く要請している防衛予算拡大の動きが一段と鮮明となりそうだ。首脳会議の開催に先立ち、ルッテ事務総長は加盟国の防衛費を今後10年内にGDP比5%以上とする目標について全会一致の方向にあることを明らかにした。  米国の国防費については現状でGDP比3.5%前後に達しており、金額ベースでは1兆ドル規模で、他国とは圧倒的な開きがある。そうしたなか、世界的にも財政規律に厳しいことで知られるドイツが、それを歪めてまで防衛コストを引き上げる構えをみせ話題となった。現時点でもドイツの国防費はGDP比で1.9%と2%近い水準に達している。これに対し、米国と最も密接な同盟国といってよい日本はGDP比で1.3%台に過ぎない。既に防衛予算枠の大幅拡大を回避できない流れに乗ってしまっている。  防衛関連の旗艦銘柄である三菱重工業<7011.T>は目先買い疲れ感から上値が重くなっているが、防衛省との取引額で一頭地を抜く実績から押し目買い対象として注目は怠れない。テクニカル的には25日移動平均線との上方カイ離解消場面は買いを入れるタイミングとして有効で、時価はその水準に近づいている。また、あまり防衛関連としてハヤされないがNEC<6701.T>は防衛通信システムの屋台骨を支えるポジションにあり、株価は2001年以来の実質青空圏を走る。今後も隠れ本命株として長期上昇トレンドが期待できそうだ。  他方、国家安全保障を担ううえでネット空間も重要エリアであることは否定できない。その意味でサイバーセキュリティーは国内のサイバー犯罪への対応だけでなく、国際間のサイバー防衛という観点でも官民一体で取り組むべき重要テーマとなっている。国内では7月1日付で「国家サイバー統括室」が発足する。これは能動的サイバー防御の司令塔として「内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)」を改組したもの。国策の追い風を背に関連銘柄は注目場面にあるが、その代表格は純国産エンドポイントセキュリティーソフト「ヤライ」で実績を積み重ねるFFRIセキュリティ<3692.T>だ。きょうは、貸株市場経由の空売りに一気に巻き戻しが入り、踏み上げ的な急騰をみせた。この資金の流れは他のサイバーセキュリティー関連株にも波及しそうだ。マークしておきたい銘柄としてはサイバー攻撃対応のセキュリティー対策ソフトと認証システム開発などを展開するソリトンシステムズ<3040.T>。セキュリティーソフトの輸入販売及びITソリューションを手掛けるセグエグループ<3968.T>。金融系に強いシステムインテグレーターで脆弱診断やセキュアなクラウド環境構築、セキュリティー教育支援などの分野で活躍するTDCソフト<4687.T>。このほか4月以降、当欄で継続フォローしてきたフーバーブレイン<3927.T>も目先切り返す動きをみせている。同社は豊富な受注残を武器に売上高・利益ともに今期も高水準の伸びが見込まれ、50億円前後の時価総額はイレギュラーに安く、買い場を提供している。  あすのスケジュールでは、日銀金融政策決定会合の「主な意見」(6月開催分)のほか、5月の企業向けサービス価格指数が朝方取引開始前に開示される。また、日銀の田村審議委員が福島県金融経済懇談会で挨拶と記者会見を行う予定。このほか、4月の景気動向指数の改定値や5月の外食売上高も発表される。なお、東証プライム市場に北里コーポレーション<368A.T>が新規上場する。海外では5月の米新築住宅販売件数、米5年物国債の入札などが予定される。また、パウエルFRB議長が米上院で証言を行う見通し(銀) 出所:MINKABU PRESS

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