注目トピックス 日本株
デリカフHD Research Memo(6):売上高1,000億円企業を目指す(2)
配信日時:2025/06/20 14:06
配信元:FISCO
*14:06JST デリカフHD Research Memo(6):売上高1,000億円企業を目指す(2)
■デリカフーズホールディングス<3392>の今後の見通し
b) 青果物サプライチェーンの構造変革
従来のサプライチェーンを抜本的に見直し、持続可能かつ機能的な青果物流通インフラへの変革を推進する。主に、輸入比率の高い野菜の国内調達比率引き上げや、安定供給体制の強化に向けた長期保存技術の確立と貯蔵センターの整備を進める。
輸入野菜の国産化の目的は、国内における農業従事者の高齢化により国内農業の衰退が危ぶまれるなかで、持続可能な農業を実現することにある。国内産に切り替えることで仕入コストは上昇するが、顧客と売価交渉を進め粗利益に影響を与えない範囲で、徐々に転換していく。取り組みの第一弾として、大阪茨木工場を玉葱加工専用工場にリニューアルし、2025年4月より稼働を開始している。愛知、大阪、兵庫、奈良の事業所の玉葱加工ラインを集約化し、皮むきからカット、包装、最終商品まで一気通貫の生産ラインを構築した。1日当たりの処理量は現在10トン程度だが、最終的には20~30トンまで拡大する予定で、年間の売上規模は10億円程度となる。加工工程を1ヶ所に集約化することで原料調達コストの低減や、単品大量生産に向く自動化・省人化ラインを導入することでコスト低減を図る。また、一気通貫生産によって品質及び菌数制御が向上し、消費期限の延長が可能となる。従来、加工を行っていた工場では空いた加工ラインでその他商材の製造加工を行う。専用工場に関しては製造社員の育成工場としての運用(教育施設)も行う。玉葱の製造加工が軌道に乗れば、他の輸入野菜の国産化も検討することにしており、候補品目として長ネギやトマトなどが挙がっている。
持続可能な農業の実現に向けたもう一つの取り組みとして、農業への参入を計画している。参入目的は、農業経営を自社で実践することで、農業と加工流通業との共栄策を見出すことにある。農業を自ら実践することで、今まで見えなかった農業の実態や経営課題を把握し、仕入先となる契約農家に対して相互が満足できるような最適なソリューションの提案や次世代農業の可能性を追求する。まずは加工用として多く用いられる赤系トマトのテスト栽培からスタートする予定で、上手くいけば契約農家で大量生産してもらうことになる。
野菜の安定供給体制構築に向けた施策として、中京貯蔵センター計画を進めている。具体的には、関東圏並びに西日本エリアの大型原料を愛知県内に設置した中京貯蔵センター(最大1千坪、賃借物件を改装)に集約し、一括調達による調達・物流・在庫管理におけるコストメリットを創出する。また、長期貯蔵技術の検証や農家が行っていた青果物の選果・パッケージ業務の請負検証なども早ければ2025年秋頃からスタートする計画だ。長期貯蔵技術はトマトを使った検証を行う計画で、成熟前段階に収穫したトマトを貯蔵センター内で温度管理しながら1ヶ月かけて出荷可能な状態まで成熟させる技術の確立を目指す。1ヶ月の貯蔵が可能となれば天候不順による市況変動の影響も受け難くなる。選果・パッケージ業務の請負に関しては、農家の作業負担軽減や人手不足への対応策となる。中京貯蔵センターの設備投資額は数億円程度を予定しており、同センターでの長期貯蔵や選果・パッケージ業務の請負が軌道に乗れば、関東・関西エリアにも各1拠点展開することを視野に入れている。また、一部をTC(通過型物流)センターとして有効活用し、物流部門の外販強化も狙っていく計画だ。
c) 研究部門・開発部門への投資拡大
既存事業の継続的な改善、事業領域の拡大に向け、各種研究・開発部門の強化を図り、将来の成長エンジンへとつなげる。開発テーマとしては、青果物の長期保存技術の確立や付加価値の高い商品開発、青果物を基軸とした新規事業の開発などがあり、デザイナーフーズやデリカフーズの食品事業部で研究・開発を行っていく。
(4) 財務戦略
財務戦略としては、キャッシュ・フローの配分適正化を進めるほか、大型投資が一巡したことによる株主還元の強化や資本コストを意識した経営に取り組む。キャッシュアロケーションとしては、2025年3月期からの3年間で獲得する営業キャッシュ・フロー約60億円を企業価値拡大につながる成長戦略投資や設備の維持・更新投資(30~40億円)、株主還元(8~10億円)などに充当する方針だ。営業キャッシュ・フローを超える資金需要が発生した場合は、借入金等で調達することになる。また、シナジーが見込める案件であればM&Aについても前向きに検討していく。
資本コストを意識した取り組みについては、中長期的な企業価値向上に対する役職員のコミットメント強化(役員・幹部社員を対象としたインセンティブの付与、従業員持株会の促進)を図るとともに、IR活動の強化を通じて適切な情報開示と認知度の向上に取り組み、期待収益率を踏まえたKPIを達成することで企業価値の向上につなげる考えだ。なお、想定する株主資本コストについては5~10%の水準を想定しており、ROEは10%以上を目標としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
b) 青果物サプライチェーンの構造変革
従来のサプライチェーンを抜本的に見直し、持続可能かつ機能的な青果物流通インフラへの変革を推進する。主に、輸入比率の高い野菜の国内調達比率引き上げや、安定供給体制の強化に向けた長期保存技術の確立と貯蔵センターの整備を進める。
輸入野菜の国産化の目的は、国内における農業従事者の高齢化により国内農業の衰退が危ぶまれるなかで、持続可能な農業を実現することにある。国内産に切り替えることで仕入コストは上昇するが、顧客と売価交渉を進め粗利益に影響を与えない範囲で、徐々に転換していく。取り組みの第一弾として、大阪茨木工場を玉葱加工専用工場にリニューアルし、2025年4月より稼働を開始している。愛知、大阪、兵庫、奈良の事業所の玉葱加工ラインを集約化し、皮むきからカット、包装、最終商品まで一気通貫の生産ラインを構築した。1日当たりの処理量は現在10トン程度だが、最終的には20~30トンまで拡大する予定で、年間の売上規模は10億円程度となる。加工工程を1ヶ所に集約化することで原料調達コストの低減や、単品大量生産に向く自動化・省人化ラインを導入することでコスト低減を図る。また、一気通貫生産によって品質及び菌数制御が向上し、消費期限の延長が可能となる。従来、加工を行っていた工場では空いた加工ラインでその他商材の製造加工を行う。専用工場に関しては製造社員の育成工場としての運用(教育施設)も行う。玉葱の製造加工が軌道に乗れば、他の輸入野菜の国産化も検討することにしており、候補品目として長ネギやトマトなどが挙がっている。
持続可能な農業の実現に向けたもう一つの取り組みとして、農業への参入を計画している。参入目的は、農業経営を自社で実践することで、農業と加工流通業との共栄策を見出すことにある。農業を自ら実践することで、今まで見えなかった農業の実態や経営課題を把握し、仕入先となる契約農家に対して相互が満足できるような最適なソリューションの提案や次世代農業の可能性を追求する。まずは加工用として多く用いられる赤系トマトのテスト栽培からスタートする予定で、上手くいけば契約農家で大量生産してもらうことになる。
野菜の安定供給体制構築に向けた施策として、中京貯蔵センター計画を進めている。具体的には、関東圏並びに西日本エリアの大型原料を愛知県内に設置した中京貯蔵センター(最大1千坪、賃借物件を改装)に集約し、一括調達による調達・物流・在庫管理におけるコストメリットを創出する。また、長期貯蔵技術の検証や農家が行っていた青果物の選果・パッケージ業務の請負検証なども早ければ2025年秋頃からスタートする計画だ。長期貯蔵技術はトマトを使った検証を行う計画で、成熟前段階に収穫したトマトを貯蔵センター内で温度管理しながら1ヶ月かけて出荷可能な状態まで成熟させる技術の確立を目指す。1ヶ月の貯蔵が可能となれば天候不順による市況変動の影響も受け難くなる。選果・パッケージ業務の請負に関しては、農家の作業負担軽減や人手不足への対応策となる。中京貯蔵センターの設備投資額は数億円程度を予定しており、同センターでの長期貯蔵や選果・パッケージ業務の請負が軌道に乗れば、関東・関西エリアにも各1拠点展開することを視野に入れている。また、一部をTC(通過型物流)センターとして有効活用し、物流部門の外販強化も狙っていく計画だ。
c) 研究部門・開発部門への投資拡大
既存事業の継続的な改善、事業領域の拡大に向け、各種研究・開発部門の強化を図り、将来の成長エンジンへとつなげる。開発テーマとしては、青果物の長期保存技術の確立や付加価値の高い商品開発、青果物を基軸とした新規事業の開発などがあり、デザイナーフーズやデリカフーズの食品事業部で研究・開発を行っていく。
(4) 財務戦略
財務戦略としては、キャッシュ・フローの配分適正化を進めるほか、大型投資が一巡したことによる株主還元の強化や資本コストを意識した経営に取り組む。キャッシュアロケーションとしては、2025年3月期からの3年間で獲得する営業キャッシュ・フロー約60億円を企業価値拡大につながる成長戦略投資や設備の維持・更新投資(30~40億円)、株主還元(8~10億円)などに充当する方針だ。営業キャッシュ・フローを超える資金需要が発生した場合は、借入金等で調達することになる。また、シナジーが見込める案件であればM&Aについても前向きに検討していく。
資本コストを意識した取り組みについては、中長期的な企業価値向上に対する役職員のコミットメント強化(役員・幹部社員を対象としたインセンティブの付与、従業員持株会の促進)を図るとともに、IR活動の強化を通じて適切な情報開示と認知度の向上に取り組み、期待収益率を踏まえたKPIを達成することで企業価値の向上につなげる考えだ。なお、想定する株主資本コストについては5~10%の水準を想定しており、ROEは10%以上を目標としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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