注目トピックス 日本株
アートネイチャ Research Memo(6):女性向け新規売上の低迷により減益
配信日時:2025/06/18 13:06
配信元:FISCO
*13:06JST アートネイチャ Research Memo(6):女性向け新規売上の低迷により減益
■アートネイチャー<7823>の業績動向
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の業績は、売上高が43,340百万円(前期比1.1%増)、営業利益が2,181百万円(同17.8%減)、経常利益が2,249百万円(同17.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が821百万円(同43.8%減)となった。
日本経済は、雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しやインバウンド需要の拡大などを背景に、緩やかな回復基調で推移した。しかしながら、為替相場の変動や原材料価格の高騰、物価上昇による消費マインドの減退懸念など、依然として先行き不透明な状況が続いている。このような環境下、同社は、3年目を迎える中期経営計画「アートネイチャーAdvanceプラン」に沿って、同社の強みを活かして様々な課題に挑戦し、業績や毛髪業界シェアを伸長させるとともに新領域の事業を開発するなど、「次代を切り拓くアートネイチャー」への飛躍を目指して事業活動を展開した。
具体的には、男性向けに、同社ホームページ内に新たにAIで手軽に髪の悩みを相談できる「HAIRの部屋」というサイトを開設した。これにより、ホームページの閲覧数が前期比10倍になるなど認知度向上に一定の手応えがあったほか、間口がサイトやAIとなって敷居が低くなったためと思われるが、改めて髪に悩みを持つ潜在客の多さに気付かされた。今後「HAIRの部屋」を潜在顧客との接点として生かすため、プロモーションや運営方法を分析中である。また、「反響営業」へ向けたプロモーションでは、渡部篤郎氏や浅利陽介氏、風間俊介氏、前野朋哉氏、浜野謙太氏を起用したテレビCMシリーズを新たにスタートした。ただし、上期にやや投入量が多くなったため、商談数の推移を見つつ下期にはテレビCMの内容と投入量を調整することになった。
女性向けでは、2024年10月にオーダーメイドウィッグの旗艦商品で入れ替えを行い、大ヒットした「フィーリン」の後継として「ジャスミー」を市場投入した。このため、第2四半期以降、主要商品売上高において前年同月比プラスで推移する月がみられるようになった。ただし、リピートは2年前の買い替え需要を想定通りに確保したが、「フィーリン」ほどの爆発的ヒットとはならず、やや課題が残った。また、「反響営業」以外のルート開発として、来店を促すプロモーションを打ったことで店頭への来訪が多くなったが、受け入れ体制にもやや課題があったようだ。
通期では結果的に女性向け新規が減収となったが、リピートや男性向け新規が堅調だったため、売上高は増収を確保した。売上総利益率は、為替や物価高の影響に加え、スタイリストの処遇改善、一部在庫評価損により低下した。また、広告費など下期に抑制的なコスト管理を実施したが、全社的な給与水準の改定、賃借料やシステム保守費の増加、新規顧客獲得コストの増加に加え、下期に増収転換できたとはいえ上期の新規売上の苦戦が響き、営業利益は2ケタの減益となった。なお、期初予想との比較で売上高、利益ともに未達になった要因は、女性向け新規顧客の獲得に苦戦したことと、売上減少の中でコスト削減が進まなかったことにある。
セグメント別の動向としては、男性向け売上高については、オーダーメイドウィッグは「反響営業」がやや厳しかったが、増毛中心に実施したプロモーションやAIシミュレーターが効果的で、新規売上が3年ぶりに増収となったほか、顧客定着策を推進したリピート売上も増加した。契約者が増毛からウィッグに移行する流れが続いていることを考えると、施策的には成果があったといえよう。この結果、男性向け事業の売上高は23,167百万円(前期比1.5%増)、セグメント利益は14,608百万円(同0.7%増)となった。
女性向け売上高については、森山良子氏と清水ミチコ氏を起用したテレビCMが引き続き好評で来店顧客数が増加し、リピート売上は増収となったが、男性向け同様にテレビCMなどを通じた「反響営業」の効果がやや低下した模様で、新たな顧客獲得に苦戦し新規売上は減収となった。また、下期の新規売上回復に貢献した「ジャスミー」も、新旗艦商品として同社が期待した水準までは届かなかったようだ。現状は、「反響営業」の低下をカウンセラーのスキルによる成約率向上でカバーしている。また従来の「反響営業」とは異なる顧客接点の確保に向けて、新宿プロムナードへ期間限定で路面店出店やSNSの活用強化など様々な方法を試した。この結果、女性向け事業は売上高12,570百万円(同1.7%減)、セグメント利益7,976百万円(同4.8%減)となった。
女性向け既製品では、オーダーメイドウィッグで人気の森山良子氏と清水ミチコ氏をキャラクターとして起用したこともあり、2024年10月に発売した新商品「レフィア グレース」が既製品事業過去最大のヒットになるなど、好調に推移した。加えて、効果的な新規出店、出店先商業施設向けの販促活動もあり、女性向け既製品事業は売上高6,076百万円(同7.4%増)、セグメント利益4,919百万円(同7.9%増)と順調な伸びとなった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<HN>
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の業績は、売上高が43,340百万円(前期比1.1%増)、営業利益が2,181百万円(同17.8%減)、経常利益が2,249百万円(同17.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が821百万円(同43.8%減)となった。
日本経済は、雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しやインバウンド需要の拡大などを背景に、緩やかな回復基調で推移した。しかしながら、為替相場の変動や原材料価格の高騰、物価上昇による消費マインドの減退懸念など、依然として先行き不透明な状況が続いている。このような環境下、同社は、3年目を迎える中期経営計画「アートネイチャーAdvanceプラン」に沿って、同社の強みを活かして様々な課題に挑戦し、業績や毛髪業界シェアを伸長させるとともに新領域の事業を開発するなど、「次代を切り拓くアートネイチャー」への飛躍を目指して事業活動を展開した。
具体的には、男性向けに、同社ホームページ内に新たにAIで手軽に髪の悩みを相談できる「HAIRの部屋」というサイトを開設した。これにより、ホームページの閲覧数が前期比10倍になるなど認知度向上に一定の手応えがあったほか、間口がサイトやAIとなって敷居が低くなったためと思われるが、改めて髪に悩みを持つ潜在客の多さに気付かされた。今後「HAIRの部屋」を潜在顧客との接点として生かすため、プロモーションや運営方法を分析中である。また、「反響営業」へ向けたプロモーションでは、渡部篤郎氏や浅利陽介氏、風間俊介氏、前野朋哉氏、浜野謙太氏を起用したテレビCMシリーズを新たにスタートした。ただし、上期にやや投入量が多くなったため、商談数の推移を見つつ下期にはテレビCMの内容と投入量を調整することになった。
女性向けでは、2024年10月にオーダーメイドウィッグの旗艦商品で入れ替えを行い、大ヒットした「フィーリン」の後継として「ジャスミー」を市場投入した。このため、第2四半期以降、主要商品売上高において前年同月比プラスで推移する月がみられるようになった。ただし、リピートは2年前の買い替え需要を想定通りに確保したが、「フィーリン」ほどの爆発的ヒットとはならず、やや課題が残った。また、「反響営業」以外のルート開発として、来店を促すプロモーションを打ったことで店頭への来訪が多くなったが、受け入れ体制にもやや課題があったようだ。
通期では結果的に女性向け新規が減収となったが、リピートや男性向け新規が堅調だったため、売上高は増収を確保した。売上総利益率は、為替や物価高の影響に加え、スタイリストの処遇改善、一部在庫評価損により低下した。また、広告費など下期に抑制的なコスト管理を実施したが、全社的な給与水準の改定、賃借料やシステム保守費の増加、新規顧客獲得コストの増加に加え、下期に増収転換できたとはいえ上期の新規売上の苦戦が響き、営業利益は2ケタの減益となった。なお、期初予想との比較で売上高、利益ともに未達になった要因は、女性向け新規顧客の獲得に苦戦したことと、売上減少の中でコスト削減が進まなかったことにある。
セグメント別の動向としては、男性向け売上高については、オーダーメイドウィッグは「反響営業」がやや厳しかったが、増毛中心に実施したプロモーションやAIシミュレーターが効果的で、新規売上が3年ぶりに増収となったほか、顧客定着策を推進したリピート売上も増加した。契約者が増毛からウィッグに移行する流れが続いていることを考えると、施策的には成果があったといえよう。この結果、男性向け事業の売上高は23,167百万円(前期比1.5%増)、セグメント利益は14,608百万円(同0.7%増)となった。
女性向け売上高については、森山良子氏と清水ミチコ氏を起用したテレビCMが引き続き好評で来店顧客数が増加し、リピート売上は増収となったが、男性向け同様にテレビCMなどを通じた「反響営業」の効果がやや低下した模様で、新たな顧客獲得に苦戦し新規売上は減収となった。また、下期の新規売上回復に貢献した「ジャスミー」も、新旗艦商品として同社が期待した水準までは届かなかったようだ。現状は、「反響営業」の低下をカウンセラーのスキルによる成約率向上でカバーしている。また従来の「反響営業」とは異なる顧客接点の確保に向けて、新宿プロムナードへ期間限定で路面店出店やSNSの活用強化など様々な方法を試した。この結果、女性向け事業は売上高12,570百万円(同1.7%減)、セグメント利益7,976百万円(同4.8%減)となった。
女性向け既製品では、オーダーメイドウィッグで人気の森山良子氏と清水ミチコ氏をキャラクターとして起用したこともあり、2024年10月に発売した新商品「レフィア グレース」が既製品事業過去最大のヒットになるなど、好調に推移した。加えて、効果的な新規出店、出店先商業施設向けの販促活動もあり、女性向け既製品事業は売上高6,076百万円(同7.4%増)、セグメント利益4,919百万円(同7.9%増)と順調な伸びとなった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<HN>
Copyright(c) FISCO Ltd. All rights reserved.
ニュースカテゴリ
注目トピックス 市況・概況
NY市場・クローズ
海外市場動向
注目トピックス 日本株
注目トピックス 経済総合
強弱材料
コラム【EMW】
オープニングコメント
日経225・本日の想定レンジ
寄り付き概況
新興市場スナップショット
注目トピックス 外国株
個別銘柄テクニカルショット
ランチタイムコメント
後場の投資戦略
後場の寄り付き概況
相場概況
本日の注目個別銘柄
JASDAQ市況
マザーズ市況
Miniトピック
来週の買い需要
日経QUICKニュース
みんかぶニュース 投資家動向
みんかぶニュース 為替・FX
みんかぶニュース 市況・概況
みんかぶニュース 個別・材料
みんかぶニュース コラム
みんかぶニュース その他
ビットコインニュース
アルトコインニュース
GRICI
暗号資産速報
Reuters Japan Online Report Business News
金融ウォッチ その他
FISCO その他
グロース市況