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三機工業 Research Memo(7):2028年3月期に売上高3,000億円、営業利益300億円などの達成を目指す
配信日時:2025/06/18 11:07
配信元:FISCO
*11:07JST 三機工業 Research Memo(7):2028年3月期に売上高3,000億円、営業利益300億円などの達成を目指す
■中期経営計画
1. 長期ビジョン:“MIRAI2030”
三機工業<1961>では、前経営ビジョン“Century 2025”が1年前倒しで達成されたことを受けて新しい経営ビジョン“MIRAI2030”を発表した。この計画では、2031年3月期のありたい姿を示すと同時に、最初の3年間を第1ステップとして中期経営計画として定めた。これらの計画の目標及び概要は以下のとおりである。
(1) 前経営ビジョン“Century 2025”の振り返り
“Century 2025”の9年間を通じて、定量的目標としては、売上高・営業利益ともに増収・増益を達成し、直近ROEについては8%を大きく超過した。
成果としては、「先端分野への事業拡大と技術探索」「外部連携強化とサステナビリティ推進」「組織・デジタル変革」が進んだが、一方で「戦略投資と事業構造改革」「人的資本・共創の強化」「ステークホルダー価値の向上」は目標に達せず、課題として残った。
(2)“MIRAI2030”:2030年のありたい姿
同社では、長期の目標である2031年3月期の「ありたい姿」(定量的目標)として、売上高3,500億円、ROE16.0%以上、従業員数3,000人を掲げている。
さらにこの長期目標に達するための第1ステップ(2026年3月期~2028年3月期の3ヶ年)として、「中期経営計画2027」を発表した。
2. 「中期経営計画2027」について
(1) 数値目標
数値目標としては、2028年3月期に売上高3,000億円、営業利益300億円、ROE16.0%以上※、DOE5.0%以上(配当方針の見直し)、従業員数2,900人を目指す。
※ ROEは政策保有株式の売却益除く。
(2) 重点テーマと重要戦略
重点テーマとしては「深化と共創」を掲げ、戦略骨子としては「事業戦略」「財務・資本戦略」「成長投資戦略」「R&D戦略」「人財戦略」「DX戦略」の6つを掲げている。さらにこれらの戦略を推進するための「経営管理の最適化」及び「企業価値向上指標」も発表している。
これらの重要戦略のなかでも特に「事業戦略」「財務・資本戦略」「人財戦略」に重点を置いており、以下のような施策を推進する。
(3) 事業戦略
事業戦略においては、主に以下の戦略を進める。
1) コア事業の戦略的深化
2) 環境技術による脱炭素事業の推進
3) デジタル技術による事業進化
4) 戦略的アライアンスによる共創と事業拡大
(4) 財務・資本戦略
資本コストと株価を意識した経営への対応を最重要課題として、ROE・EPSの持続的な向上により企業価値のさらなる増大を目指す。
ROEにおいては、エクイティスプレッドを意識したROE向上を図る。一般的な算出方式(CAPM)では投資家の期待値より低くなる傾向を踏まえて、同社では時価総額に応じたサイズプレミアム※を加算し、通常より高い株主資本コストを認識している。
※ 時価総額が小さいほど流動性が低く株価の変動リスクが高まるため、投資家が要求する追加的なリターン
EPSについては、M&A関連投資、人的資本投資、DX投資、R&D投資、設備投資(環境関連含む)などの成長投資を推進すると同時に、資本効率の向上を意識してステークホルダーへの還元、事業別ROICマネジメントの導入・浸透や政策保有株式の縮減を進める。一方で、ROE向上を意識した株主還元、取引先に対するさらなる支払条件の改善も進める。
財務・資本戦略の数値目標としては、2028年3月期までにROE16.0%以上、EPS430円以上、成長投資500億円程度、配当方針としてはDOE5.0%以上、自己株式取得400万株程度を掲げている。
(5) 成長投資戦略
「500億円の成長投資枠」は5つの重点分野に積極的に投資を行う計画だ。
(6) R&D戦略
R&Dビジョンとしては、「人間、テクノロジー、自然の調和による持続可能な未来の創造」を掲げている。主に「統合的イノベーション」「持続可能性の追求」「人間中心の技術開発」のテーマに沿ってR&Dを推進する方針だ。
(7) 人財戦略
同社では、グループの強みとして、「様々なステークホルダーとの間で、密で丁寧なコミュニケーションを行い、困りごとを解決しようと真面目に仕事と向き合い、創意工夫をこらし、やりきる姿勢を貫くことによって付加価値を高め、顧客からの信頼を獲得し、選ばれ続けてきた」と自負している。
これに基づき同社では、今後の人財戦略の基本方針として「人財の獲得」(未来を創っていく人財の獲得)、「人財の成長・育成」(従業員の価値創造力の強化)、「人財の維持」(従業員が働き続けたい、貢献したい会社となる環境作り)の3つを掲げている。
さらに経営戦略実行のための対応力の獲得として、「人財の対応力」「人財の活用」を強化していく方針だ。人財の対応力では、大型案件の獲得やDX推進、M&A実行などに必要な対応力の獲得・強化を目指す。人財の活用では、脱炭素やその先を見据えた先端技術開発、グローバル事業展開などへの人財活用を進める。
(8) DX戦略
「SANKI DX VISION」で掲げる3つの改革施策(業務プロセス改革、デジタル基盤の構築、デジタル人財の育成・強化)を重要成功要因(Key Success Factor)として具体化し、成果を創出していく。具体的には以下の施策を実行していく。
1) 組織基盤の強化
業務の標準化により、個人依存から組織的な対応への転換を進め、全社最適なシステム環境が整備されることで、定型業務の30%自動化を維持する。
2) 全社ITシステムの最適運用
ITガバナンス体制の強化により、企画立案から投資管理、運用までの一貫したIT資産管理を実現し、全社システムが最適に運用される状況を継続する。
3) 付加価値の向上
BIMやAIなど高度なデジタル技術を駆使して生産性と品質を向上させることで、当社の付加価値を極大化し、顧客とともに未来を築くパートナーシップを確立していく。
4) 個々人の成長意欲の向上
習得したスキルを実践し、その成果が正しく評価されることで、全従業員に自律的な学びが定着し、自らの可能性を広げる力が備わる環境を維持する。
5) 挑戦意欲の向上と組織の進化
挑戦機会を充実させ、DXコア人財を100名創出する。このコア人財を中心に、「挑戦」と「支援」の好循環を生み出すことで、組織全体を継続的に進化し続ける。
(9) 経営管理の最適化
ステークホルダーと対話しつつ、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行う仕組みを整える。これにより、今後生じうる経営環境の変化に柔軟に対応する。主に「ガバナンスの強化」「コンプライアンスの徹底」「リスクマネジメントの高度化」「ステークホルダーコミュニケーションの充足」を推進する。
(10) 企業価値向上指標(2028年3月期末)
企業価値向上を目指して、以下のKPIを設定した。
・労働災害度数率0.55以下を維持
・外部連携による共創事業提案数(2028年3月期)12件以上
・ロボティクス技術開発件数(3ヶ年累計)10件
・生産性向上の取り組み件数前期比20%増
・大規模プロジェクトでのBIM導入率85%以上
・大規模プロジェクトでのフロントローディング率80%以上
・外部連携による共創研究件数(2028年3月期)20件以上
・調達業務の一元化(70%→80%以上)
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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1. 長期ビジョン:“MIRAI2030”
三機工業<1961>では、前経営ビジョン“Century 2025”が1年前倒しで達成されたことを受けて新しい経営ビジョン“MIRAI2030”を発表した。この計画では、2031年3月期のありたい姿を示すと同時に、最初の3年間を第1ステップとして中期経営計画として定めた。これらの計画の目標及び概要は以下のとおりである。
(1) 前経営ビジョン“Century 2025”の振り返り
“Century 2025”の9年間を通じて、定量的目標としては、売上高・営業利益ともに増収・増益を達成し、直近ROEについては8%を大きく超過した。
成果としては、「先端分野への事業拡大と技術探索」「外部連携強化とサステナビリティ推進」「組織・デジタル変革」が進んだが、一方で「戦略投資と事業構造改革」「人的資本・共創の強化」「ステークホルダー価値の向上」は目標に達せず、課題として残った。
(2)“MIRAI2030”:2030年のありたい姿
同社では、長期の目標である2031年3月期の「ありたい姿」(定量的目標)として、売上高3,500億円、ROE16.0%以上、従業員数3,000人を掲げている。
さらにこの長期目標に達するための第1ステップ(2026年3月期~2028年3月期の3ヶ年)として、「中期経営計画2027」を発表した。
2. 「中期経営計画2027」について
(1) 数値目標
数値目標としては、2028年3月期に売上高3,000億円、営業利益300億円、ROE16.0%以上※、DOE5.0%以上(配当方針の見直し)、従業員数2,900人を目指す。
※ ROEは政策保有株式の売却益除く。
(2) 重点テーマと重要戦略
重点テーマとしては「深化と共創」を掲げ、戦略骨子としては「事業戦略」「財務・資本戦略」「成長投資戦略」「R&D戦略」「人財戦略」「DX戦略」の6つを掲げている。さらにこれらの戦略を推進するための「経営管理の最適化」及び「企業価値向上指標」も発表している。
これらの重要戦略のなかでも特に「事業戦略」「財務・資本戦略」「人財戦略」に重点を置いており、以下のような施策を推進する。
(3) 事業戦略
事業戦略においては、主に以下の戦略を進める。
1) コア事業の戦略的深化
2) 環境技術による脱炭素事業の推進
3) デジタル技術による事業進化
4) 戦略的アライアンスによる共創と事業拡大
(4) 財務・資本戦略
資本コストと株価を意識した経営への対応を最重要課題として、ROE・EPSの持続的な向上により企業価値のさらなる増大を目指す。
ROEにおいては、エクイティスプレッドを意識したROE向上を図る。一般的な算出方式(CAPM)では投資家の期待値より低くなる傾向を踏まえて、同社では時価総額に応じたサイズプレミアム※を加算し、通常より高い株主資本コストを認識している。
※ 時価総額が小さいほど流動性が低く株価の変動リスクが高まるため、投資家が要求する追加的なリターン
EPSについては、M&A関連投資、人的資本投資、DX投資、R&D投資、設備投資(環境関連含む)などの成長投資を推進すると同時に、資本効率の向上を意識してステークホルダーへの還元、事業別ROICマネジメントの導入・浸透や政策保有株式の縮減を進める。一方で、ROE向上を意識した株主還元、取引先に対するさらなる支払条件の改善も進める。
財務・資本戦略の数値目標としては、2028年3月期までにROE16.0%以上、EPS430円以上、成長投資500億円程度、配当方針としてはDOE5.0%以上、自己株式取得400万株程度を掲げている。
(5) 成長投資戦略
「500億円の成長投資枠」は5つの重点分野に積極的に投資を行う計画だ。
(6) R&D戦略
R&Dビジョンとしては、「人間、テクノロジー、自然の調和による持続可能な未来の創造」を掲げている。主に「統合的イノベーション」「持続可能性の追求」「人間中心の技術開発」のテーマに沿ってR&Dを推進する方針だ。
(7) 人財戦略
同社では、グループの強みとして、「様々なステークホルダーとの間で、密で丁寧なコミュニケーションを行い、困りごとを解決しようと真面目に仕事と向き合い、創意工夫をこらし、やりきる姿勢を貫くことによって付加価値を高め、顧客からの信頼を獲得し、選ばれ続けてきた」と自負している。
これに基づき同社では、今後の人財戦略の基本方針として「人財の獲得」(未来を創っていく人財の獲得)、「人財の成長・育成」(従業員の価値創造力の強化)、「人財の維持」(従業員が働き続けたい、貢献したい会社となる環境作り)の3つを掲げている。
さらに経営戦略実行のための対応力の獲得として、「人財の対応力」「人財の活用」を強化していく方針だ。人財の対応力では、大型案件の獲得やDX推進、M&A実行などに必要な対応力の獲得・強化を目指す。人財の活用では、脱炭素やその先を見据えた先端技術開発、グローバル事業展開などへの人財活用を進める。
(8) DX戦略
「SANKI DX VISION」で掲げる3つの改革施策(業務プロセス改革、デジタル基盤の構築、デジタル人財の育成・強化)を重要成功要因(Key Success Factor)として具体化し、成果を創出していく。具体的には以下の施策を実行していく。
1) 組織基盤の強化
業務の標準化により、個人依存から組織的な対応への転換を進め、全社最適なシステム環境が整備されることで、定型業務の30%自動化を維持する。
2) 全社ITシステムの最適運用
ITガバナンス体制の強化により、企画立案から投資管理、運用までの一貫したIT資産管理を実現し、全社システムが最適に運用される状況を継続する。
3) 付加価値の向上
BIMやAIなど高度なデジタル技術を駆使して生産性と品質を向上させることで、当社の付加価値を極大化し、顧客とともに未来を築くパートナーシップを確立していく。
4) 個々人の成長意欲の向上
習得したスキルを実践し、その成果が正しく評価されることで、全従業員に自律的な学びが定着し、自らの可能性を広げる力が備わる環境を維持する。
5) 挑戦意欲の向上と組織の進化
挑戦機会を充実させ、DXコア人財を100名創出する。このコア人財を中心に、「挑戦」と「支援」の好循環を生み出すことで、組織全体を継続的に進化し続ける。
(9) 経営管理の最適化
ステークホルダーと対話しつつ、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行う仕組みを整える。これにより、今後生じうる経営環境の変化に柔軟に対応する。主に「ガバナンスの強化」「コンプライアンスの徹底」「リスクマネジメントの高度化」「ステークホルダーコミュニケーションの充足」を推進する。
(10) 企業価値向上指標(2028年3月期末)
企業価値向上を目指して、以下のKPIを設定した。
・労働災害度数率0.55以下を維持
・外部連携による共創事業提案数(2028年3月期)12件以上
・ロボティクス技術開発件数(3ヶ年累計)10件
・生産性向上の取り組み件数前期比20%増
・大規模プロジェクトでのBIM導入率85%以上
・大規模プロジェクトでのフロントローディング率80%以上
・外部連携による共創研究件数(2028年3月期)20件以上
・調達業務の一元化(70%→80%以上)
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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