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筑波精工 Research Memo(3):「ステージ」など3製品を製造。根幹技術は静電チャック(1)
配信日時:2025/06/12 14:03
配信元:FISCO
*14:03JST 筑波精工 Research Memo(3):「ステージ」など3製品を製造。根幹技術は静電チャック(1)
■筑波精工<6596>の事業概要
1. 主要事業
(1) 静電チャックとは
静電チャックとは、特定の素材基板(保持材)表面に電界を発生させることで、対象物(ガラスやシリコンウエハなど)を吸着保持する“治具(保持具)”のことである。対象物が非常に軽い・薄い素材の場合には割れやすく、あるいは反ってしまうことが多いため、長時間にわたって移動を繰り返すことは容易ではない。対象物が各種の製造プロセスを移動するような場合(例えばシリコンウエハなど)には、対象物を頑丈な治具に吸着保持させることで反りや割れといった損傷を防げる。
(2) 特色と強み
静電チャックの技術そのものは古くから存在し、様々な分野で使われているが、同社の静電チャックは以下のような特色がある。
1) 対象物が多様
同社の静電チャックの第一の特色は、対象物表面に電界を集中させることで、低電圧で高吸着力を発生させることにある。そのため、既存の静電チャックでは取り扱えなかったガラス・紙などの絶縁体の素材や極薄ウエハ等の半導体分野でも利用できる。
2) 吸着力が均一で強い
電界の表面集中とイオン分極の最適化により、吸着が均一で吸着力が相対的に強い。この吸着力が均一であることが、下記に述べるようにAI半導体(正確には超微細化加工が必要な半導体)向けに評価されている。
3) 給電ユニットなしで吸着力を維持
一般的な静電チャックが給電ユニットを常時接続して吸着力を維持するのに対して、同社の静電チャックは給電ユニットを外しても吸着力を維持できる点が特色である。また、回路形成後のシリコンウエハだけでなく、将来的にはパワー半導体等向けとして有望視されるガリウムひ素、チッ化ガリウム、セラミック等にも応用可能になると見られる。なお、同社製品のなかで、給電ユニットなしでも吸着を維持できる製品は「Supporter」である。
2. 製品別概要
従来は、主たる製品である「Supporter」及び「ステージ(ディスプレー向け)」とそれ以外の「その他(ディスプレー向け以外のステージ類似製品)」を製品別の区分としていたが、2024年3月期より給電ユニットから分離しても単体で稼働する静電チャックシステムの売上を「Supporter」、給電ユニットに常時接続して稼働する静電チャックシステムの売上を「ステージ」としている。また、今後は自動機ユニットの販売の重要性が増すと予想されため、「自動機」の分類を新たに設けた。
(1) 「ステージ」
給電ユニットが付属している静電チャックを、“システム”として販売している。対象物の吸着/分離をコントロールできることから、薄いガラス板、スマートフォンのディスプレー用フイルム、大型ディスプレーのODF(液晶滴下方式工法)向けとなっている。顧客は、スマートフォンを生産するメーカーに部品を納入しているメーカーや、大画面(2m×2mなど)の液晶ディスプレーを扱うメーカーなどである。
(2) 「Supporter」
主力製品である“静電チャック”の一種で、ガラスの両面に特殊な素材を挟みこみ一体形成したものである。同社既存の静電チャックが持つ特色に加え、給電ユニットから分離しても吸着力を維持する特色を備えている。給電ユニットを用いて一度電界をかけると保持力は半永久的に維持され、もう一度給電ユニットを用いて電界を解除すれば、いつでも「Supporter」と対象物を分離できるという従来の静電チャックにはなかった特色を有しており、“常識を打ち破った製品”と言える。「Supporter」は、半導体の製造プロセスでウエハの把持、運搬などに利用されるが、既存の製造ラインに大幅な修正を加えずに50μ厚(μ=1,000分の1mm)などの薄型ウエハの製造プロセスで発生するウエハの反りや微細なクラックによる不良品の発生を防止し、製造ラインの自動化率と製品の歩留率を向上させる。同製品の売上高は、主に「Supporter」の販売枚数×価格(非開示)である。
「Supporter」の特長を要約すると次のようになる。
・0.5mm厚と薄いため、半導体ラインにそのまま投入可能
・ウエハ吸着後も外部給電を必要としない
・給電ユニットから分離しても吸着力は半永久的に持続
・薄型ウエハの加工を可能とするほか、クラック等の発生を防止して歩留まりの向上を実現
(3) 「自動機」
「Supporter」に電界をかけて半導体製造ラインに自動投入するための機器を指す。2023年3月期までは試験用の半自動機であったが、2024年3月期に量産ライン用の「自動機」の販売を開始したため、新たな分類を設けた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<HN>
1. 主要事業
(1) 静電チャックとは
静電チャックとは、特定の素材基板(保持材)表面に電界を発生させることで、対象物(ガラスやシリコンウエハなど)を吸着保持する“治具(保持具)”のことである。対象物が非常に軽い・薄い素材の場合には割れやすく、あるいは反ってしまうことが多いため、長時間にわたって移動を繰り返すことは容易ではない。対象物が各種の製造プロセスを移動するような場合(例えばシリコンウエハなど)には、対象物を頑丈な治具に吸着保持させることで反りや割れといった損傷を防げる。
(2) 特色と強み
静電チャックの技術そのものは古くから存在し、様々な分野で使われているが、同社の静電チャックは以下のような特色がある。
1) 対象物が多様
同社の静電チャックの第一の特色は、対象物表面に電界を集中させることで、低電圧で高吸着力を発生させることにある。そのため、既存の静電チャックでは取り扱えなかったガラス・紙などの絶縁体の素材や極薄ウエハ等の半導体分野でも利用できる。
2) 吸着力が均一で強い
電界の表面集中とイオン分極の最適化により、吸着が均一で吸着力が相対的に強い。この吸着力が均一であることが、下記に述べるようにAI半導体(正確には超微細化加工が必要な半導体)向けに評価されている。
3) 給電ユニットなしで吸着力を維持
一般的な静電チャックが給電ユニットを常時接続して吸着力を維持するのに対して、同社の静電チャックは給電ユニットを外しても吸着力を維持できる点が特色である。また、回路形成後のシリコンウエハだけでなく、将来的にはパワー半導体等向けとして有望視されるガリウムひ素、チッ化ガリウム、セラミック等にも応用可能になると見られる。なお、同社製品のなかで、給電ユニットなしでも吸着を維持できる製品は「Supporter」である。
2. 製品別概要
従来は、主たる製品である「Supporter」及び「ステージ(ディスプレー向け)」とそれ以外の「その他(ディスプレー向け以外のステージ類似製品)」を製品別の区分としていたが、2024年3月期より給電ユニットから分離しても単体で稼働する静電チャックシステムの売上を「Supporter」、給電ユニットに常時接続して稼働する静電チャックシステムの売上を「ステージ」としている。また、今後は自動機ユニットの販売の重要性が増すと予想されため、「自動機」の分類を新たに設けた。
(1) 「ステージ」
給電ユニットが付属している静電チャックを、“システム”として販売している。対象物の吸着/分離をコントロールできることから、薄いガラス板、スマートフォンのディスプレー用フイルム、大型ディスプレーのODF(液晶滴下方式工法)向けとなっている。顧客は、スマートフォンを生産するメーカーに部品を納入しているメーカーや、大画面(2m×2mなど)の液晶ディスプレーを扱うメーカーなどである。
(2) 「Supporter」
主力製品である“静電チャック”の一種で、ガラスの両面に特殊な素材を挟みこみ一体形成したものである。同社既存の静電チャックが持つ特色に加え、給電ユニットから分離しても吸着力を維持する特色を備えている。給電ユニットを用いて一度電界をかけると保持力は半永久的に維持され、もう一度給電ユニットを用いて電界を解除すれば、いつでも「Supporter」と対象物を分離できるという従来の静電チャックにはなかった特色を有しており、“常識を打ち破った製品”と言える。「Supporter」は、半導体の製造プロセスでウエハの把持、運搬などに利用されるが、既存の製造ラインに大幅な修正を加えずに50μ厚(μ=1,000分の1mm)などの薄型ウエハの製造プロセスで発生するウエハの反りや微細なクラックによる不良品の発生を防止し、製造ラインの自動化率と製品の歩留率を向上させる。同製品の売上高は、主に「Supporter」の販売枚数×価格(非開示)である。
「Supporter」の特長を要約すると次のようになる。
・0.5mm厚と薄いため、半導体ラインにそのまま投入可能
・ウエハ吸着後も外部給電を必要としない
・給電ユニットから分離しても吸着力は半永久的に持続
・薄型ウエハの加工を可能とするほか、クラック等の発生を防止して歩留まりの向上を実現
(3) 「自動機」
「Supporter」に電界をかけて半導体製造ラインに自動投入するための機器を指す。2023年3月期までは試験用の半自動機であったが、2024年3月期に量産ライン用の「自動機」の販売を開始したため、新たな分類を設けた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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