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シュッピン Research Memo(5):次世代のターゲットとなる若年層や女性層の獲得進む
配信日時:2025/06/06 12:35
配信元:FISCO
*12:35JST シュッピン Research Memo(5):次世代のターゲットとなる若年層や女性層の獲得進む
■シュッピン<3179>の決算概要
4. 四半期業績とKPIの推移
(1) 四半期業績の推移
2025年3月期は第1四半期が好調に滑り出し、過去最高水準(四半期ベース)を更新したものの、第2四半期以降は円高基調の影響等により「時計事業」が軟調に転じ、店舗売上(及び免税売上)の低迷を招いた。ただ、EC売上は「カメラ事業」を軸に順調に拡大を続け、3四半期連続で100億円を超える水準で推移している。
(2) Web会員数
2025年3月末のWeb会員数は72.8万人(前期末比5.7万人増)と順調に推移した。InstagramなどSNSの普及により、手頃で身近な趣味としてカメラを始める人が増えたことに加え、これまでのEC強化策が軌道に乗り同社ブランドや運営サイトの認知度が高まってきたことが背景にあると考えられる。世代別の構成比を見ると年齢層は幅広いが10代~30代の割合は40%を占め、そのうち女性比率は24%と他年代と比べて高く、新たなターゲット層となっている※。また、若い世代の構成比が増加しているなかでも、利用平均単価が維持されているところも特筆すべき傾向である。
※ 第4四半期の新規加入者についても女性が全体の23%を占めている。
(3) Web購入会員数とアクティブ率
Web購入会員数とアクティブ率についても新規会員数が純増するなか、引き続き高い水準を維持している。欲しいリスト登録商品数※1や入荷お知らせメール登録数※2も順調に伸びており、それらのOne to Oneマーケティング施策もアクティブ率を高い水準で維持する要因となっているようだ。特に入荷お知らせメールについては、メールやアプリだけでなくLINEでのお知らせ機能を2022年5月より開始したことにより配信数が大幅に増加したほか、One to OneマーケティングとAIMD、さらにはAIコンテンツレコメンドとの掛け合わせによりリクエスト配信数※3も堅調に推移しており、これらも取引機会の拡大に大きく寄与している。また動画配信を中心としたコンテンツの拡充にも注力しており、これまで獲得できていなかった若年層視聴者の獲得も進んでいる※4。
※1 欲しいリストの新規登録数は月平均約9万件で推移しており、2025年3月末には約260万件に拡大した。
※2 入荷お知らせメールの新規登録数も月平均約7,000件で推移しており、2025年3月末には約18万件に拡大した。
※3 上記の「入荷お知らせメール」配信と合わせると四半期1,573万件の配信数となり、来店客数換算で約350店(同社試算)の実店舗に相当する情報発信力及び顧客接点を生み出していることになる。
※4 「コンテンツクリエイト部」を新設し、映像制作の実務経験を持つ人財を複数名配置したほか、2025年1月には自社内にスタジオを新設し、YouTubeコンテンツ強化を図った。
(4) 中古カメラ買取額
中古カメラ買取額についても、これまでのAI顔認証システムやAIMDに加え、AIコンテンツレコメンドの導入などEC強化が奏功し、ECでの買取比率は80%水準で推移している。また、先取交換や下取交換も好調に推移しており、EC買取比率の底上げに寄与している。
5. 2025年3月期の総括
2025年3月期を総括すると、2024年8月以降の円高基調の影響を受けて「時計事業」が軟調に転じたことを除けば、主軸の「カメラ事業」がECを軸に総じて順調に拡大したとの見方ができる。各KPIの好調な推移も、同社の事業モデルが優位性を維持していることの証左と言えるだろう。特に、LINEによる配信力強化やYouTubeを活用した動画コンテンツの充実などが新たなドライバー(タッチポイント創出の原動力)となり、若年層や女性といった次世代のターゲット層を獲得できているところは事業モデルの持続可能性といった観点からも、評価すべきポイントである。一方、外部要因の影響を受けやすい「時計事業」についてはボラティリティ(不確実性)の高さを改めて認識する結果となった。時計に対する購買行動は、コト消費を目的とする愛好者が増えてきたカメラと比べて、投機目的を含めて市況や資産効果などに敏感に反応しやすいところに特徴があり、一時のバブル相場からは落ち着きを取り戻したものの、投機的な動きは一定程度残っている。とは言え、1兆円を超える市場規模はもちろん、そのコア部分を構成する熱量の高いマニアや装飾品(ファッションアイテム)としてのこだわりを持つユーザーの存在は同社にとって魅力的なターゲットであることに変わりはなく、安定した収益を稼げるビジネスモデルや独自のポジションニングの確立が今後の課題と言えるだろう。また、活動面では、動画コンテンツスタジオの新設やポイントプログラムのバリューアップなど、将来を見据えた施策に取り組んだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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4. 四半期業績とKPIの推移
(1) 四半期業績の推移
2025年3月期は第1四半期が好調に滑り出し、過去最高水準(四半期ベース)を更新したものの、第2四半期以降は円高基調の影響等により「時計事業」が軟調に転じ、店舗売上(及び免税売上)の低迷を招いた。ただ、EC売上は「カメラ事業」を軸に順調に拡大を続け、3四半期連続で100億円を超える水準で推移している。
(2) Web会員数
2025年3月末のWeb会員数は72.8万人(前期末比5.7万人増)と順調に推移した。InstagramなどSNSの普及により、手頃で身近な趣味としてカメラを始める人が増えたことに加え、これまでのEC強化策が軌道に乗り同社ブランドや運営サイトの認知度が高まってきたことが背景にあると考えられる。世代別の構成比を見ると年齢層は幅広いが10代~30代の割合は40%を占め、そのうち女性比率は24%と他年代と比べて高く、新たなターゲット層となっている※。また、若い世代の構成比が増加しているなかでも、利用平均単価が維持されているところも特筆すべき傾向である。
※ 第4四半期の新規加入者についても女性が全体の23%を占めている。
(3) Web購入会員数とアクティブ率
Web購入会員数とアクティブ率についても新規会員数が純増するなか、引き続き高い水準を維持している。欲しいリスト登録商品数※1や入荷お知らせメール登録数※2も順調に伸びており、それらのOne to Oneマーケティング施策もアクティブ率を高い水準で維持する要因となっているようだ。特に入荷お知らせメールについては、メールやアプリだけでなくLINEでのお知らせ機能を2022年5月より開始したことにより配信数が大幅に増加したほか、One to OneマーケティングとAIMD、さらにはAIコンテンツレコメンドとの掛け合わせによりリクエスト配信数※3も堅調に推移しており、これらも取引機会の拡大に大きく寄与している。また動画配信を中心としたコンテンツの拡充にも注力しており、これまで獲得できていなかった若年層視聴者の獲得も進んでいる※4。
※1 欲しいリストの新規登録数は月平均約9万件で推移しており、2025年3月末には約260万件に拡大した。
※2 入荷お知らせメールの新規登録数も月平均約7,000件で推移しており、2025年3月末には約18万件に拡大した。
※3 上記の「入荷お知らせメール」配信と合わせると四半期1,573万件の配信数となり、来店客数換算で約350店(同社試算)の実店舗に相当する情報発信力及び顧客接点を生み出していることになる。
※4 「コンテンツクリエイト部」を新設し、映像制作の実務経験を持つ人財を複数名配置したほか、2025年1月には自社内にスタジオを新設し、YouTubeコンテンツ強化を図った。
(4) 中古カメラ買取額
中古カメラ買取額についても、これまでのAI顔認証システムやAIMDに加え、AIコンテンツレコメンドの導入などEC強化が奏功し、ECでの買取比率は80%水準で推移している。また、先取交換や下取交換も好調に推移しており、EC買取比率の底上げに寄与している。
5. 2025年3月期の総括
2025年3月期を総括すると、2024年8月以降の円高基調の影響を受けて「時計事業」が軟調に転じたことを除けば、主軸の「カメラ事業」がECを軸に総じて順調に拡大したとの見方ができる。各KPIの好調な推移も、同社の事業モデルが優位性を維持していることの証左と言えるだろう。特に、LINEによる配信力強化やYouTubeを活用した動画コンテンツの充実などが新たなドライバー(タッチポイント創出の原動力)となり、若年層や女性といった次世代のターゲット層を獲得できているところは事業モデルの持続可能性といった観点からも、評価すべきポイントである。一方、外部要因の影響を受けやすい「時計事業」についてはボラティリティ(不確実性)の高さを改めて認識する結果となった。時計に対する購買行動は、コト消費を目的とする愛好者が増えてきたカメラと比べて、投機目的を含めて市況や資産効果などに敏感に反応しやすいところに特徴があり、一時のバブル相場からは落ち着きを取り戻したものの、投機的な動きは一定程度残っている。とは言え、1兆円を超える市場規模はもちろん、そのコア部分を構成する熱量の高いマニアや装飾品(ファッションアイテム)としてのこだわりを持つユーザーの存在は同社にとって魅力的なターゲットであることに変わりはなく、安定した収益を稼げるビジネスモデルや独自のポジションニングの確立が今後の課題と言えるだろう。また、活動面では、動画コンテンツスタジオの新設やポイントプログラムのバリューアップなど、将来を見据えた施策に取り組んだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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