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DDグループ Research Memo(6):高収益ブランドの出店拡大が成長をけん引。足元業績は過去最高益更新(2)
配信日時:2025/06/06 10:36
配信元:FISCO
*10:36JST DDグループ Research Memo(6):高収益ブランドの出店拡大が成長をけん引。足元業績は過去最高益更新(2)
■DDグループ<3073>の決算動向
2. 2025年2月期の業績概要
2025年2月期の連結業績は、売上高が前期比4.0%増の38,578百万円、営業利益が同15.3%増の3,738百万円、経常利益が同14.4%増の3,581百万円、親会社株主に帰属する当期純利益(以下、最終利益)が同29.8%減の2,397百万円と増収増益となり、過去最高益(最終利益を除く)を更新した。なお、最終利益のみ減益となったのは、税効果会計(前事業年度までに計上(積み増し)した繰延税金資産の一部取崩)によるものである。
売上高は、地震や台風、酷暑等の天候不順の影響を受けたものの、「飲食・アミューズメント事業」が既存店の伸びや新規出店の貢献により総じて好調に推移した。既存店売上高(通期平均)は客数及び客単価ともに増加し、前期比107.1%(期初想定は102.1%)と想定を大きく上振れた。一方、「ホテル・不動産事業」については、厚木ホテルの1棟借上げ契約終了(2023年5月)※に伴う影響などにより減収となったものの想定内であり、その点を除けば、貸コンテナ事業が安定推移したほか、ホテル事業においても稼働率・客単価ともに堅調であった。
※ 神奈川県による新型コロナウイルス感染症軽症者受入施設としての1棟借上げは2023年5月末に終了した。その後、リニューアル工事を経て、2024年3月15日に「3S HOTEL ATSUGI」としてリブランドオープンしている。
出退店については、新規出店4店舗、退店17店舗により、2025年2月期末の直営店舗数は310店舗となった。
損益面では、「ホテル・不動産事業」において厚木ホテルの1棟借上げ契約終了に伴う影響及び「3S HOTEL ATSUGI」のリブランドオープンに伴う開業準備費用等が発生したものの、「飲食・アミューズメント事業」による収益の押し上げやコスト構造改革(不採算店舗の解消を含む)の継続により営業増益を確保した。なお、物価上昇に伴う影響についても、柔軟なメニュー変更による客単価の向上及び連結子会社(株)DDプラスの共同仕入施策(詳細後述)により、原価高騰を抑制できた。
財政状態については、現金及び預金の減少などにより総資産が前期末比8.7%減の31,307百万円に縮小した。一方、自己資本も利益剰余金の増加分(2,196百万円)をA種優先株式の一部償還(3,122百万円の減少)で打ち返したことで前期末比10.9%減の8,092百万円に縮小し、その結果、自己資本比率は25.8%(前期末は26.5%)とわずかに低下した。もっとも、有利子負債は前期末比12.4%減の16,601百万円に減少するとともに、シンジケートローンの導入(短期借入金の借り換え)に伴い長短比率が改善した。ネットD/Eレシオも1.1倍(中計目標値は2倍未満)と良好な水準にあり、A種優先株式の一部償還後も財務の安全性は確保できている。
各事業の業績や主な取り組みは以下のとおりである。
(1) 飲食・アミューズメント事業
a) 飲食
売上高は前期比4.5%増の28,460百万円、セグメント利益は同22.6%増の3,327百万円となった。地震や台風、酷暑等の天候不順の影響のほか、食材価格やエネルギー価格の上昇といった外部環境の悪化の影響を受けたものの、外食需要の回復や柔軟なメニュー改定が奏功し、客数及び客単価がそれぞれ増加した。既存店売上高(通期平均)は同106.9%に増加するとともに、新規店舗の立ち上がりの早さも業績に寄与した。損益面でも、増収による収益の押し上げのほか、原価対策(メニュー改定や共同購買等)やコスト構造改革の継続により大幅な増益を達成し、セグメント利益率は11.7%(前期は10.0%)と2ケタ水準を維持した。出退店については、新規出店3店舗、退店14店舗により2025年2月期末の店舗数(直営店)は260店舗になった。また、IPコンテンツを活用した店舗運営受託でも一定の成果を上げることができた(詳細後述)。
b) アミューズメント
売上高は前期比6.8%増の8,011百万円、セグメント利益は同12.9%増の1,672百万円となった。人流回復に伴うイベント施策を推進等により、「飲食事業」と同様、客数及び客単価がそれぞれ増加し、既存店売上高は同107.6%に増加した。損益面でも、原価高止まりが続くなかで、増収による収益の押し上げにより増益を確保し、セグメント利益率は20.9%(前期は19.7%)と20%台に乗った。また、好調な主力事業(ビリヤード・ダーツ・カラオケ業態)と比べて苦戦が続いていたインターネットカフェ事業についても、不採算店舗の退店を進めつつ、ビリヤードやダーツ・カラオケ個室の新設や増設等を通じた業績回復に着手した。営業を再開したカプセルホテル事業は損失が大幅に縮小した。
(2) ホテル・不動産事業
売上高は前期比10.3%減の2,106百万円、セグメント利益は同48.8%減の174百万円となった。「3S HOTEL ATSUGI」が2024年3月にリブランドオープンしたほか、各ホテルが夏季需要増の取り込みを含め、年間を通じて稼働率及び客室単価ともに堅調に推移した※1。また、貸コンテナ事業も安定的な伸びを継続している※2。ただ、前期比で減収となったのは、2024年2月期において厚木ホテルの1棟借上げ契約※3や神奈川県旅行支援、事業予定地の売却など一過性要因による収益があったため、その反動減によるものである。一方、損益面でも、厚木ホテルの1棟借上げ契約終了に伴う影響に加え、「3S HOTEL ATSUGI」リブランドオープンに伴う開業準備費用や売却用不動産の売却時期が翌期にずれ込むなどの事象が発生したことにより大幅な減益となった。
※1 四半期(平均)ごとの推移を見ると、稼働率は75~80%、客室単価は10,500~12,300円となっている。
※2 2025年2月期末の貸コンテナ数は2,129個(前期末比88個増)に増え、稼働率は90%程度を維持している。
※3 厚木ホテルの1棟借上げ契約終了による影響は、約285百万円の減収要因及び約195百万円の減益要因となっている。
3. 2025年2月期の総括
以上から2025年2月期を総括すると、経済活動の正常化や外食需要の回復が進むなかで、期初想定を上回る既存店の伸びにより増収増益を実現し、過去最高益を更新した点は、同社業態の優位性を示すものとして評価できる。また、この数年抑え気味である新規出店については、数は少ないものの順調に立ち上がっており、同社の業態開発力が失われていないことを確認できた。もっとも、最大の注目点は、A種優先株式の一部償還(取得及び消却)である。これまで取り組んできた財務基盤の安定化や収益力回復に一定の目途が立ったことの証左と言えよう。また、戦略面でも、IPコンテンツを活用した店舗運営受託やDDプラスによる共同購買プラットフォームなど、事業領域の拡大に向けても一定の成果を上げることができた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2. 2025年2月期の業績概要
2025年2月期の連結業績は、売上高が前期比4.0%増の38,578百万円、営業利益が同15.3%増の3,738百万円、経常利益が同14.4%増の3,581百万円、親会社株主に帰属する当期純利益(以下、最終利益)が同29.8%減の2,397百万円と増収増益となり、過去最高益(最終利益を除く)を更新した。なお、最終利益のみ減益となったのは、税効果会計(前事業年度までに計上(積み増し)した繰延税金資産の一部取崩)によるものである。
売上高は、地震や台風、酷暑等の天候不順の影響を受けたものの、「飲食・アミューズメント事業」が既存店の伸びや新規出店の貢献により総じて好調に推移した。既存店売上高(通期平均)は客数及び客単価ともに増加し、前期比107.1%(期初想定は102.1%)と想定を大きく上振れた。一方、「ホテル・不動産事業」については、厚木ホテルの1棟借上げ契約終了(2023年5月)※に伴う影響などにより減収となったものの想定内であり、その点を除けば、貸コンテナ事業が安定推移したほか、ホテル事業においても稼働率・客単価ともに堅調であった。
※ 神奈川県による新型コロナウイルス感染症軽症者受入施設としての1棟借上げは2023年5月末に終了した。その後、リニューアル工事を経て、2024年3月15日に「3S HOTEL ATSUGI」としてリブランドオープンしている。
出退店については、新規出店4店舗、退店17店舗により、2025年2月期末の直営店舗数は310店舗となった。
損益面では、「ホテル・不動産事業」において厚木ホテルの1棟借上げ契約終了に伴う影響及び「3S HOTEL ATSUGI」のリブランドオープンに伴う開業準備費用等が発生したものの、「飲食・アミューズメント事業」による収益の押し上げやコスト構造改革(不採算店舗の解消を含む)の継続により営業増益を確保した。なお、物価上昇に伴う影響についても、柔軟なメニュー変更による客単価の向上及び連結子会社(株)DDプラスの共同仕入施策(詳細後述)により、原価高騰を抑制できた。
財政状態については、現金及び預金の減少などにより総資産が前期末比8.7%減の31,307百万円に縮小した。一方、自己資本も利益剰余金の増加分(2,196百万円)をA種優先株式の一部償還(3,122百万円の減少)で打ち返したことで前期末比10.9%減の8,092百万円に縮小し、その結果、自己資本比率は25.8%(前期末は26.5%)とわずかに低下した。もっとも、有利子負債は前期末比12.4%減の16,601百万円に減少するとともに、シンジケートローンの導入(短期借入金の借り換え)に伴い長短比率が改善した。ネットD/Eレシオも1.1倍(中計目標値は2倍未満)と良好な水準にあり、A種優先株式の一部償還後も財務の安全性は確保できている。
各事業の業績や主な取り組みは以下のとおりである。
(1) 飲食・アミューズメント事業
a) 飲食
売上高は前期比4.5%増の28,460百万円、セグメント利益は同22.6%増の3,327百万円となった。地震や台風、酷暑等の天候不順の影響のほか、食材価格やエネルギー価格の上昇といった外部環境の悪化の影響を受けたものの、外食需要の回復や柔軟なメニュー改定が奏功し、客数及び客単価がそれぞれ増加した。既存店売上高(通期平均)は同106.9%に増加するとともに、新規店舗の立ち上がりの早さも業績に寄与した。損益面でも、増収による収益の押し上げのほか、原価対策(メニュー改定や共同購買等)やコスト構造改革の継続により大幅な増益を達成し、セグメント利益率は11.7%(前期は10.0%)と2ケタ水準を維持した。出退店については、新規出店3店舗、退店14店舗により2025年2月期末の店舗数(直営店)は260店舗になった。また、IPコンテンツを活用した店舗運営受託でも一定の成果を上げることができた(詳細後述)。
b) アミューズメント
売上高は前期比6.8%増の8,011百万円、セグメント利益は同12.9%増の1,672百万円となった。人流回復に伴うイベント施策を推進等により、「飲食事業」と同様、客数及び客単価がそれぞれ増加し、既存店売上高は同107.6%に増加した。損益面でも、原価高止まりが続くなかで、増収による収益の押し上げにより増益を確保し、セグメント利益率は20.9%(前期は19.7%)と20%台に乗った。また、好調な主力事業(ビリヤード・ダーツ・カラオケ業態)と比べて苦戦が続いていたインターネットカフェ事業についても、不採算店舗の退店を進めつつ、ビリヤードやダーツ・カラオケ個室の新設や増設等を通じた業績回復に着手した。営業を再開したカプセルホテル事業は損失が大幅に縮小した。
(2) ホテル・不動産事業
売上高は前期比10.3%減の2,106百万円、セグメント利益は同48.8%減の174百万円となった。「3S HOTEL ATSUGI」が2024年3月にリブランドオープンしたほか、各ホテルが夏季需要増の取り込みを含め、年間を通じて稼働率及び客室単価ともに堅調に推移した※1。また、貸コンテナ事業も安定的な伸びを継続している※2。ただ、前期比で減収となったのは、2024年2月期において厚木ホテルの1棟借上げ契約※3や神奈川県旅行支援、事業予定地の売却など一過性要因による収益があったため、その反動減によるものである。一方、損益面でも、厚木ホテルの1棟借上げ契約終了に伴う影響に加え、「3S HOTEL ATSUGI」リブランドオープンに伴う開業準備費用や売却用不動産の売却時期が翌期にずれ込むなどの事象が発生したことにより大幅な減益となった。
※1 四半期(平均)ごとの推移を見ると、稼働率は75~80%、客室単価は10,500~12,300円となっている。
※2 2025年2月期末の貸コンテナ数は2,129個(前期末比88個増)に増え、稼働率は90%程度を維持している。
※3 厚木ホテルの1棟借上げ契約終了による影響は、約285百万円の減収要因及び約195百万円の減益要因となっている。
3. 2025年2月期の総括
以上から2025年2月期を総括すると、経済活動の正常化や外食需要の回復が進むなかで、期初想定を上回る既存店の伸びにより増収増益を実現し、過去最高益を更新した点は、同社業態の優位性を示すものとして評価できる。また、この数年抑え気味である新規出店については、数は少ないものの順調に立ち上がっており、同社の業態開発力が失われていないことを確認できた。もっとも、最大の注目点は、A種優先株式の一部償還(取得及び消却)である。これまで取り組んできた財務基盤の安定化や収益力回復に一定の目途が立ったことの証左と言えよう。また、戦略面でも、IPコンテンツを活用した店舗運営受託やDDプラスによる共同購買プラットフォームなど、事業領域の拡大に向けても一定の成果を上げることができた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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