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ALiNK Research Memo(4):直近公表の計画は未達も、期初と第2四半期決算発表時点の修正計画は超過し着地
配信日時:2025/05/22 11:04
配信元:FISCO
*11:04JST ALiNK Research Memo(4):直近公表の計画は未達も、期初と第2四半期決算発表時点の修正計画は超過し着地
■ALiNKインターネット<7077>の業績動向
1. 2025年2月期の業績概要
2025年2月期の業績は、売上高が888百万円、営業利益が43百万円、経常利益が62百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が57百万円で着地した(2025年2月期より連結決算に移行したため、前期比増減率は記載せず)。
第3四半期決算時に公表した直近の業績計画には届かなかったものの、期初及び第2四半期決算発表時点で修正した計画を上回る水準で着地した。通期業績計画の変遷を見ると、期初計画は売上高784百万円、営業損失68百万円、経常損失60百万円、親会社株主に帰属する当期純損失34百万円と、慎重な見通しだった。これに対し、第2四半期決算時には、tenki.jp事業及び太陽光コンサルティング事業における堅調な売上推移及びコストコントロールによる収益性の向上を背景として業績予想を上方修正し、売上高846百万円、営業利益15百万円、経常利益27百万円、親会社株主に帰属する当期純利益29百万円と、全項目で黒字を見込む水準とした。実際の通期業績は、この修正計画を売上高及び各利益において上回った。
一方で、第3四半期決算時に再度公表した上方修正計画(売上高895百万円、営業利益53百万円、経常利益73百万円、親会社株主に帰属する当期純利益59百万円)に対しては最終的に未達となった。この主因は第4四半期の異常気象にある。2024年12月から2025年2月の関東甲信地方の降水量は平年の23%に留まり、1946年の統計開始以降で最少となる異常気象が発生したことにより、第4四半期の「tenki.jp」のPV数は前年同期比19.8%減と大きく減少した。PVの減少は同事業の広告収益に直接影響を与えるため、一時的な外部環境要因が売上面及び利益面にマイナスインパクトを及ぼしたと見られる。以上を踏まえると、第3四半期決算時に公表した計画は下回ったものの一過性要因であり、期初計画及び第2四半期に上方修正した計画を上回ったことは評価できる。
2. 事業セグメント別動向
(1) tenki.jp事業
tenki.jp事業は売上高が645百万円、セグメント利益が283百万円となった。売上面では前期比52百万円増加した。通期のPV数は同5.8%増の60億PVと拡大した。2024年8月は、東日本太平洋側で月間降水量が統計開始以降で最多を記録するなど気象条件が追い風となり、単月で過去最高のPV数を記録するなど、第3四半期までは計画を上回るPV数を獲得した。一方で、第4四半期は関東甲信地方の降水量が平年の23%に留まり、統計開始以来最も少ない水準となった。この影響を受け、第4四半期のPV数は前年同期比19.8%減と大きく減少した。広告単価については、Googleが2024年中にChromeブラウザでのサードパーティクッキー(ユーザーが訪問しているWebサイトとは異なる第三者がユーザーの行動を記録し、興味に合った広告を出すための仕組み)の利用を廃止する方針を発表していたことから広告単価の下落が懸念されていたが、同年7月にその方針が撤回され、通期の広告単価は前期比0.4%増と横ばい圏を維持した。
コスト面では、売上原価が前期比24百万円、ブランディングコストが同33百万円それぞれ増加しており、2026年2月期以降の収益基盤を拡充するための先行投資を実施した。新たな収益モデルの構築に向けた人件費・開発費が増加したことに加え、同社ブランドの認知向上を目的としたテレビドラマや映画とのタイアップ施策なども展開した。第4四半期に一時的な外部環境の悪化や先行投資によるコスト増があったものの、通期ではPV数の堅調な拡大及び安定的な広告単価が寄与し、セグメント利益は前期比でおおむね横ばいとなった。
(2) IPプロデュース事業
エンバウンドの買収に伴い第2四半期から開始したIPプロデュース事業は、売上高が147百万円、セグメント損失が75百万円となった。「温泉むすめ」については、地方温泉地における現地限定グッズの販売は観光需要の回復も追い風となり、おおむね計画どおりに推移した。一方で、M&Aアドバイザリー費用等として26百万円、のれんの償却額として25百万円を計上したことが利益面に影響した。IPプロデュース事業は先行投資段階であり、今後の収益拡大及びtenki.jp事業との事業シナジーの深化が期待される。
(3) その他の事業
その他の事業は売上高が95百万円、セグメント利益は44百万円となった。太陽光コンサルティング事業では、太陽光発電設備のセカンダリーマーケットを活用し、一定期間自社で発電設備を保有することで売電収入を得る収益モデルを採用している。売電収入は保有設備数の増加に伴い前期比53百万円増と拡大した。ダイナミックプライシング事業においては、本格展開に先立ち、首都圏にてレンタルスペースの運営を実証実験として実施した。同事業は、まだ売上規模が小さいものの、効率的なコスト管理及び売電収入の拡大により、セグメント損益は黒字を確保した。
3. 財務状況と経営指標
2025年2月期末の財務状況を見ると、総資産は前期比164百万円増加の1,834百万円となった。流動資産は同54百万円減少の1,506百万円であり、うち短期貸付金が太陽光設備の取得に伴い99百万円増加した一方で、現金及び預金が95百万円減少した。固定資産は同219百万円増加の328百万円であり、うち無形固定資産であるのれんがエンバウンドの買収により217百万円増加した。負債合計は同95百万円増加の173百万円となった。流動負債は同84百万円増加の157百万円、固定負債は同10百万円増加の15百万円であった。純資産は同69百万円増加の1,661百万円となり、主には利益剰余金が同57百万円増加した(前期比増減額は2024年2月期と2025年2月期の単純比較)。
同社は無借金経営を継続しており、自己資本比率は90.5%と高水準を維持している。堅実な財務基盤を背景に、財務リスクを最小限に抑えつつ、今後も機動的な事業投資を実施し、既存事業の収益力強化及び新規事業・新たなマーケットへの進出による成長加速などを通じて、持続的な企業価値の向上が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
<HN>
1. 2025年2月期の業績概要
2025年2月期の業績は、売上高が888百万円、営業利益が43百万円、経常利益が62百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が57百万円で着地した(2025年2月期より連結決算に移行したため、前期比増減率は記載せず)。
第3四半期決算時に公表した直近の業績計画には届かなかったものの、期初及び第2四半期決算発表時点で修正した計画を上回る水準で着地した。通期業績計画の変遷を見ると、期初計画は売上高784百万円、営業損失68百万円、経常損失60百万円、親会社株主に帰属する当期純損失34百万円と、慎重な見通しだった。これに対し、第2四半期決算時には、tenki.jp事業及び太陽光コンサルティング事業における堅調な売上推移及びコストコントロールによる収益性の向上を背景として業績予想を上方修正し、売上高846百万円、営業利益15百万円、経常利益27百万円、親会社株主に帰属する当期純利益29百万円と、全項目で黒字を見込む水準とした。実際の通期業績は、この修正計画を売上高及び各利益において上回った。
一方で、第3四半期決算時に再度公表した上方修正計画(売上高895百万円、営業利益53百万円、経常利益73百万円、親会社株主に帰属する当期純利益59百万円)に対しては最終的に未達となった。この主因は第4四半期の異常気象にある。2024年12月から2025年2月の関東甲信地方の降水量は平年の23%に留まり、1946年の統計開始以降で最少となる異常気象が発生したことにより、第4四半期の「tenki.jp」のPV数は前年同期比19.8%減と大きく減少した。PVの減少は同事業の広告収益に直接影響を与えるため、一時的な外部環境要因が売上面及び利益面にマイナスインパクトを及ぼしたと見られる。以上を踏まえると、第3四半期決算時に公表した計画は下回ったものの一過性要因であり、期初計画及び第2四半期に上方修正した計画を上回ったことは評価できる。
2. 事業セグメント別動向
(1) tenki.jp事業
tenki.jp事業は売上高が645百万円、セグメント利益が283百万円となった。売上面では前期比52百万円増加した。通期のPV数は同5.8%増の60億PVと拡大した。2024年8月は、東日本太平洋側で月間降水量が統計開始以降で最多を記録するなど気象条件が追い風となり、単月で過去最高のPV数を記録するなど、第3四半期までは計画を上回るPV数を獲得した。一方で、第4四半期は関東甲信地方の降水量が平年の23%に留まり、統計開始以来最も少ない水準となった。この影響を受け、第4四半期のPV数は前年同期比19.8%減と大きく減少した。広告単価については、Googleが2024年中にChromeブラウザでのサードパーティクッキー(ユーザーが訪問しているWebサイトとは異なる第三者がユーザーの行動を記録し、興味に合った広告を出すための仕組み)の利用を廃止する方針を発表していたことから広告単価の下落が懸念されていたが、同年7月にその方針が撤回され、通期の広告単価は前期比0.4%増と横ばい圏を維持した。
コスト面では、売上原価が前期比24百万円、ブランディングコストが同33百万円それぞれ増加しており、2026年2月期以降の収益基盤を拡充するための先行投資を実施した。新たな収益モデルの構築に向けた人件費・開発費が増加したことに加え、同社ブランドの認知向上を目的としたテレビドラマや映画とのタイアップ施策なども展開した。第4四半期に一時的な外部環境の悪化や先行投資によるコスト増があったものの、通期ではPV数の堅調な拡大及び安定的な広告単価が寄与し、セグメント利益は前期比でおおむね横ばいとなった。
(2) IPプロデュース事業
エンバウンドの買収に伴い第2四半期から開始したIPプロデュース事業は、売上高が147百万円、セグメント損失が75百万円となった。「温泉むすめ」については、地方温泉地における現地限定グッズの販売は観光需要の回復も追い風となり、おおむね計画どおりに推移した。一方で、M&Aアドバイザリー費用等として26百万円、のれんの償却額として25百万円を計上したことが利益面に影響した。IPプロデュース事業は先行投資段階であり、今後の収益拡大及びtenki.jp事業との事業シナジーの深化が期待される。
(3) その他の事業
その他の事業は売上高が95百万円、セグメント利益は44百万円となった。太陽光コンサルティング事業では、太陽光発電設備のセカンダリーマーケットを活用し、一定期間自社で発電設備を保有することで売電収入を得る収益モデルを採用している。売電収入は保有設備数の増加に伴い前期比53百万円増と拡大した。ダイナミックプライシング事業においては、本格展開に先立ち、首都圏にてレンタルスペースの運営を実証実験として実施した。同事業は、まだ売上規模が小さいものの、効率的なコスト管理及び売電収入の拡大により、セグメント損益は黒字を確保した。
3. 財務状況と経営指標
2025年2月期末の財務状況を見ると、総資産は前期比164百万円増加の1,834百万円となった。流動資産は同54百万円減少の1,506百万円であり、うち短期貸付金が太陽光設備の取得に伴い99百万円増加した一方で、現金及び預金が95百万円減少した。固定資産は同219百万円増加の328百万円であり、うち無形固定資産であるのれんがエンバウンドの買収により217百万円増加した。負債合計は同95百万円増加の173百万円となった。流動負債は同84百万円増加の157百万円、固定負債は同10百万円増加の15百万円であった。純資産は同69百万円増加の1,661百万円となり、主には利益剰余金が同57百万円増加した(前期比増減額は2024年2月期と2025年2月期の単純比較)。
同社は無借金経営を継続しており、自己資本比率は90.5%と高水準を維持している。堅実な財務基盤を背景に、財務リスクを最小限に抑えつつ、今後も機動的な事業投資を実施し、既存事業の収益力強化及び新規事業・新たなマーケットへの進出による成長加速などを通じて、持続的な企業価値の向上が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
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