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バリューC Research Memo(5):減益も先行的費用が要因で、実態は順調
配信日時:2025/05/21 13:35
配信元:FISCO
*13:35JST バリューC Research Memo(5):減益も先行的費用が要因で、実態は順調
■バリュークリエーション<9238>の業績動向
1. 2025年2月期の業績動向
2025年2月期の業績は、売上高が3,431百万円(前期比16.4%増)、営業利益が121百万円(同29.6%減)、経常利益が131百万円(同21.0%減)、当期純利益が86百万円(同24.5%減)となった。期初予想との比較では、売上高で193百万円の過達、営業利益で57百万円、経常利益で49百万円、当期純利益で32百万円の未達であった。ただし、利益未達の要因は将来に向けた人材獲得など想定外の先行的費用が発生したためで、実態としては順調だったと言える。
主要な事業領域である国内インターネット広告市場は2ケタ増と順調である。同社は主力事業であるマーケティングDX事業を中心に提供サービスの品質向上に取り組むとともに、顧客ニーズに合致した最適なサービス提案を可能とする営業体制を整備し、新規顧客の獲得、提供サービスのクロスセルやアップセルの促進による既存顧客との取引拡大に注力した。この結果、顧客の継続率は目標とする約97%の水準を維持することができた。不動産DX事業も、2023年12月の改正空き家対策特別措置法という追い風により「解体の窓口」の利用が活況となったことで、マッチング希望者数が40,000件を突破した。この結果もあって、マーケティングDX事業の一部取引先において一時的に取引が中止となったが、全般的に売上高は好調に推移した。なお、中止となった取引はすでに再開されている。
利益面では、売上総利益率は事業の拡大に伴う新規取引の増加や不動産DX事業のミックス変化によって低下した。一方、人手不足が深刻化するなか、将来への成長投資として新卒や中途の採用を強化したが、採用が想定以上に進捗したため人件費や教育関連費用が増加した。また、不動産DX事業の業容拡大に向けた建設業許可の取得に関わる費用も発生し、販管費は売上高を上回る伸びとなった。社内コミュニケーションや福利厚生が充実していることも人件費増加の背景にあるが、そうしたベネフィットはそのままに、今後は売上高や利益、事業構造を考慮して安定採用を継続する方針である。期初計画との比較では、売上総利益までは計画線だったが、採用の好進捗と建設業許可取得が想定外だった分、営業利益は未達となった。人材は順調に育っており、また建設業許可の取得は不動産DX事業の成長に寄与するため、まさに先行投資と言える。
2事業とも増収増益、特に不動産DX事業は成長期入り
2. セグメントの状況
セグメント別の状況に関して、マーケティングDX事業が、既存顧客からの受注増及び新規顧客の獲得もあって堅調に推移、売上高は3,227百万円(前期比13.7%増)、セグメント利益が623百万円(同2.0%増)となった。不動産DX事業は、ユーザー申込累計件数が急増するなど認知度が高まっている状況で、売上高は204百万円(同87.0%増)、セグメント利益は848千円(前期は23百万円の損失)と大きく伸び、成長ステージに入りつつある。
マーケティングDX事業では、長年蓄積されたノウハウにより領域ごとの型化が進んだことにより営業が強化され、経営課題から入って最適な提案ができるコンサル的なアプローチが可能となった。このため、顧客満足度が向上、ふるさと納税関連の顧客拡大やクロスセル・アップセルにつながったようで、継続率で97%を確保、第4四半期の取引社数も433社と前年同期比20社増加した。この結果、売上面では、第3四半期に一部の顧客都合で取引の一時停止が発生した(その後回復)ものの全般的に順調に推移、特に第4四半期に入ってクロスセル・アップセルの増加が目立った。利益面では、売上総利益率は低下したが、売上総利益率の低い新規顧客の獲得に伴ってミックス変化が続いたことが要因で、既存顧客に限ればクロスセル・アップセルによって徐々に向上しているため、むしろ売上総利益額が伸びている点を評価している。
不動産DX事業は、インターネット広告やセミナーを中心に「解体の窓口」を訴求したことで認知度が高まり、自治体連携や業務提携が進展した。加えて2023年12月の法改正により管理不全家屋の固定資産税が増加することになったため、相続などの課題を抱える個人の関心が高まった。このためサイト来訪や成約が増加、ユーザー申込数が42,900件(前期比73.1%増)、取扱高が1,541百万円(前期比61.0%増)と業容が急拡大、売上高が大幅に伸びた。マッチングだけのビジネスからサービス領域を拡大することにより、売上総利益率が低下することは想定内である。また、販管費は、人材獲得や不動産売買に進出するための宅建免許の取得、元請け参入を目指した建設業許可の取得など先行投資的費用が増加したが、売上高増加を背景にセグメント利益は黒字化を達成し、成長ステージを目前とした。なお、売買や元請けへの進出は、業界内部情報に接することができるうえ、物件の良し悪しに応じて自社の取り扱いにするか、他社に任せるかのコントロールが効きやすいという利点がある。2026年2月期以降の利益貢献に期待する。
空き家対策で金融機関や自治体との連携進展
3. 2025年2月期のトピックス
2025年2月期のトピックスは、マッチング希望者数40,000人突破、メルカリAdsの取り扱い開始、AI解体費用シミュレーターの提供開始、空き家などの解体促進での自治体連携の4つである。マッチング希望者数40,000人突破はすでに述べたが、「解体の窓口」が非常に速いスピードで拡大していることを示す。これに、宅建免許や建設業許可の取得により、媒介だけではなく売買や引受の当事者になれるようになったため、打ち手と事業領域が今後大きく広がることになる。メルカリAdsの取り扱い開始で、フルラインで提案できる媒体に有力なフリマアプリ「メルカリ」が加わったことで、マーケティングDX事業の支援サービスの領域を拡大することができた。事業買収により「LINE」にも領域を広げたことで、主要なネット媒体で広告を配信できるプラットフォームとなり、顧客のマーケティング課題に対し、より一層寄り添うことができるようになった。同社のAI解体費用シミュレーターについて、空き家所有者への情報提供や行動促進を目的に、(株)埼玉りそな銀行の空き家対策ページへの提供を開始した。こうした取り組みは、同社、埼玉りそな銀行、空き家所有者3者間でウィンウィンの関係となっているため、他の銀行も関心を寄せている模様である。空き家などの解体促進で神奈川県川崎市と連携し、空き家などの除却促進に向けた取り組みを推進するため「空き家等の除却促進に関する連携協定書」を締結し、川崎市の相談ページに掲載されることとなった。これも、同社、川崎市、空き家所有者3者間でウィンウィンの関係にあるため、他の自治体が注目しているようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 2025年2月期の業績動向
2025年2月期の業績は、売上高が3,431百万円(前期比16.4%増)、営業利益が121百万円(同29.6%減)、経常利益が131百万円(同21.0%減)、当期純利益が86百万円(同24.5%減)となった。期初予想との比較では、売上高で193百万円の過達、営業利益で57百万円、経常利益で49百万円、当期純利益で32百万円の未達であった。ただし、利益未達の要因は将来に向けた人材獲得など想定外の先行的費用が発生したためで、実態としては順調だったと言える。
主要な事業領域である国内インターネット広告市場は2ケタ増と順調である。同社は主力事業であるマーケティングDX事業を中心に提供サービスの品質向上に取り組むとともに、顧客ニーズに合致した最適なサービス提案を可能とする営業体制を整備し、新規顧客の獲得、提供サービスのクロスセルやアップセルの促進による既存顧客との取引拡大に注力した。この結果、顧客の継続率は目標とする約97%の水準を維持することができた。不動産DX事業も、2023年12月の改正空き家対策特別措置法という追い風により「解体の窓口」の利用が活況となったことで、マッチング希望者数が40,000件を突破した。この結果もあって、マーケティングDX事業の一部取引先において一時的に取引が中止となったが、全般的に売上高は好調に推移した。なお、中止となった取引はすでに再開されている。
利益面では、売上総利益率は事業の拡大に伴う新規取引の増加や不動産DX事業のミックス変化によって低下した。一方、人手不足が深刻化するなか、将来への成長投資として新卒や中途の採用を強化したが、採用が想定以上に進捗したため人件費や教育関連費用が増加した。また、不動産DX事業の業容拡大に向けた建設業許可の取得に関わる費用も発生し、販管費は売上高を上回る伸びとなった。社内コミュニケーションや福利厚生が充実していることも人件費増加の背景にあるが、そうしたベネフィットはそのままに、今後は売上高や利益、事業構造を考慮して安定採用を継続する方針である。期初計画との比較では、売上総利益までは計画線だったが、採用の好進捗と建設業許可取得が想定外だった分、営業利益は未達となった。人材は順調に育っており、また建設業許可の取得は不動産DX事業の成長に寄与するため、まさに先行投資と言える。
2事業とも増収増益、特に不動産DX事業は成長期入り
2. セグメントの状況
セグメント別の状況に関して、マーケティングDX事業が、既存顧客からの受注増及び新規顧客の獲得もあって堅調に推移、売上高は3,227百万円(前期比13.7%増)、セグメント利益が623百万円(同2.0%増)となった。不動産DX事業は、ユーザー申込累計件数が急増するなど認知度が高まっている状況で、売上高は204百万円(同87.0%増)、セグメント利益は848千円(前期は23百万円の損失)と大きく伸び、成長ステージに入りつつある。
マーケティングDX事業では、長年蓄積されたノウハウにより領域ごとの型化が進んだことにより営業が強化され、経営課題から入って最適な提案ができるコンサル的なアプローチが可能となった。このため、顧客満足度が向上、ふるさと納税関連の顧客拡大やクロスセル・アップセルにつながったようで、継続率で97%を確保、第4四半期の取引社数も433社と前年同期比20社増加した。この結果、売上面では、第3四半期に一部の顧客都合で取引の一時停止が発生した(その後回復)ものの全般的に順調に推移、特に第4四半期に入ってクロスセル・アップセルの増加が目立った。利益面では、売上総利益率は低下したが、売上総利益率の低い新規顧客の獲得に伴ってミックス変化が続いたことが要因で、既存顧客に限ればクロスセル・アップセルによって徐々に向上しているため、むしろ売上総利益額が伸びている点を評価している。
不動産DX事業は、インターネット広告やセミナーを中心に「解体の窓口」を訴求したことで認知度が高まり、自治体連携や業務提携が進展した。加えて2023年12月の法改正により管理不全家屋の固定資産税が増加することになったため、相続などの課題を抱える個人の関心が高まった。このためサイト来訪や成約が増加、ユーザー申込数が42,900件(前期比73.1%増)、取扱高が1,541百万円(前期比61.0%増)と業容が急拡大、売上高が大幅に伸びた。マッチングだけのビジネスからサービス領域を拡大することにより、売上総利益率が低下することは想定内である。また、販管費は、人材獲得や不動産売買に進出するための宅建免許の取得、元請け参入を目指した建設業許可の取得など先行投資的費用が増加したが、売上高増加を背景にセグメント利益は黒字化を達成し、成長ステージを目前とした。なお、売買や元請けへの進出は、業界内部情報に接することができるうえ、物件の良し悪しに応じて自社の取り扱いにするか、他社に任せるかのコントロールが効きやすいという利点がある。2026年2月期以降の利益貢献に期待する。
空き家対策で金融機関や自治体との連携進展
3. 2025年2月期のトピックス
2025年2月期のトピックスは、マッチング希望者数40,000人突破、メルカリAdsの取り扱い開始、AI解体費用シミュレーターの提供開始、空き家などの解体促進での自治体連携の4つである。マッチング希望者数40,000人突破はすでに述べたが、「解体の窓口」が非常に速いスピードで拡大していることを示す。これに、宅建免許や建設業許可の取得により、媒介だけではなく売買や引受の当事者になれるようになったため、打ち手と事業領域が今後大きく広がることになる。メルカリAdsの取り扱い開始で、フルラインで提案できる媒体に有力なフリマアプリ「メルカリ」が加わったことで、マーケティングDX事業の支援サービスの領域を拡大することができた。事業買収により「LINE」にも領域を広げたことで、主要なネット媒体で広告を配信できるプラットフォームとなり、顧客のマーケティング課題に対し、より一層寄り添うことができるようになった。同社のAI解体費用シミュレーターについて、空き家所有者への情報提供や行動促進を目的に、(株)埼玉りそな銀行の空き家対策ページへの提供を開始した。こうした取り組みは、同社、埼玉りそな銀行、空き家所有者3者間でウィンウィンの関係となっているため、他の銀行も関心を寄せている模様である。空き家などの解体促進で神奈川県川崎市と連携し、空き家などの除却促進に向けた取り組みを推進するため「空き家等の除却促進に関する連携協定書」を締結し、川崎市の相談ページに掲載されることとなった。これも、同社、川崎市、空き家所有者3者間でウィンウィンの関係にあるため、他の自治体が注目しているようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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