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バリューC Research Memo(3):先行者メリット、サービスの独自性、展開力に強み
配信日時:2025/05/21 13:33
配信元:FISCO
*13:33JST バリューC Research Memo(3):先行者メリット、サービスの独自性、展開力に強み
■バリュークリエーション<9238>の事業概要
3. 不動産DX事業
(1) 事業内容
不動産DX事業では、2020年にユーザーである不動産所有者と解体業者のための自社マッチングサイト「解体の窓口」※をリリースし、現在まで急成長している。ユーザーにとって解体は、時間と費用がかかるうえ価格や品質の判断材料がないためトラブルが発生しやすい。しかし、「解体の窓口」では、同社のコンシェルジュがユーザーと解体業者の間に入って対応を進めることで解体業者との直接のやりとりが不要なうえ、見積もり比較から解体後の土地の売却まですべてオンラインで完結できるため、簡潔で利便性が高い。具体的には、所有物件を解体したいと考えているユーザーは「解体の窓口」に物件情報と写真を送るだけで、全国の厳選された約2,000社(2025年2月末時点)の解体業者の中から低価格の解体費用を見積もった数社の案内が「解体の窓口」から届けられ、ユーザーはその中から気に入った解体業者を選ぶことができるという仕組みになっている。解体業者に対してはオークション形式を取っているが、通常のオークションとは逆に他社より安値で見積もる「逆オークション」の形となっている。さらに、解体後のユーザーニーズにも対応しており、不動産仲介会社や売買会社、駐車場会社などを紹介するサービスを展開するなど複数のキャッシュポイントを構築しており、1人のユーザーに対し、いくつもクロスセルできるモデルとなっている。「解体の窓口」はこのように解体業界に新たな価値を提供し、非常に分かりづらかった価格やサービスメニューなどを明確化した。このため、取引高が急拡大、マッチング希望者数も急増しており、すでに40,000件を超える水準に達している。
※ 現在では「解体の窓口」以外に、「解体エージェント」及び「外壁塗装エージェント」を運営している。
解体市場の規模は1兆6,000億円を超え、住宅解体市場に限っても9,000億円近い巨大市場になっていると言われている。特に住宅解体市場は、管理不十分な空き家が24万件程度あるといわれ、2038年には空き家率が30%を超えるといった推計もあって社会問題化、より深刻な状況になる前に官民連携で課題解決スキームの構築が求められてきた。この一環で2023年12月に「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」(以下、改正空き家対策特別措置法)が施行されたことで解体市場の拡大に弾みがつき、中期的に1ケタ後半の成長が見込まれているようだ。なお、改正空き家対策特別措置法の施行によって、管理不全空き家※1が特定空き家※2に追加され、管理不全空き家について固定資産税を軽減する特例が外れるため、将来的に空き家への固定資産税支払額は4倍に増えるという試算から、建て替えや解体の促進につながるといわれている。同社にとっては追い風の法改正と言える。
※1 1年以上誰も住んでいないため管理不十分な状態にあり、今後もそのままの状態が続くと特定空き家に指定される恐れのある空き家。
※2 そのまま放置すれば倒壊など保安上著しく危険となるおそれのある状態、著しく衛生上有害となるおそれのある状態、著しく景観を損なっている状態、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態にあると認められる空き家。
(2) 強み
「解体の窓口」の強みは、先行者メリットとサービスの独自性にある。ユーザーと解体業者の両者にとって、安心できるマッチングサービスを大々的に行っている上場企業は同社くらいのため、解体業界で先行している同社の「解体の窓口」が改正空き家対策特別措置法をきっかけにスタンダードとなれば、同社の市場での優位性がさらに高まることになる。もちろん新しいサービスを大々的に行うためには強みが必要だが、前述した「逆オークション」やオンライン見積もり(とその背景)、解体後のニーズへのサービス対応といった独自サービスに強みがあったため、マッチングサービスとしてビジネスモデル化できたのだと思われる。また、展開力も強みで、周辺領域の企業と連携することで様々なネットワークを構築している。これにより、ユーザーの解体後の不安を解消し、マッチングに踏み出すための動機付けにもなっている。特に不動産の売買については全国860社の不動産会社と提携しており、収益体制を構築済みである。また、建て替えたいユーザーには積水ハウス<1928>やミサワホーム(株)などハウスメーカーを中心に72社と、駐車場にしたいユーザーには日本パーキング(株)など大手パーキングサービスなど全国10社と、相続であれば司法書士25社と、不用品の回収であれば不用品買取のBuySell Technologies<7685>と提携している(いずれも2025年2月末時点)。また、後述するが、新たに宅建や建築業許可を取得したことは今後の強みになる見込みで、ユーザーの9割が個人で大半が戸建住宅(一部アパートやホテルもある)というBtoCマッチング事業から、BtoBやBtoBtoBのマッチング事業や不動産売買事業へと業容の拡大を進めることができる。
(3) 収益構造
売上高として、同社は解体の請負工事契約を締結した後に解体業者からマッチング手数料を得ており、ユーザーは無料である。原価は「解体の窓口」のメディア運営費だけのため売上総利益率が高く、売上高が増えるほど採算が高まる収益体質となっていた。このため、そのままの収益構造でも、ユーザーと解体業者の登録を増やすことで一定のオーガニックな成長は達成できると思われる。しかし、「解体の窓口」は解体後の利用まで含めた拡張性の高い事業となっているため、建て替えや駐車場・トランクルーム建設、売却など周辺領域の企業と連携し、キャッシュポイントを増やすことを重点施策に据え、成長を加速させる方針である。さらに、不動産に関わる相続やお墓・終活などの窓口として、「解体の窓口」のプラットフォームを横展開することも検討している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<HN>
3. 不動産DX事業
(1) 事業内容
不動産DX事業では、2020年にユーザーである不動産所有者と解体業者のための自社マッチングサイト「解体の窓口」※をリリースし、現在まで急成長している。ユーザーにとって解体は、時間と費用がかかるうえ価格や品質の判断材料がないためトラブルが発生しやすい。しかし、「解体の窓口」では、同社のコンシェルジュがユーザーと解体業者の間に入って対応を進めることで解体業者との直接のやりとりが不要なうえ、見積もり比較から解体後の土地の売却まですべてオンラインで完結できるため、簡潔で利便性が高い。具体的には、所有物件を解体したいと考えているユーザーは「解体の窓口」に物件情報と写真を送るだけで、全国の厳選された約2,000社(2025年2月末時点)の解体業者の中から低価格の解体費用を見積もった数社の案内が「解体の窓口」から届けられ、ユーザーはその中から気に入った解体業者を選ぶことができるという仕組みになっている。解体業者に対してはオークション形式を取っているが、通常のオークションとは逆に他社より安値で見積もる「逆オークション」の形となっている。さらに、解体後のユーザーニーズにも対応しており、不動産仲介会社や売買会社、駐車場会社などを紹介するサービスを展開するなど複数のキャッシュポイントを構築しており、1人のユーザーに対し、いくつもクロスセルできるモデルとなっている。「解体の窓口」はこのように解体業界に新たな価値を提供し、非常に分かりづらかった価格やサービスメニューなどを明確化した。このため、取引高が急拡大、マッチング希望者数も急増しており、すでに40,000件を超える水準に達している。
※ 現在では「解体の窓口」以外に、「解体エージェント」及び「外壁塗装エージェント」を運営している。
解体市場の規模は1兆6,000億円を超え、住宅解体市場に限っても9,000億円近い巨大市場になっていると言われている。特に住宅解体市場は、管理不十分な空き家が24万件程度あるといわれ、2038年には空き家率が30%を超えるといった推計もあって社会問題化、より深刻な状況になる前に官民連携で課題解決スキームの構築が求められてきた。この一環で2023年12月に「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」(以下、改正空き家対策特別措置法)が施行されたことで解体市場の拡大に弾みがつき、中期的に1ケタ後半の成長が見込まれているようだ。なお、改正空き家対策特別措置法の施行によって、管理不全空き家※1が特定空き家※2に追加され、管理不全空き家について固定資産税を軽減する特例が外れるため、将来的に空き家への固定資産税支払額は4倍に増えるという試算から、建て替えや解体の促進につながるといわれている。同社にとっては追い風の法改正と言える。
※1 1年以上誰も住んでいないため管理不十分な状態にあり、今後もそのままの状態が続くと特定空き家に指定される恐れのある空き家。
※2 そのまま放置すれば倒壊など保安上著しく危険となるおそれのある状態、著しく衛生上有害となるおそれのある状態、著しく景観を損なっている状態、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態にあると認められる空き家。
(2) 強み
「解体の窓口」の強みは、先行者メリットとサービスの独自性にある。ユーザーと解体業者の両者にとって、安心できるマッチングサービスを大々的に行っている上場企業は同社くらいのため、解体業界で先行している同社の「解体の窓口」が改正空き家対策特別措置法をきっかけにスタンダードとなれば、同社の市場での優位性がさらに高まることになる。もちろん新しいサービスを大々的に行うためには強みが必要だが、前述した「逆オークション」やオンライン見積もり(とその背景)、解体後のニーズへのサービス対応といった独自サービスに強みがあったため、マッチングサービスとしてビジネスモデル化できたのだと思われる。また、展開力も強みで、周辺領域の企業と連携することで様々なネットワークを構築している。これにより、ユーザーの解体後の不安を解消し、マッチングに踏み出すための動機付けにもなっている。特に不動産の売買については全国860社の不動産会社と提携しており、収益体制を構築済みである。また、建て替えたいユーザーには積水ハウス<1928>やミサワホーム(株)などハウスメーカーを中心に72社と、駐車場にしたいユーザーには日本パーキング(株)など大手パーキングサービスなど全国10社と、相続であれば司法書士25社と、不用品の回収であれば不用品買取のBuySell Technologies<7685>と提携している(いずれも2025年2月末時点)。また、後述するが、新たに宅建や建築業許可を取得したことは今後の強みになる見込みで、ユーザーの9割が個人で大半が戸建住宅(一部アパートやホテルもある)というBtoCマッチング事業から、BtoBやBtoBtoBのマッチング事業や不動産売買事業へと業容の拡大を進めることができる。
(3) 収益構造
売上高として、同社は解体の請負工事契約を締結した後に解体業者からマッチング手数料を得ており、ユーザーは無料である。原価は「解体の窓口」のメディア運営費だけのため売上総利益率が高く、売上高が増えるほど採算が高まる収益体質となっていた。このため、そのままの収益構造でも、ユーザーと解体業者の登録を増やすことで一定のオーガニックな成長は達成できると思われる。しかし、「解体の窓口」は解体後の利用まで含めた拡張性の高い事業となっているため、建て替えや駐車場・トランクルーム建設、売却など周辺領域の企業と連携し、キャッシュポイントを増やすことを重点施策に据え、成長を加速させる方針である。さらに、不動産に関わる相続やお墓・終活などの窓口として、「解体の窓口」のプラットフォームを横展開することも検討している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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