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ベルシス24 Research Memo(7):次期中期経営計画の発表に先立ち、「中長期成長シナリオ」を発表(1)
配信日時:2025/05/14 13:07
配信元:FISCO
*13:07JST ベルシス24 Research Memo(7):次期中期経営計画の発表に先立ち、「中長期成長シナリオ」を発表(1)
■ベルシステム24ホールディングス<6183>の中長期の成長戦略
1. 同社を取り巻く環境の変化
「中期経営計画2025」(2024年2月期~2026年2月期)では、新たなBPO市場の開拓を見込み、人材・型化・共創の重点施策の推進により、最終年度の売上収益1,800億円、営業利益165億円(営業利益率9.2%)、税引後利益110億円、ROE14.4%、配当性向50%を目標に重点施策を推進している。重点施策はおおむね計画どおり進捗しているものの、配当性向を除き目標達成は困難な状況だ。
同社の長期業績トレンドを見ると、2019年度以降、コロナ等国策関連業務を除く基礎業務の売上収益の年平均成長率は2.5%に留まり、コロナ禍以前の7.1%から大きく減速している。また、営業利益率は2020年2月期以降8%台後半〜9%台後半で推移したが、2024年2月期からは7%台に低下し、2025年2月期も改善は限定的だった。こうした業績低迷の理由として、同社を取り巻く環境が従来と大きく変化し始めていることがある。第1にコンタクトセンター市場が2019年度以降伸び悩むなか、同社の事業ポートフォリオはコンタクトセンター業務が大きく占めており、市場の停滞から今後の同社の成長への懸念が生じている。第2に、コロナ禍を経てデジタル化が進み、コンタクトセンターはヒトを中心とした対応からテクノロジー活用型へ移行し始めており、今後はデジタル化対応及び生成AI等の活用が加速し、従来の人的資産による電話対応を中心としたコンタクトセンター業界には逆風となりそうだ。第3に、国内における生産年齢人口の減少傾向のため人材確保がより厳しい状況となり、一部の業界では労働需給のひっ迫が進んでいることから、コンタクトセンターの運用企業においても将来的には人材の確保が困難になると予想される。
以上のように、コンタクトセンター市場が停滞観測に晒されるなか、企業及び個人におけるデジタル化・生成AI等のテクノロジー活用によって単純な電話対応業務の伸長に懸念があり、加えて生産年齢人口減少も人材確保の観点で懸念材料と考えられる。こうした環境変化に対して、今後は同社においても生成AIの活用により市場停滞観測や生産年齢人口減少等の課題に対応し、さらにVOCを活用したさらなる付加価値を創出することでビジネス拡大を図る方針だ。この2点が同社の成長力を取り戻すカギを握っていると言えよう。
2. 変化する事業環境への対応方針
前述の事業環境変化を前提に、同社では今後は3つの成長エンジンとして、(1) 外注化ニーズ、(2) 生成AI、(3) マーケティング支援、に取り組むことで成長力を回復する計画だ。具体的な戦略は以下のとおりである。
(1) 外注化ニーズへの対応:アウトソーシングニーズの取り込みにより売上収益を拡大
自社のサービスや製品への問い合わせ対応等を自社内で運営している内製コンタクトセンター業務は、企業にとってコスト負担が大きい。今後はIT投資の負担や人材確保難が進むなか、IT/DX対応に積極的な一部の企業以外は外注化ニーズが拡大すると予想される。現在の内製コンタクトセンター市場は約1.4兆円と推計されるが、この市場の外注化ニーズ取り込みが同社の成長エンジンとなる。さらに、市場変化に対応できない中小規模の同業他社の買収による事業拡大も想定される。今後はコンタクトセンター市場の2極化が進むと予想され、同社では中小業者の買収も含めて、内製コンタクトセンターの取込によりシェア拡大を目指す。
同社の基礎業務における売上別クライアント企業数の推移を見ると、2016年2月期の1,097社に対し、2025年2月期には1,586社まで拡大している。今後のクライアント企業数増加に向けたアクションプランとしては、新規案件を積極的に取り込み、クライアント企業数を2031年2月期には2,500社への増加を目指す。最新情報やサービスに関してウェビナー(インターネットを介して開催されるオンラインセミナー)を実施する等、発信機会を増やし企業認知度引き上げを図る。また、主要株主との連携等により、カーブアウト(事業の一部を外部に切り出す動き)の取り込みやロールアップ戦略(囲い込み)を推進する計画だ。既に2025年1月にはスカパーJSAT(株)が提供する「スカパー!」のカスタマーセンターを運営する(株)スカパー・カスタマーリレーションズの株式51%を取得し子会社化した。今後も自社で生成AIの導入が困難な先から、内製コンタクトセンター業務のカーブアウト案件取り込みやロールアップ戦略を積極的に推進することで、ビジネスを拡大する計画だ。
さらに、主要株主及び同グループ会社等のネットワークを活用し、幅広い業種・業態からコンタクトセンター案件及びスマートビジネスサポート業務の獲得を図る。労働力不足や人件費の高騰に対応し、ルーチン業務を同社が担うことを目指す。すなわち、同社の型化メソッドを活用し、経理や人事などのクライアント企業の社内業務・バックオフィス業務を受託することで、企業はコア事業に専念できる。今後はコンタクトセンター業務に加えて、スマートビジネスサポート業務の拡充により、クライアント企業当たりの取引規模の拡大につなげる計画だ。
以上のとおり、クライアント企業群に対し、それぞれの取引規模に対して適切なサービスを追加で提供する。生成AIの提供開始による新規クライアントの獲得、カーブアウト案件等の大口取引案件、コンサルティングやナレッジサービスの提供等により、取引社数の拡大とともに1社当たりの取引規模拡大を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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1. 同社を取り巻く環境の変化
「中期経営計画2025」(2024年2月期~2026年2月期)では、新たなBPO市場の開拓を見込み、人材・型化・共創の重点施策の推進により、最終年度の売上収益1,800億円、営業利益165億円(営業利益率9.2%)、税引後利益110億円、ROE14.4%、配当性向50%を目標に重点施策を推進している。重点施策はおおむね計画どおり進捗しているものの、配当性向を除き目標達成は困難な状況だ。
同社の長期業績トレンドを見ると、2019年度以降、コロナ等国策関連業務を除く基礎業務の売上収益の年平均成長率は2.5%に留まり、コロナ禍以前の7.1%から大きく減速している。また、営業利益率は2020年2月期以降8%台後半〜9%台後半で推移したが、2024年2月期からは7%台に低下し、2025年2月期も改善は限定的だった。こうした業績低迷の理由として、同社を取り巻く環境が従来と大きく変化し始めていることがある。第1にコンタクトセンター市場が2019年度以降伸び悩むなか、同社の事業ポートフォリオはコンタクトセンター業務が大きく占めており、市場の停滞から今後の同社の成長への懸念が生じている。第2に、コロナ禍を経てデジタル化が進み、コンタクトセンターはヒトを中心とした対応からテクノロジー活用型へ移行し始めており、今後はデジタル化対応及び生成AI等の活用が加速し、従来の人的資産による電話対応を中心としたコンタクトセンター業界には逆風となりそうだ。第3に、国内における生産年齢人口の減少傾向のため人材確保がより厳しい状況となり、一部の業界では労働需給のひっ迫が進んでいることから、コンタクトセンターの運用企業においても将来的には人材の確保が困難になると予想される。
以上のように、コンタクトセンター市場が停滞観測に晒されるなか、企業及び個人におけるデジタル化・生成AI等のテクノロジー活用によって単純な電話対応業務の伸長に懸念があり、加えて生産年齢人口減少も人材確保の観点で懸念材料と考えられる。こうした環境変化に対して、今後は同社においても生成AIの活用により市場停滞観測や生産年齢人口減少等の課題に対応し、さらにVOCを活用したさらなる付加価値を創出することでビジネス拡大を図る方針だ。この2点が同社の成長力を取り戻すカギを握っていると言えよう。
2. 変化する事業環境への対応方針
前述の事業環境変化を前提に、同社では今後は3つの成長エンジンとして、(1) 外注化ニーズ、(2) 生成AI、(3) マーケティング支援、に取り組むことで成長力を回復する計画だ。具体的な戦略は以下のとおりである。
(1) 外注化ニーズへの対応:アウトソーシングニーズの取り込みにより売上収益を拡大
自社のサービスや製品への問い合わせ対応等を自社内で運営している内製コンタクトセンター業務は、企業にとってコスト負担が大きい。今後はIT投資の負担や人材確保難が進むなか、IT/DX対応に積極的な一部の企業以外は外注化ニーズが拡大すると予想される。現在の内製コンタクトセンター市場は約1.4兆円と推計されるが、この市場の外注化ニーズ取り込みが同社の成長エンジンとなる。さらに、市場変化に対応できない中小規模の同業他社の買収による事業拡大も想定される。今後はコンタクトセンター市場の2極化が進むと予想され、同社では中小業者の買収も含めて、内製コンタクトセンターの取込によりシェア拡大を目指す。
同社の基礎業務における売上別クライアント企業数の推移を見ると、2016年2月期の1,097社に対し、2025年2月期には1,586社まで拡大している。今後のクライアント企業数増加に向けたアクションプランとしては、新規案件を積極的に取り込み、クライアント企業数を2031年2月期には2,500社への増加を目指す。最新情報やサービスに関してウェビナー(インターネットを介して開催されるオンラインセミナー)を実施する等、発信機会を増やし企業認知度引き上げを図る。また、主要株主との連携等により、カーブアウト(事業の一部を外部に切り出す動き)の取り込みやロールアップ戦略(囲い込み)を推進する計画だ。既に2025年1月にはスカパーJSAT(株)が提供する「スカパー!」のカスタマーセンターを運営する(株)スカパー・カスタマーリレーションズの株式51%を取得し子会社化した。今後も自社で生成AIの導入が困難な先から、内製コンタクトセンター業務のカーブアウト案件取り込みやロールアップ戦略を積極的に推進することで、ビジネスを拡大する計画だ。
さらに、主要株主及び同グループ会社等のネットワークを活用し、幅広い業種・業態からコンタクトセンター案件及びスマートビジネスサポート業務の獲得を図る。労働力不足や人件費の高騰に対応し、ルーチン業務を同社が担うことを目指す。すなわち、同社の型化メソッドを活用し、経理や人事などのクライアント企業の社内業務・バックオフィス業務を受託することで、企業はコア事業に専念できる。今後はコンタクトセンター業務に加えて、スマートビジネスサポート業務の拡充により、クライアント企業当たりの取引規模の拡大につなげる計画だ。
以上のとおり、クライアント企業群に対し、それぞれの取引規模に対して適切なサービスを追加で提供する。生成AIの提供開始による新規クライアントの獲得、カーブアウト案件等の大口取引案件、コンサルティングやナレッジサービスの提供等により、取引社数の拡大とともに1社当たりの取引規模拡大を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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