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ダイキアクシス Research Memo(9):新中期経営計画を公表。海外での水衛生インフラ整備が成長エンジン(1)
配信日時:2025/04/24 12:19
配信元:FISCO
*12:19JST ダイキアクシス Research Memo(9):新中期経営計画を公表。海外での水衛生インフラ整備が成長エンジン(1)
■ダイキアクシス<4245>の新中期経営計画の方向性
同社は、これまで推進してきた5ヶ年の中期経営計画「PROTECT×CHANGE」(2021年12月期~2025年12月期)の売上高目標を1年前倒しで達成したことや、当初の前提条件(外部環境)が大幅に変動したことを踏まえ、2025年3月11日に3ヶ年の新中期経営計画(2025年12月期~2027年12月期)を公表した。
1. 前中期経営計画の振り返り
前中期経営計画では、2030年ビジョンである、1) グローバルな舞台で期待を超える活躍、2) 世界から「環境の未来」を期待される企業への躍進、3) 得意分野の拡大と新領域への挑戦、4) 新型コロナウイルス感染症の影響によるニューノーマルに対応した柔軟な組織の確立に向けて、6つの成長戦略とその基盤となるIT推進に取り組んできた。
(1) 業績目標の達成状況
最終年度(2025年12月期)の数値目標として、売上高45,000百万円、営業利益2,000百万円、営業利益率4.4%を目指してきた。前述のとおり、売上高については1年前倒しで達成した一方、2025年3月期の営業利益は計画を大きく下回る見込みである。想定外のコロナ禍の長期化やサプライチェーンの混乱等により事業(特に海外)の立ち上がりが遅れたことや、足元での資材費及び輸送費の高騰等が理由である。
(2) 成長戦略における主な成果と課題
1) 海外展開(環境機器関連事業)
需要の高いエリアでの現地生産体制を構築し、海外人財の採用も積極的に行うほか、海外事業に伴う制度やルールの見直し、新規制定にも取り組んだ。インド及びスリランカにおける新工場が稼働したほか、バングラデシュに子会社を設立し、受注活動を開始した。特に、インドにおいて「海外進出モデル(インドモデル)」を確立したことは今後の海外事業の拡大に向けて大きな前進と言える。一方、受注本格化に向けた人財採用・教育は今後の課題となった。以上から、同社自己評価は「〇」としている。
2) ストックビジネスの拡大
安定的な利益基盤となるストックビジネスの拡大に取り組んだ。地下水飲料化事業において、原価管理の再徹底やエスコ契約に限らない機器売りにも注力し、受注が増加した。また、排水処理事業においても営業及びメンテナンス部隊の統合を完了し、メンテナンス売上が大幅に増加した。以上から、同社自己評価は「◎」としている。
3) 安定から成長への転化(住宅機器関連事業)
ホームセンター向け営業の商圏拡大、新規店開拓・新規商材の導入及び販売・新規工事業の取り組み、集中購買制の導入による仕入コスト削減、人財育成、各業務の見える化と平準化などに取り組んだ。利益率の高い新商材やサービス(IoTスマートハウスの展開等)が進展したほか、集中購買による仕入コストの削減やDXによる営業強化、業務効率改善でも一定の成果を上げた。一方、ホームセンターの商圏拡大には課題を残した。以上から、同社自己評価は「〇」としている。
4) 再生可能エネルギー関連事業
バイオディーゼル販売量及び自治体とも連携した廃油回収エリアの拡大、再生可能エネルギー先進企業の動向調査・協業・提案などに取り組んだ。バイオディーゼル燃料は関東(茨城県)で精製プラントが完成し、首都圏に本格参入する体制を整えた。以上から、同社自己評価は「〇」としている。
5) 技術力・製品開発力の向上
製造過程で生じるクレームの撲滅、人財育成、風力・太陽光発電サイトの開発・安定運用、環境負荷の低減、蓄電技術等を進化させ、防・減災対策、地産地消にも資するポストFITを見据えた高付加価値事業の提案に取り組んだ。製造過程におけるクレームが激減したほか、各エリアに合わせたプロダクトについても順調に開発が進んでいる。太陽光発電施設は安定稼働する一方、風力発電は外部要因の影響を受けて伸び悩み、相談件数が増えてきた水熱処理もまだ実証実験の域を出ないが、バイオディーゼル燃料については本格展開に向けて順調に動き出した。以上から、同社自己評価は「△」としている。
6) M&Aの推進
M&Aを活用した商圏・取扱い商材の拡大に取り組んだ。2件のM&Aを実現し、「住宅機器関連事業」及び「再生可能エネルギー」における事業基盤を拡充できた。以上から、同社自己評価は「〇」としている。
7) IT推進
ITを活用した提案の高付加価値化による利益率向上に取り組んだ。社内コミュニケーションツールの導入は完了したものの、提案力・営業力の強化に向けた開発には課題を残した。以上から、同社自己評価は「△」としている。
2. 新中期経営計画における背景と方向性
同社は新中期経営計画を策定するにあたって、世界の水衛生問題の深刻化に着眼し、「日本の試行錯誤で培われた公衆衛生技術を、世界の国々に技術移転し、安全で安心な世界の実現に寄与する」ことが社会的使命、存在意義であることを再認識したうえで、「海外における水衛生インフラの整備」を今後の成長エンジンと位置付けた。さらに世界の水ビジネスは、上水、下水、産業排水、海水淡水化などを含めると、2030年には100兆円を超える市場が見込まれており、国内の浄化槽メーカーから、「グローバルな水ビジネスプレイヤー」を目指す考えだ。
また、経営モデルについては、これまで各事業が独立したポートフォリオ型モデルを形成してきたが、今後はそれぞれの事業が連携し、グローバルベースでシナジーを追求していく方向性を掲げた。具体的には、日本の公衆衛生をグローバルに展開した後は、日本の快適をグローバルに展開(住宅機器関連事業のグローバル展開)する計画だ。さらに再生可能エネルギー関連(バイオディーゼル燃料等)やパイプラインにある新規事業についても検討する。将来的にはグローバル戦略における日本市場という位置付けとなり、日本市場はR&D的な役割を担っていくとの見方もできる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<KM>
同社は、これまで推進してきた5ヶ年の中期経営計画「PROTECT×CHANGE」(2021年12月期~2025年12月期)の売上高目標を1年前倒しで達成したことや、当初の前提条件(外部環境)が大幅に変動したことを踏まえ、2025年3月11日に3ヶ年の新中期経営計画(2025年12月期~2027年12月期)を公表した。
1. 前中期経営計画の振り返り
前中期経営計画では、2030年ビジョンである、1) グローバルな舞台で期待を超える活躍、2) 世界から「環境の未来」を期待される企業への躍進、3) 得意分野の拡大と新領域への挑戦、4) 新型コロナウイルス感染症の影響によるニューノーマルに対応した柔軟な組織の確立に向けて、6つの成長戦略とその基盤となるIT推進に取り組んできた。
(1) 業績目標の達成状況
最終年度(2025年12月期)の数値目標として、売上高45,000百万円、営業利益2,000百万円、営業利益率4.4%を目指してきた。前述のとおり、売上高については1年前倒しで達成した一方、2025年3月期の営業利益は計画を大きく下回る見込みである。想定外のコロナ禍の長期化やサプライチェーンの混乱等により事業(特に海外)の立ち上がりが遅れたことや、足元での資材費及び輸送費の高騰等が理由である。
(2) 成長戦略における主な成果と課題
1) 海外展開(環境機器関連事業)
需要の高いエリアでの現地生産体制を構築し、海外人財の採用も積極的に行うほか、海外事業に伴う制度やルールの見直し、新規制定にも取り組んだ。インド及びスリランカにおける新工場が稼働したほか、バングラデシュに子会社を設立し、受注活動を開始した。特に、インドにおいて「海外進出モデル(インドモデル)」を確立したことは今後の海外事業の拡大に向けて大きな前進と言える。一方、受注本格化に向けた人財採用・教育は今後の課題となった。以上から、同社自己評価は「〇」としている。
2) ストックビジネスの拡大
安定的な利益基盤となるストックビジネスの拡大に取り組んだ。地下水飲料化事業において、原価管理の再徹底やエスコ契約に限らない機器売りにも注力し、受注が増加した。また、排水処理事業においても営業及びメンテナンス部隊の統合を完了し、メンテナンス売上が大幅に増加した。以上から、同社自己評価は「◎」としている。
3) 安定から成長への転化(住宅機器関連事業)
ホームセンター向け営業の商圏拡大、新規店開拓・新規商材の導入及び販売・新規工事業の取り組み、集中購買制の導入による仕入コスト削減、人財育成、各業務の見える化と平準化などに取り組んだ。利益率の高い新商材やサービス(IoTスマートハウスの展開等)が進展したほか、集中購買による仕入コストの削減やDXによる営業強化、業務効率改善でも一定の成果を上げた。一方、ホームセンターの商圏拡大には課題を残した。以上から、同社自己評価は「〇」としている。
4) 再生可能エネルギー関連事業
バイオディーゼル販売量及び自治体とも連携した廃油回収エリアの拡大、再生可能エネルギー先進企業の動向調査・協業・提案などに取り組んだ。バイオディーゼル燃料は関東(茨城県)で精製プラントが完成し、首都圏に本格参入する体制を整えた。以上から、同社自己評価は「〇」としている。
5) 技術力・製品開発力の向上
製造過程で生じるクレームの撲滅、人財育成、風力・太陽光発電サイトの開発・安定運用、環境負荷の低減、蓄電技術等を進化させ、防・減災対策、地産地消にも資するポストFITを見据えた高付加価値事業の提案に取り組んだ。製造過程におけるクレームが激減したほか、各エリアに合わせたプロダクトについても順調に開発が進んでいる。太陽光発電施設は安定稼働する一方、風力発電は外部要因の影響を受けて伸び悩み、相談件数が増えてきた水熱処理もまだ実証実験の域を出ないが、バイオディーゼル燃料については本格展開に向けて順調に動き出した。以上から、同社自己評価は「△」としている。
6) M&Aの推進
M&Aを活用した商圏・取扱い商材の拡大に取り組んだ。2件のM&Aを実現し、「住宅機器関連事業」及び「再生可能エネルギー」における事業基盤を拡充できた。以上から、同社自己評価は「〇」としている。
7) IT推進
ITを活用した提案の高付加価値化による利益率向上に取り組んだ。社内コミュニケーションツールの導入は完了したものの、提案力・営業力の強化に向けた開発には課題を残した。以上から、同社自己評価は「△」としている。
2. 新中期経営計画における背景と方向性
同社は新中期経営計画を策定するにあたって、世界の水衛生問題の深刻化に着眼し、「日本の試行錯誤で培われた公衆衛生技術を、世界の国々に技術移転し、安全で安心な世界の実現に寄与する」ことが社会的使命、存在意義であることを再認識したうえで、「海外における水衛生インフラの整備」を今後の成長エンジンと位置付けた。さらに世界の水ビジネスは、上水、下水、産業排水、海水淡水化などを含めると、2030年には100兆円を超える市場が見込まれており、国内の浄化槽メーカーから、「グローバルな水ビジネスプレイヤー」を目指す考えだ。
また、経営モデルについては、これまで各事業が独立したポートフォリオ型モデルを形成してきたが、今後はそれぞれの事業が連携し、グローバルベースでシナジーを追求していく方向性を掲げた。具体的には、日本の公衆衛生をグローバルに展開した後は、日本の快適をグローバルに展開(住宅機器関連事業のグローバル展開)する計画だ。さらに再生可能エネルギー関連(バイオディーゼル燃料等)やパイプラインにある新規事業についても検討する。将来的にはグローバル戦略における日本市場という位置付けとなり、日本市場はR&D的な役割を担っていくとの見方もできる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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