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明日の株式相場に向けて=呪縛解けぬ半導体関連、個別勝負の勘所は
配信日時:2025/04/16 17:30
配信元:MINKABU
きょう(16日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比347円安の3万3920円と3日ぶり反落。リスクオフの高波に戦々恐々としながら、羅針盤を失った状態で濃霧の海原を航海するがごとき相場が続いている。朝方取引開始前の日経平均先物の動向からは、きょうも何とか上値指向を維持できそうな雰囲気はあったのだが、フタを開けてみるとなし崩し的な売りに晒された。小安く始まった後は次第安の展開に。後場終盤はショート筋の手仕舞いで下げ渋ったものの、大引けで3万4000円台を再び下回った。
全体指数が想定以上に下げる時は、半導体関連への苛烈な売りが背景にあるケースが多い。この日もその例にたがわず、であった。米エヌビディア<NVDA>が15日、中国向けに性能を落として設計したAI用半導体「H20」について、米政府から対中輸出規制が必要との通知を受けたことを発表、これを受け同社の株価は時間外で急落した。エヌビディア関連の最右翼と目されるアドバンテスト<6857.T>やディスコ<6146.T>をはじめ、半導体関連の主力どころは、これに追随して軒並み売りの砲火を浴びた。更に追い討ちをかけたのが、オランダのASMLホールディング<ASML>がきょう発表した1~3月期決算で、新規受注がコンセンサスを下回ったことが売りに拍車をかけた。半導体セクターは足もとの収益水準は既に眼中にはなく、近未来の業績が急激に悪化するのでないかという「恐怖感」こそが見えない敵となっていて、どうにも株価への織り込みが利かない点が厄介だ。逆説的になるが、半導体関連株は実際に目で見える数字として収益悪化が明らかとなるまで、疑心暗鬼の相場展開から抜け出すことはできそうもない。
ただ、このほかの個別株に目を向ければ、嵐の中でもしたたかに輝きを放つ銘柄はある。森を見ずに数少ない上値指向の銘柄を拾い上げることが、投資戦略的にどうなのかという問題は残るが、少なくとも現状はかつてのリーマンショックのように、リスクアセットをすべて叩き売るような異常事態に陥っているわけではない。株式市場という領域で静かに進行する資金シフトの動きに、常に目を凝らしておく必要がある。トランプ関税に振り回されない内需株への視点はまさにその延長線上にある。
そうしたなか、足もとで物価上昇圧力が意識される中で生活防衛関連への注目度が増している。本来であれば川上インフレで100円ショップなどは向かい風が強いはずだが、それ以上に消費者の味方となる企業というポジションを評価され、セリア<2782.T>などが急勾配の上昇トレンドを形成している。株式市場では消費者ニーズが株価押し上げに味方している格好だ。直近好決算を発表したキャンドゥ<2698.T>やワッツ<2735.T>などもリターンリバーサルの対象となる。更に100円ショップ向けに商品を納入するレック<7874.T>もここ全体相場に流されず強調展開をキープしている。このレックの裏銘柄としてはアミファ<7800.T>などもマークしておく価値がある。
他方、グローバルに目を向けると、最近はトランプ政策を嫌気して米国からの資金退避が観測される状況だ。株式市場はともかく、米債券安・通貨安が一つの象徴となっている。ドル安と逆相関の関係にあるのが金(ゴールド)で、ドル建てでゴールドを買う動きを反映したもの。これまで安全資産とされた米国債に対する信頼が失われ、その逃避先が金市況という構図である。NY金先物はここにきて上げ足を一段と強めており、きょうは時間外で6月限が1トロイオンス=3300ドルを超えた。これまでにも何度か取り上げた「金のETF」を買うのが分かりやすいが、個別株の範疇では先月下旬にも紹介した貴金属回収事業を手掛けるアサカ理研<5724.T>や、松田産業<7456.T>などに物色の矛先が向かいやすい。
なお、きょうはトランプ米大統領が重要鉱物と関連製品輸入への依存が安全保障に与える影響を調査するように指示(大統領令に署名)したことで、報復関税と合わせ中国の“米国攻撃用アイテム”となっているレアアースに対する思惑も改めて株式市場に渦巻いた。アサカ理研は最先端技術を駆使したレアアース回収でも実績が高く、きょうのストップ高はそうした事情も加わった。レアアース関連ではAREホールディングス<5857.T>やアルコニックス<3036.T>なども併せて目を配っておきたい。
あすのスケジュールでは、対外・対内証券売買契約、3月の貿易統計・24年度の貿易統計が朝方取引開始前に開示されるほか、前場取引時間中に1年物国庫短期証券の入札が行われる。午後には実質輸出入の動向が日銀から開示される。海外では、韓国中銀の政策金利発表、トルコ中銀の政策金利発表、ECB理事会の結果発表とラガルドECB総裁の記者会見のほか、米国では週間の新規失業保険申請件数、3月の住宅着工件数、4月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数などに注目。なお、バーFRB理事が講演を行う予定。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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