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ポールHD Research Memo(3):国内ソリューション、海外ソリューション、メディア・コンテンツ業務を展開
配信日時:2025/04/11 13:03
配信元:FISCO
*13:03JST ポールHD Research Memo(3):国内ソリューション、海外ソリューション、メディア・コンテンツ業務を展開
■ポールトゥウィンホールディングス<3657>の会社概要
2. 事業内容
同社グループは、ゲーム、ネット、EC、アニメ、テクノロジー等を主要対象領域としながら顧客のサービスやプロダクトのライフサイクルに応じたソリューションを提供するサービス・ライフサイクルソリューション事業を手掛けている。「サービス・ライフサイクル」は、すべてのサービスが生まれてから廃止されるまでに共通して発生する5段階のステップ、と定義されている。具体的には川上から「SS:戦略(設計、開発、実装などの方針を定義する段階)」、「SD:設計(実際に設計、開発する段階)」、「ST:移行(テストを行い、開発から本番運用状態へリリースする段階)」、「SO:運用(変化する環境に対応しながらサービス提供を継続する段階)」、「CSI:継続的サービス改善(サービスの有効性及び効率性を継続的に改善する段階)」の各段階で構成されている。川上から川下まで全工程に対応できるリソースやナレッジを1社で有する企業は少ないのが現状であり、各段階でアウトソーシングのニーズが発生している。例えば、「SS:戦略」では「アイディアはあるが経験がなくどのように設計・開発するべきか分からない」、「SD:設計」では「PMやエンジニアやデザイナーといった設計に充てる人材が足りない」、「ST:移行」では「サービスリリース可能な品質なのか確認・判断ができない」、「SO:運用」では「ユーザー対応やサーバーをチェックする人手が足りない」、「CSI:継続的サービス改善」では「日々の業務に追われサービスの改善まで手が回らない」などがある。こうしたニーズや課題に対して同社は、グループ一丸となって価値あるソリューションを提供している。
サービス・ライフサイクルの観点から同社が提供しているソリューションの一例を挙げると、川上から「プロデュース(制作)」の段階ではゲーム・アニメ・音楽の制作、舞台の企画、ウェブサイトの制作、システムの開発、「チューニング(調整)」の段階では難易度調整、「デバッグ(検証)」の段階では品質検証、システムテスト、セキュリティ診断、ユーザーテスト、「モニタリング(監視)」の段階では監視・広告審査、インフラ運用、サーバー監視、「サポート(支援)」の段階では運営サポート、カスタマーサポート、アクセシビリティチェック、「ローカライズ(地域化)」の段階では翻訳、多言語音声収録、ローカライズQA、「プロモーション(宣伝)」の段階では販売施策・Webサイト構築、PV作成、イベント企画、グッズ制作、などの各種ソリューションを提供している。
同社グループでサービス・ライフサイクルの川上から川下まで一気通貫でソリューションを提供できる体制を整えていることは、顧客にとって利便性があるほか同社の業績にもプラスの影響がある。例えば、メディア・コンテンツ事業で創出したIP(知的財産)を起点に、アニメ制作、ゲームパブリッシング、海外進出支援などの受託につなげることによってグループ内で新たな収益機会を創出・獲得できる。同社は各事業間での連携とクロスセルによる事業拡大サイクルの創出を重視しており、M&Aを実施する際にもこうしたシナジー創出が可能かどうかを判断基準の1つとしている。
以下、業務区分ごとにそれぞれの内容を概観する。
1) 国内ソリューション
2025年1月期の売上高に占める割合は47.1%(前期は50.3%)であり、同社の主力事業となっている。ポールトゥウィン(以下、PTW)、(株)MIRAIt Service Design(以下、MSD)、(株)Ninjastars、(株)ADOORなど国内子会社において事業展開している。ゲーム市場向けにはデバッグ、カスタマーサポート、ローカライズ、海外進出支援に関するサービスを、Tech市場向けにはソフトウェアテスト、インフラ環境構築、サーバー監視、データセンター運営、キッティングに関するサービスを、Eコマース市場向けにはモニタリング、カスタマーサポートに関するサービスを提供している。2025年1月期の売上構成比は、ゲーム分野で45%、Tech分野で30%、Eコマース分野で25%となっている。今後は企業活動においてDXによる生産性向上の取り組みが進むなか、成長余地の大きいTech分野の業績拡大に注力する考えで、特にソフトウェアテストとシステム開発を伸ばす方針である。
2) 海外ソリューション
2025年1月期の売上高に占める割合は38.8%(前期は34.5%)であり、国内ソリューションに次ぐ事業規模となっている。中間持株会社であるSide International Holdings Limited(英国)を中心に各在外子会社を通じてサービス・ライフサイクルの全工程を一気通貫で手掛けている。具体的には、デバッグ、ローカライズ(翻訳・言語テスト)、音声収録、カスタマーサポート、製品開発サポート、グラフィック開発などのサービスを提供している。2025年1月期の売上構成比は、カスタマーサポート、デバッグ、ローカライズがそれぞれ20%を占め、音声収録が35%、開発が5%となっている。音声収録は大型スポット案件を受注したため一時的に構成比が上昇しており、また、2026年1月期は2024年9月に事業譲受したゲーム開発アウトソーシング事業がフル寄与するため、開発の構成比が上昇する見込みである。
同社は30兆円を超える世界のゲーム市場を開拓すべく、2012年以降、M&Aも進めながら積極的に海外での事業展開を進めてきた。ただ、2024年1月期以降は物価や人件費の上昇、新規事業開発費用が重石となり収益性が悪化したことから、2025年1月期まで事業整理とオフショア拠点の開設による収益基盤の強化に取り組んできた。2024年9月にはGhostpunch Games, LLC(米国、フロリダ州)からゲーム開発アウトソーシング事業を譲受し、同事業を通じたクロスセルの拡大も今後は期待できる状況となっている。2025年3月には海外におけるブランド名を「side」に統一しており、事業効率も高めながら成長加速を目指す。
3) メディア・コンテンツ
2025年1月期の売上高に占める割合は14.2%(前期は15.2%)だが、新規事業における先行投資負担が重石となっており、収益化までには至っていない。主に(株)HIKE、(株)アクアプラス、(株)しいたけデジタル、Palabra(株)などの国内子会社において、アニメ制作、ゲームパブリッシング、グラフィック開発、マーケティング支援、バリアフリー字幕・音声ガイド制作などに関する各種サービスを提供している。2025年1月期の売上構成比は、グラフィック開発で35%、ゲーム開発・パブリッシングで30%、アニメ制作・制作出資で10%、PR・マーケティング支援、マーチャンダイジング(以下、MD)他新規事業で25%となっている。
メディア・コンテンツにおいては、IPの創出・獲得と360°メディアミックス(アニメ、ゲーム、MD)による収益機会の最大化を戦略として掲げている。また、制作の受託だけでなく、共同出資に参画することで収益性が高いライセンス収入の獲得にも取り組んでいる。出資・元請け制作タイトルの実績としては、劇場アニメ「数分間のエールを」、TVアニメ「この世界は不完全すぎる」などがある。そのほか、新規事業としてVTuber運営や2.5次元舞台の制作事業なども手掛けているが、収益化まで時間を要すると判断した事業については縮小・撤退の検討を進めており、当面はメディア・コンテンツの利益体質への転換を目標としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業内容
同社グループは、ゲーム、ネット、EC、アニメ、テクノロジー等を主要対象領域としながら顧客のサービスやプロダクトのライフサイクルに応じたソリューションを提供するサービス・ライフサイクルソリューション事業を手掛けている。「サービス・ライフサイクル」は、すべてのサービスが生まれてから廃止されるまでに共通して発生する5段階のステップ、と定義されている。具体的には川上から「SS:戦略(設計、開発、実装などの方針を定義する段階)」、「SD:設計(実際に設計、開発する段階)」、「ST:移行(テストを行い、開発から本番運用状態へリリースする段階)」、「SO:運用(変化する環境に対応しながらサービス提供を継続する段階)」、「CSI:継続的サービス改善(サービスの有効性及び効率性を継続的に改善する段階)」の各段階で構成されている。川上から川下まで全工程に対応できるリソースやナレッジを1社で有する企業は少ないのが現状であり、各段階でアウトソーシングのニーズが発生している。例えば、「SS:戦略」では「アイディアはあるが経験がなくどのように設計・開発するべきか分からない」、「SD:設計」では「PMやエンジニアやデザイナーといった設計に充てる人材が足りない」、「ST:移行」では「サービスリリース可能な品質なのか確認・判断ができない」、「SO:運用」では「ユーザー対応やサーバーをチェックする人手が足りない」、「CSI:継続的サービス改善」では「日々の業務に追われサービスの改善まで手が回らない」などがある。こうしたニーズや課題に対して同社は、グループ一丸となって価値あるソリューションを提供している。
サービス・ライフサイクルの観点から同社が提供しているソリューションの一例を挙げると、川上から「プロデュース(制作)」の段階ではゲーム・アニメ・音楽の制作、舞台の企画、ウェブサイトの制作、システムの開発、「チューニング(調整)」の段階では難易度調整、「デバッグ(検証)」の段階では品質検証、システムテスト、セキュリティ診断、ユーザーテスト、「モニタリング(監視)」の段階では監視・広告審査、インフラ運用、サーバー監視、「サポート(支援)」の段階では運営サポート、カスタマーサポート、アクセシビリティチェック、「ローカライズ(地域化)」の段階では翻訳、多言語音声収録、ローカライズQA、「プロモーション(宣伝)」の段階では販売施策・Webサイト構築、PV作成、イベント企画、グッズ制作、などの各種ソリューションを提供している。
同社グループでサービス・ライフサイクルの川上から川下まで一気通貫でソリューションを提供できる体制を整えていることは、顧客にとって利便性があるほか同社の業績にもプラスの影響がある。例えば、メディア・コンテンツ事業で創出したIP(知的財産)を起点に、アニメ制作、ゲームパブリッシング、海外進出支援などの受託につなげることによってグループ内で新たな収益機会を創出・獲得できる。同社は各事業間での連携とクロスセルによる事業拡大サイクルの創出を重視しており、M&Aを実施する際にもこうしたシナジー創出が可能かどうかを判断基準の1つとしている。
以下、業務区分ごとにそれぞれの内容を概観する。
1) 国内ソリューション
2025年1月期の売上高に占める割合は47.1%(前期は50.3%)であり、同社の主力事業となっている。ポールトゥウィン(以下、PTW)、(株)MIRAIt Service Design(以下、MSD)、(株)Ninjastars、(株)ADOORなど国内子会社において事業展開している。ゲーム市場向けにはデバッグ、カスタマーサポート、ローカライズ、海外進出支援に関するサービスを、Tech市場向けにはソフトウェアテスト、インフラ環境構築、サーバー監視、データセンター運営、キッティングに関するサービスを、Eコマース市場向けにはモニタリング、カスタマーサポートに関するサービスを提供している。2025年1月期の売上構成比は、ゲーム分野で45%、Tech分野で30%、Eコマース分野で25%となっている。今後は企業活動においてDXによる生産性向上の取り組みが進むなか、成長余地の大きいTech分野の業績拡大に注力する考えで、特にソフトウェアテストとシステム開発を伸ばす方針である。
2) 海外ソリューション
2025年1月期の売上高に占める割合は38.8%(前期は34.5%)であり、国内ソリューションに次ぐ事業規模となっている。中間持株会社であるSide International Holdings Limited(英国)を中心に各在外子会社を通じてサービス・ライフサイクルの全工程を一気通貫で手掛けている。具体的には、デバッグ、ローカライズ(翻訳・言語テスト)、音声収録、カスタマーサポート、製品開発サポート、グラフィック開発などのサービスを提供している。2025年1月期の売上構成比は、カスタマーサポート、デバッグ、ローカライズがそれぞれ20%を占め、音声収録が35%、開発が5%となっている。音声収録は大型スポット案件を受注したため一時的に構成比が上昇しており、また、2026年1月期は2024年9月に事業譲受したゲーム開発アウトソーシング事業がフル寄与するため、開発の構成比が上昇する見込みである。
同社は30兆円を超える世界のゲーム市場を開拓すべく、2012年以降、M&Aも進めながら積極的に海外での事業展開を進めてきた。ただ、2024年1月期以降は物価や人件費の上昇、新規事業開発費用が重石となり収益性が悪化したことから、2025年1月期まで事業整理とオフショア拠点の開設による収益基盤の強化に取り組んできた。2024年9月にはGhostpunch Games, LLC(米国、フロリダ州)からゲーム開発アウトソーシング事業を譲受し、同事業を通じたクロスセルの拡大も今後は期待できる状況となっている。2025年3月には海外におけるブランド名を「side」に統一しており、事業効率も高めながら成長加速を目指す。
3) メディア・コンテンツ
2025年1月期の売上高に占める割合は14.2%(前期は15.2%)だが、新規事業における先行投資負担が重石となっており、収益化までには至っていない。主に(株)HIKE、(株)アクアプラス、(株)しいたけデジタル、Palabra(株)などの国内子会社において、アニメ制作、ゲームパブリッシング、グラフィック開発、マーケティング支援、バリアフリー字幕・音声ガイド制作などに関する各種サービスを提供している。2025年1月期の売上構成比は、グラフィック開発で35%、ゲーム開発・パブリッシングで30%、アニメ制作・制作出資で10%、PR・マーケティング支援、マーチャンダイジング(以下、MD)他新規事業で25%となっている。
メディア・コンテンツにおいては、IPの創出・獲得と360°メディアミックス(アニメ、ゲーム、MD)による収益機会の最大化を戦略として掲げている。また、制作の受託だけでなく、共同出資に参画することで収益性が高いライセンス収入の獲得にも取り組んでいる。出資・元請け制作タイトルの実績としては、劇場アニメ「数分間のエールを」、TVアニメ「この世界は不完全すぎる」などがある。そのほか、新規事業としてVTuber運営や2.5次元舞台の制作事業なども手掛けているが、収益化まで時間を要すると判断した事業については縮小・撤退の検討を進めており、当面はメディア・コンテンツの利益体質への転換を目標としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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