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はてな Research Memo(3):GigaViewerなどテクノロジーソリューションサービスが2ケタ増と好調持続
配信日時:2025/04/08 11:03
配信元:FISCO
*11:03JST はてな Research Memo(3):GigaViewerなどテクノロジーソリューションサービスが2ケタ増と好調持続
■はてな<3930>の業績動向
2. サービス別売上動向
(1) テクノロジーソリューションサービス
テクノロジーソリューションサービスの売上高は前年同期比34.1%増の1,469百万円と2ケタ増収ペースが続き、半期ベースで過去最高を更新した。受託開発・保守運用サービスが同54.3%増の1,106百万円と大きく伸長したことが主因だ。一方、SaaSビジネスとなるサーバー監視サービス「Mackerel」は同4.2%減の362百万円と微減傾向が続いた。
受託開発・保守運用サービスの増収要因の大半は、2024年3月末に「GigaViewer」の搭載を開始した大型マンガアプリ「少年ジャンプ+」の運用料やレベニューシェア(広告・課金収益等)によるものと見られる。「GigaViewer」は、そのほかにも新たにWeb版「Seasons」((株)文藝春秋)に搭載されたほか、搭載済み媒体のうち「webアクション」((株)双葉社)や「コミック アース・スター」((株)アース・スター エンターテイメント)の2媒体において新たにマネタイズ支援機能である「ストア機能」の提供を開始した。中間期末時点における「GigaViewer」の搭載媒体は17社25媒体(うち、2件はアプリ版)となった。また、任天堂<7974>のソフト『スプラトゥーン3』のゲーム連動サービスである「イカリング3」の継続的機能拡充など、「GigaViewer」以外の受託開発案件についても納品及び検収が完了し、売上増に貢献した。
一方、「Mackerel」についてはAWS利用顧客に対する認知度が向上し、新規顧客の獲得が進んだものの、主要顧客向けの売上が監視対象サーバー台数の減少により落ち込んだこと(顧客企業が提供するサービスの規模縮小による)やオンラインマーケティングも不調だったことが減収要因となった。四半期ベースで見ると2023年7月期第2四半期の200百万円をピークに2025年7月期第1四半期は178百万円まで減少してきたが、第2四半期は184百万円と8四半期ぶりに前四半期比で増収に転じた。2024年11月にソフトウェアの状況等を把握するためのオープンソースによる標準規格「Open Telemetry※」に対応したメトリック機能の正式版をリリースしたのを機に料金体系を見直し、顧客当たり平均売上単価が約4%上昇したことが増収要因となった。この効果を除けば前四半期比で横ばい水準であり、売上高については下げ止まったものと思われる。
※ ソフトウェアのテレメトリーデータ(トレース、メトリック、ログ)を収集し、監視と分析のために遠隔地に送信するための標準化ツールで、2021年にVer1.0が公開された。「Mackerel」において、従来は独自規格であったため容易に導入できなかった企業に対しても、標準規格に対応することで導入が進みやすくなる効果が期待される。
(2) コンテンツマーケティングサービス
コンテンツマーケティングサービスの売上高は前年同期比4.2%減の325百万円となった、売上高の内訳を見ると、システム構築・利用料や記事制作支援等が含まれるSaaS等が同1.1%増の231百万円と3期ぶりに増収に転じた一方で、広告売上が同15.2%減の93百万円と減収傾向が続いた。
「はてなブログMedia」の新規開設件数が12件、解約件数が5件となり中間期末の運用件数は前期末比7件増の149件となった。マーケティング目的のメディア開設のほか、コーポレートサイト開設を目的とした利用も始まり、運用件数の増加につながった。1件当たりの平均月次売上高は前年同期の390千円から374千円と4.1%低下したものの、前下期の350千円を底にして上昇に転じた。記事制作などの追加発注の多かったメディアの運用が再開されたことや、購買などにつながりやすい直接的な事業貢献を主眼に置く記事の開発に取り組んだことが要因として挙げられる。
2024年7月末にβ版を公開した、AIを活用した発話分析ソリューションサービス「toitta」は同年10月に正式版をリリースし、順調な立ち上がりを見せている。「toitta」は主にリサーチ・マーケティング部門を顧客ターゲットとしたサービスで、ユーザーインタビューの録画・音声データをAIで処理し、データ分析しやすい形に整えるツールである。インタビュー内容の書き起こし作業をAIで自動化するサービスは他にもあるが、同社サービスの特徴はインタビュー内容から分析する際のデータとして扱える「キーワード」を自動生成し、親和図法※などの下準備が必要な質的分析を実施できる点にある。従来は取材記録を基に数日かけて行っていた分析・レポート作成業務が短時間で可能となるほか、質的向上にもつながるサービスとして顧客から高い評価を受けている。導入先は調査会社やインターネット関連会社に留まらず、メーカーやコンサルティング会社など多岐に広がっている。このため、同社は営業体制を強化してARR1億円の早期達成を目指している。
※ 親和図法とは、ある課題に対する事実・意見・発想を言語データに変換し、言語データ同士の「親和性」を見つけて統合図を作っていく手法。
(3) コンテンツプラットフォームサービス
コンテンツプラットフォームサービスの売上高は前年同期比10.1%減の167百万円と減収基調が続いた。「はてなブログ」の登録ユーザー数は同38万人増の1,268万人と堅調に増加し、PV数も前年同期並みの水準を維持したものの、各種SNSの普及によりアドネットワーク広告単価の下落傾向が続いている影響で、広告収入が同13.4%減の91百万円となったほか、有料課金サービス「はてなブログPro」の契約件数減少によりSaaS等の売上も同5.8%減の76百万円と低迷した。なお、ブログの書き手を増やす施策として、2023年6月より、記事の有料販売機能※を全ユーザーで利用可能としたほか、同年12月には生成AI技術を活用して、本文の内容を基に記事タイトルを作成・提案する「AIタイトルアシスト」をリリースした。いずれも売上面で顕著な効果は出ていないものの、利用者数は着実に増加しているようだ。
※ codoc(株)が提供するコンテンツ販売サービス「codoc」とアカウント連携することで、記事の単体販売及び月額・年額のサブスクリプションメニューの販売が可能となった。販売手数料15%を同社とcodocでレベニューシェアする。月額500~1,000円程度のサブスクリプション販売が特に伸びているようだ。
(4) その他サービス
同社はブロックチェーン技術を用いたWeb3領域への展開を図るべく、2024年10月に日本ブロックチェーン基盤が運営・管理するパブリックチェーン「JOC」にバリデータとして参画した。「JOC」のバリデータは2024年10月時点で同社を含めて13社・団体あり、最終的に21社・団体となる予定だ。これら企業・団体とともに、ブロックチェーン・インフラの構築に貢献していくとともに、「JOC」を活用した社会課題解決につながるWeb3サービスの検討を進めていく。「JOC」は同年12月にInitial Exchange Offering※1を果たし、同社もバリデ―ション業務を開始、その対価としてJOCトークン※2を1百万円獲得、売上に計上した。今後も毎月、JOCトークンを得る予定だ。
※1 国内の法規制に則って暗号資産取引所が主体となってプロジェクト審査を行い、暗号資産の公募売出し・流通を行う仕組みのこと。
※2 ブロックチェーン技術を利用して発行された暗号資産のこと。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. サービス別売上動向
(1) テクノロジーソリューションサービス
テクノロジーソリューションサービスの売上高は前年同期比34.1%増の1,469百万円と2ケタ増収ペースが続き、半期ベースで過去最高を更新した。受託開発・保守運用サービスが同54.3%増の1,106百万円と大きく伸長したことが主因だ。一方、SaaSビジネスとなるサーバー監視サービス「Mackerel」は同4.2%減の362百万円と微減傾向が続いた。
受託開発・保守運用サービスの増収要因の大半は、2024年3月末に「GigaViewer」の搭載を開始した大型マンガアプリ「少年ジャンプ+」の運用料やレベニューシェア(広告・課金収益等)によるものと見られる。「GigaViewer」は、そのほかにも新たにWeb版「Seasons」((株)文藝春秋)に搭載されたほか、搭載済み媒体のうち「webアクション」((株)双葉社)や「コミック アース・スター」((株)アース・スター エンターテイメント)の2媒体において新たにマネタイズ支援機能である「ストア機能」の提供を開始した。中間期末時点における「GigaViewer」の搭載媒体は17社25媒体(うち、2件はアプリ版)となった。また、任天堂<7974>のソフト『スプラトゥーン3』のゲーム連動サービスである「イカリング3」の継続的機能拡充など、「GigaViewer」以外の受託開発案件についても納品及び検収が完了し、売上増に貢献した。
一方、「Mackerel」についてはAWS利用顧客に対する認知度が向上し、新規顧客の獲得が進んだものの、主要顧客向けの売上が監視対象サーバー台数の減少により落ち込んだこと(顧客企業が提供するサービスの規模縮小による)やオンラインマーケティングも不調だったことが減収要因となった。四半期ベースで見ると2023年7月期第2四半期の200百万円をピークに2025年7月期第1四半期は178百万円まで減少してきたが、第2四半期は184百万円と8四半期ぶりに前四半期比で増収に転じた。2024年11月にソフトウェアの状況等を把握するためのオープンソースによる標準規格「Open Telemetry※」に対応したメトリック機能の正式版をリリースしたのを機に料金体系を見直し、顧客当たり平均売上単価が約4%上昇したことが増収要因となった。この効果を除けば前四半期比で横ばい水準であり、売上高については下げ止まったものと思われる。
※ ソフトウェアのテレメトリーデータ(トレース、メトリック、ログ)を収集し、監視と分析のために遠隔地に送信するための標準化ツールで、2021年にVer1.0が公開された。「Mackerel」において、従来は独自規格であったため容易に導入できなかった企業に対しても、標準規格に対応することで導入が進みやすくなる効果が期待される。
(2) コンテンツマーケティングサービス
コンテンツマーケティングサービスの売上高は前年同期比4.2%減の325百万円となった、売上高の内訳を見ると、システム構築・利用料や記事制作支援等が含まれるSaaS等が同1.1%増の231百万円と3期ぶりに増収に転じた一方で、広告売上が同15.2%減の93百万円と減収傾向が続いた。
「はてなブログMedia」の新規開設件数が12件、解約件数が5件となり中間期末の運用件数は前期末比7件増の149件となった。マーケティング目的のメディア開設のほか、コーポレートサイト開設を目的とした利用も始まり、運用件数の増加につながった。1件当たりの平均月次売上高は前年同期の390千円から374千円と4.1%低下したものの、前下期の350千円を底にして上昇に転じた。記事制作などの追加発注の多かったメディアの運用が再開されたことや、購買などにつながりやすい直接的な事業貢献を主眼に置く記事の開発に取り組んだことが要因として挙げられる。
2024年7月末にβ版を公開した、AIを活用した発話分析ソリューションサービス「toitta」は同年10月に正式版をリリースし、順調な立ち上がりを見せている。「toitta」は主にリサーチ・マーケティング部門を顧客ターゲットとしたサービスで、ユーザーインタビューの録画・音声データをAIで処理し、データ分析しやすい形に整えるツールである。インタビュー内容の書き起こし作業をAIで自動化するサービスは他にもあるが、同社サービスの特徴はインタビュー内容から分析する際のデータとして扱える「キーワード」を自動生成し、親和図法※などの下準備が必要な質的分析を実施できる点にある。従来は取材記録を基に数日かけて行っていた分析・レポート作成業務が短時間で可能となるほか、質的向上にもつながるサービスとして顧客から高い評価を受けている。導入先は調査会社やインターネット関連会社に留まらず、メーカーやコンサルティング会社など多岐に広がっている。このため、同社は営業体制を強化してARR1億円の早期達成を目指している。
※ 親和図法とは、ある課題に対する事実・意見・発想を言語データに変換し、言語データ同士の「親和性」を見つけて統合図を作っていく手法。
(3) コンテンツプラットフォームサービス
コンテンツプラットフォームサービスの売上高は前年同期比10.1%減の167百万円と減収基調が続いた。「はてなブログ」の登録ユーザー数は同38万人増の1,268万人と堅調に増加し、PV数も前年同期並みの水準を維持したものの、各種SNSの普及によりアドネットワーク広告単価の下落傾向が続いている影響で、広告収入が同13.4%減の91百万円となったほか、有料課金サービス「はてなブログPro」の契約件数減少によりSaaS等の売上も同5.8%減の76百万円と低迷した。なお、ブログの書き手を増やす施策として、2023年6月より、記事の有料販売機能※を全ユーザーで利用可能としたほか、同年12月には生成AI技術を活用して、本文の内容を基に記事タイトルを作成・提案する「AIタイトルアシスト」をリリースした。いずれも売上面で顕著な効果は出ていないものの、利用者数は着実に増加しているようだ。
※ codoc(株)が提供するコンテンツ販売サービス「codoc」とアカウント連携することで、記事の単体販売及び月額・年額のサブスクリプションメニューの販売が可能となった。販売手数料15%を同社とcodocでレベニューシェアする。月額500~1,000円程度のサブスクリプション販売が特に伸びているようだ。
(4) その他サービス
同社はブロックチェーン技術を用いたWeb3領域への展開を図るべく、2024年10月に日本ブロックチェーン基盤が運営・管理するパブリックチェーン「JOC」にバリデータとして参画した。「JOC」のバリデータは2024年10月時点で同社を含めて13社・団体あり、最終的に21社・団体となる予定だ。これら企業・団体とともに、ブロックチェーン・インフラの構築に貢献していくとともに、「JOC」を活用した社会課題解決につながるWeb3サービスの検討を進めていく。「JOC」は同年12月にInitial Exchange Offering※1を果たし、同社もバリデ―ション業務を開始、その対価としてJOCトークン※2を1百万円獲得、売上に計上した。今後も毎月、JOCトークンを得る予定だ。
※1 国内の法規制に則って暗号資産取引所が主体となってプロジェクト審査を行い、暗号資産の公募売出し・流通を行う仕組みのこと。
※2 ブロックチェーン技術を利用して発行された暗号資産のこと。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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