注目トピックス 日本株
SBSHD Research Memo(6):2030年度に売上高7,000億円以上を目指す(1)
配信日時:2025/03/31 12:06
配信元:FISCO
*12:06JST SBSHD Research Memo(6):2030年度に売上高7,000億円以上を目指す(1)
■今後の見通し
2. 中期経営計画の進捗状況
(1) 経営数値目標
SBSホールディングス<2384>は「ロジスティクス×IT」で成長するメガベンチャーを標榜しており、業界トップティアの地位を確固たるものとし、あらゆる顧客の物流ニーズに応えるとともに、社会と共生し信頼される企業を目指している。2023年12月期からスタートした3ヶ年の中期経営計画「SBS Next Stage 2025」では経営ビジョンとして、1) サービスの提供を通じ顧客の価値創造へ貢献すること、2) 社会インフラとしてESGを重視し、すべてのステークホルダーに貢献すること、3) 継続的かつ業績に応じた利益還元を実施すること、の3点を掲げ、企業価値の向上と持続的成長を目指してきた。
経営数値目標として最終年度となる2025年12月期に売上高5,000億円、営業利益275億円、営業利益率5.5%を掲げていたが、既述のとおり直近の会社計画では売上高4,850億円、営業利益205億円、営業利益率4.2%とそれぞれ当初目標から引き下げている。売上高で150億円、営業利益で70億円の下振れ要因として、売上高に関してはNSKロジの連結化で165億円の増額要因となったが、計画策定時から海上運賃が下落した影響で250億円、半導体市況等の環境変化による影響で65億円の減額要因になったと同社では分析している。一方、営業利益に関しては市場環境変化による影響で30億円、新規物流拠点立ち上げロスの発生で30億円、その他売上高の未達で10億円の減額要因となっている。外部環境の変化だけでなく内部要因(新規事業立ち上げロス)も重なって業績が2期連続で期初計画未達となったことから、2025年12月期は収益力の回復を最重点課題として取り組む方針だ。
なお、重点施策の進捗について見ると、「成長戦略」については3PL、国際物流、EC物流の各分野でグループプラットフォームの構築に目途をつけ、「物流基盤」についても物流施設の運営床面積で100万坪を突破するなど順調に進んでいる。「LT×IT」については新LTラボの開設やロボットソリューション(搬送系、GTP※系)の物流拠点での実装を徐々に進めている段階だ。サステナビリティの取り組みについては、車両のEV化(中古車両のEV改造、EVバンの導入)を進めているほか、次世代研修の実施等により人材育成の強化に取り組んでおり、業績数値を除けば順調に進捗しているものと評価される。
※ GTP(Goods To Person)とは、倉庫内で作業者のピッキングや運搬業務をサポートするロボットを指す。
同社は今後も不動産事業を安定収益基盤としながら物流事業を中心に高成長を目指す考えで、2030年12月期に連結売上高7,000億円以上を目指す。また、物流事業については収益構造改革に取り組むことで、営業利益率を2024年12月期の2.2%から2030年12月期に4.5%以上に引き上げていく。売上高7,000億円到達時点で、物流事業の営業利益率が4.5%水準まで向上していたとするならば、営業利益の水準は390億円前後に拡大しているものと推察される※。
※ 不動産事業及びその他事業の業績を2025年12月期予想比で横ばいが続いたと仮定した場合。
(2) 利益を伴う成長戦略の推進
a) 3PL
3PL事業の売上高は2024年12月期で前期比2.0%増の2,427億円と計画を若干上回った。2025年12月期はNSKロジの連結効果もあり、同8.6%増の2,635億円となる見通しだ。国内シェアは2023年で5%台と着実に上昇しており、今後も新規顧客開拓と既存顧客の業務拡大、並びに物流施設などのインフラ開発を継続しながら成長を目指す。
2026年以降の開発計画としては「冨里物流センター(仮称)」(千葉県、3.4万坪、2026年8月開設予定)が決まっているだけだが、16万坪以上の開発用地を仕入済みとなっている。これらすべてが開発された場合、物流施設の運営面積は前期末比21.0%増の131万坪となる見込みで、3PLの売上能力もほぼ比例して拡大することになる。
b) 国際物流、EC物流
国際物流事業の売上高は2024年12月期で前期比5.2%増の544億円とほぼ計画どおりに着地し、2025年12月期は同2.9%増の560億円を見込む。国際物流では、SBS東芝ロジスティクスとSBSリコーロジスティクスの2系統に体制が集約化されたことで、今後の事業展開加速が期待される。地域別では、東アジア・東南アジアの発着貨物と同エリア内の域内物流の取引拡大を狙っている。また、海外における3PL事業拡大に向けて、域内ネットワークの物流機能や顧客基盤を拡充していく。欧州ではブラックバードをグループ化したことで橋頭保ができ、今後は北米やアジア圏でも3PL事業の進出を視野に入れたM&Aを進めていくことになる。
一方、EC物流事業の2024年12月期売上高は前期比4.8%増の586億円となり、計画をやや下回った。売上高の約半分を占めるラストワンマイル事業において大口取引先の失注があった影響が大きい。一方で、EC物流のフルフィルメントサービス「EC物流お任せくん」の受注は好調で、毎月5社前後のペースで顧客数が増加している。業界初のEC専用プラットフォーム「EC野田瀬戸物流センター」を2024年2月に稼働開始したが、受注好調から1万坪の運営面積を2025年春に1.5万坪に増床したほどだ。希少性のある定温設備(20度・30度帯)、冷凍冷蔵庫(約500坪)を整備しており、食品からサプリメント、電子機器やアパレル・雑貨に至るまで幅広い商品の取扱いが可能なことに加えて、EC構築支援から物流、カスタマーサポートまでワンストップで対応可能な点が特徴であり強みとなっている。2025年12月期は同センターの増床効果に加えて、関西初のEC物流拠点「物流センター八尾」(約8千坪)が通年で寄与することもあり、売上高は同9.2%増の640億円と成長が加速する見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 中期経営計画の進捗状況
(1) 経営数値目標
SBSホールディングス<2384>は「ロジスティクス×IT」で成長するメガベンチャーを標榜しており、業界トップティアの地位を確固たるものとし、あらゆる顧客の物流ニーズに応えるとともに、社会と共生し信頼される企業を目指している。2023年12月期からスタートした3ヶ年の中期経営計画「SBS Next Stage 2025」では経営ビジョンとして、1) サービスの提供を通じ顧客の価値創造へ貢献すること、2) 社会インフラとしてESGを重視し、すべてのステークホルダーに貢献すること、3) 継続的かつ業績に応じた利益還元を実施すること、の3点を掲げ、企業価値の向上と持続的成長を目指してきた。
経営数値目標として最終年度となる2025年12月期に売上高5,000億円、営業利益275億円、営業利益率5.5%を掲げていたが、既述のとおり直近の会社計画では売上高4,850億円、営業利益205億円、営業利益率4.2%とそれぞれ当初目標から引き下げている。売上高で150億円、営業利益で70億円の下振れ要因として、売上高に関してはNSKロジの連結化で165億円の増額要因となったが、計画策定時から海上運賃が下落した影響で250億円、半導体市況等の環境変化による影響で65億円の減額要因になったと同社では分析している。一方、営業利益に関しては市場環境変化による影響で30億円、新規物流拠点立ち上げロスの発生で30億円、その他売上高の未達で10億円の減額要因となっている。外部環境の変化だけでなく内部要因(新規事業立ち上げロス)も重なって業績が2期連続で期初計画未達となったことから、2025年12月期は収益力の回復を最重点課題として取り組む方針だ。
なお、重点施策の進捗について見ると、「成長戦略」については3PL、国際物流、EC物流の各分野でグループプラットフォームの構築に目途をつけ、「物流基盤」についても物流施設の運営床面積で100万坪を突破するなど順調に進んでいる。「LT×IT」については新LTラボの開設やロボットソリューション(搬送系、GTP※系)の物流拠点での実装を徐々に進めている段階だ。サステナビリティの取り組みについては、車両のEV化(中古車両のEV改造、EVバンの導入)を進めているほか、次世代研修の実施等により人材育成の強化に取り組んでおり、業績数値を除けば順調に進捗しているものと評価される。
※ GTP(Goods To Person)とは、倉庫内で作業者のピッキングや運搬業務をサポートするロボットを指す。
同社は今後も不動産事業を安定収益基盤としながら物流事業を中心に高成長を目指す考えで、2030年12月期に連結売上高7,000億円以上を目指す。また、物流事業については収益構造改革に取り組むことで、営業利益率を2024年12月期の2.2%から2030年12月期に4.5%以上に引き上げていく。売上高7,000億円到達時点で、物流事業の営業利益率が4.5%水準まで向上していたとするならば、営業利益の水準は390億円前後に拡大しているものと推察される※。
※ 不動産事業及びその他事業の業績を2025年12月期予想比で横ばいが続いたと仮定した場合。
(2) 利益を伴う成長戦略の推進
a) 3PL
3PL事業の売上高は2024年12月期で前期比2.0%増の2,427億円と計画を若干上回った。2025年12月期はNSKロジの連結効果もあり、同8.6%増の2,635億円となる見通しだ。国内シェアは2023年で5%台と着実に上昇しており、今後も新規顧客開拓と既存顧客の業務拡大、並びに物流施設などのインフラ開発を継続しながら成長を目指す。
2026年以降の開発計画としては「冨里物流センター(仮称)」(千葉県、3.4万坪、2026年8月開設予定)が決まっているだけだが、16万坪以上の開発用地を仕入済みとなっている。これらすべてが開発された場合、物流施設の運営面積は前期末比21.0%増の131万坪となる見込みで、3PLの売上能力もほぼ比例して拡大することになる。
b) 国際物流、EC物流
国際物流事業の売上高は2024年12月期で前期比5.2%増の544億円とほぼ計画どおりに着地し、2025年12月期は同2.9%増の560億円を見込む。国際物流では、SBS東芝ロジスティクスとSBSリコーロジスティクスの2系統に体制が集約化されたことで、今後の事業展開加速が期待される。地域別では、東アジア・東南アジアの発着貨物と同エリア内の域内物流の取引拡大を狙っている。また、海外における3PL事業拡大に向けて、域内ネットワークの物流機能や顧客基盤を拡充していく。欧州ではブラックバードをグループ化したことで橋頭保ができ、今後は北米やアジア圏でも3PL事業の進出を視野に入れたM&Aを進めていくことになる。
一方、EC物流事業の2024年12月期売上高は前期比4.8%増の586億円となり、計画をやや下回った。売上高の約半分を占めるラストワンマイル事業において大口取引先の失注があった影響が大きい。一方で、EC物流のフルフィルメントサービス「EC物流お任せくん」の受注は好調で、毎月5社前後のペースで顧客数が増加している。業界初のEC専用プラットフォーム「EC野田瀬戸物流センター」を2024年2月に稼働開始したが、受注好調から1万坪の運営面積を2025年春に1.5万坪に増床したほどだ。希少性のある定温設備(20度・30度帯)、冷凍冷蔵庫(約500坪)を整備しており、食品からサプリメント、電子機器やアパレル・雑貨に至るまで幅広い商品の取扱いが可能なことに加えて、EC構築支援から物流、カスタマーサポートまでワンストップで対応可能な点が特徴であり強みとなっている。2025年12月期は同センターの増床効果に加えて、関西初のEC物流拠点「物流センター八尾」(約8千坪)が通年で寄与することもあり、売上高は同9.2%増の640億円と成長が加速する見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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