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岐路に立つ老大国【フィスコ・コラム】
配信日時:2025/03/30 09:00
配信元:FISCO
*09:00JST 岐路に立つ老大国【フィスコ・コラム】
米トランプ政権の発足で、長年のパートナーであるイギリスとの関係も微妙に変化しています。貿易関税や対ロシア戦略に関しアメリカへの譲歩が目立ち、影響力を失いつつあるようです。老大国がかつての面影を残して生き残るには、どのような道があるでしょうか。
ポンド・ドル相場は1.29ドル台でもみ合い、心理的節目の1.30ドル台定着を目指す展開です。第2次トランプ政権が確実になった昨年11月からポンド売り・ドル買いで1.30ドル付近から下げ続け、今年1月の就任式前には1.2099ドルまで下落。2カ月半で約7.5%水準を切り下げた後、2カ月あまりで持ち直しました。英米関係の悪化が危ぶまれたものの、危機を脱したとの市場の判断かもしれません。
実際、トランプ米大統領が打ち出した関係各国・地域への関税引き上げ方針を、英スターマー政権も受け入れることになりました。イギリスは2016年の欧州連合(EU)離脱で巨大な市場とのアクセス権を失い、アメリカとの通商関係を強めてきました。が、特例を許さないトランプ政権との交渉で既得権を奪われ、イギリスは長年のパートナー関係にあるアメリカに譲歩。報復を見送る「大人の対応」でした。
初の英米首脳会談で、スターマー氏はトランプ氏に英国王による国賓としての招待カードを提示。しかし、格式や伝統を重んじるイギリスのアプローチは、実利を重視するトランプ氏には響かなかったようです。イギリスが包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)に新規加盟国として参加を決めたのも自然の流れでしょう。成功すれば、国内のスタグフレーション懸念を和らげるのに寄与しそうです。
イギリスは他にも経済的なつながりを構築しようと、複数の国々にアプローチ。特に経済成長が続くインドとの貿易や投資の拡大に新たな期待をつないでいます。トランプ政権が距離を置くカナダと南アフリカなど英連邦諸国との絆を再び強めれば、イギリス中心の新たな経済圏を築くことも可能でしょう。
英米両国は政治・経済から外交・防衛、文化、歴史を通じて「特別な関係」を築いてきましたが、トランプ政権下のアメリカは以前ほどイギリスを必要としていないのか、親和性が薄らいでいるように見えます。両国は対ロシア戦略で北大西洋条約機構(NATO)を主導してきましたが、ウクライナ戦争の終結に向けた動きではアメリカがロシアに接近、イギリスは反ロシアを貫き、方向性が一致していません。
老大国イギリスが国際社会での存在感を低下させるなか、為替市場ではドル主導の展開が当面続くとの見方もあるようです。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 <ST>
ポンド・ドル相場は1.29ドル台でもみ合い、心理的節目の1.30ドル台定着を目指す展開です。第2次トランプ政権が確実になった昨年11月からポンド売り・ドル買いで1.30ドル付近から下げ続け、今年1月の就任式前には1.2099ドルまで下落。2カ月半で約7.5%水準を切り下げた後、2カ月あまりで持ち直しました。英米関係の悪化が危ぶまれたものの、危機を脱したとの市場の判断かもしれません。
実際、トランプ米大統領が打ち出した関係各国・地域への関税引き上げ方針を、英スターマー政権も受け入れることになりました。イギリスは2016年の欧州連合(EU)離脱で巨大な市場とのアクセス権を失い、アメリカとの通商関係を強めてきました。が、特例を許さないトランプ政権との交渉で既得権を奪われ、イギリスは長年のパートナー関係にあるアメリカに譲歩。報復を見送る「大人の対応」でした。
初の英米首脳会談で、スターマー氏はトランプ氏に英国王による国賓としての招待カードを提示。しかし、格式や伝統を重んじるイギリスのアプローチは、実利を重視するトランプ氏には響かなかったようです。イギリスが包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)に新規加盟国として参加を決めたのも自然の流れでしょう。成功すれば、国内のスタグフレーション懸念を和らげるのに寄与しそうです。
イギリスは他にも経済的なつながりを構築しようと、複数の国々にアプローチ。特に経済成長が続くインドとの貿易や投資の拡大に新たな期待をつないでいます。トランプ政権が距離を置くカナダと南アフリカなど英連邦諸国との絆を再び強めれば、イギリス中心の新たな経済圏を築くことも可能でしょう。
英米両国は政治・経済から外交・防衛、文化、歴史を通じて「特別な関係」を築いてきましたが、トランプ政権下のアメリカは以前ほどイギリスを必要としていないのか、親和性が薄らいでいるように見えます。両国は対ロシア戦略で北大西洋条約機構(NATO)を主導してきましたが、ウクライナ戦争の終結に向けた動きではアメリカがロシアに接近、イギリスは反ロシアを貫き、方向性が一致していません。
老大国イギリスが国際社会での存在感を低下させるなか、為替市場ではドル主導の展開が当面続くとの見方もあるようです。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 <ST>
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