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ケイファーマ Research Memo(2):iPS細胞を活用して創薬・再生医療の研究開発を進めるバイオベンチャー
配信日時:2025/03/26 12:02
配信元:FISCO
*12:02JST ケイファーマ Research Memo(2):iPS細胞を活用して創薬・再生医療の研究開発を進めるバイオベンチャー
■会社概要及び事業内容
1. 会社沿革
ケイファーマ<4896>は、エーザイで長く研究開発に従事していた現代表取締役社長である福島弘明(ふくしま こうめい)氏と、慶應義塾大学医学部教授で脳・神経領域の世界的研究者である取締役の岡野栄之氏、整形外科領域の世界的研究者である取締役の中村雅也氏の3人で2016年に創業した慶應義塾大学発のバイオベンチャーで、「医療イノベーションを実現し、医療分野での社会貢献を果たします」を経営理念として掲げている。
研究開発テーマとしては、岡野氏と中村氏が長らく研究を続けてきた脊髄損傷に対する再生医療の開発に加えて、早期に収益化が見込める創薬事業を同時に進めることにした。2020年にはiPS細胞を活用した医薬品及び再生医療など製品の開発を目的とした共同研究契約を(学)慶應義塾と締結し、2022年には亜急性期脊髄損傷に対するiPS細胞由来神経前駆細胞を用いた再生医療の治験に向けた共同研究契約も締結した。iPS創薬事業においては、2023年3月にアルフレッサ ファーマと日本におけるALS治療薬候補である「KP2011」のライセンス契約を締結し、同年6月には(学)北里研究所と難聴治療薬の企業治験に向けた共同研究契約を締結した。また、同年8月には(独)国立病院機構大阪医療センターと慢性期脳梗塞、脳出血及び外傷性中枢神経損傷の再生医療の企業治験に向けた共同研究契約を締結するなど、開発パイプラインの上市に向けて、アカデミアとの連携も活発に進めている。
2023年10月には東京証券取引所グロース市場に株式を上場し、約15億円の資金調達を行った。調達した資金で研究開発、人材投資を進めている。2024年12月末時点の従業員数は17名(前年末比2名増)で、そのうち研究開発人員は11名となっている。
医薬品、再生医療等製品を開発し、製薬企業に導出して収益を得る
2. 事業内容
同社が開発ターゲットとする疾患は、いまだ有効な治療法が確立されておらず患者からも開発が強く望まれているアンメットメディカルニーズの高い分野で、中枢神経疾患領域を中心に開発を進めている。事業としてはiPS細胞を活用したiPS創薬事業と再生医療事業の2つの事業を展開し、アカデミアと連携しながら研究開発を推進するとともに、バリューチェーンを構成する各企業とも連携して事業活動を推進している。
ビジネスモデルとしては、開発パイプラインに関して、製薬会社などのパートナーと協力し、基礎研究・探索研究から企業治験の各段階において、共同研究開発を行い、または将来の製造・販売に関する権利の一部または全部を譲渡するライセンス契約を締結する。この契約により、契約一時金や開発の進捗に応じたマイルストーン収入、さらには上市後の販売額に応じたロイヤリティ収入や販売達成額に応じた販売マイルストーン収入などをパートナーから受領する形となる。
同社の強みは、中枢神経疾患領域において、世界的権威を持つ自社の研究者が長年にわたり蓄積した基礎研究をもとに開発を進めている点にある。特に、iPS細胞から神経細胞へ適切かつ効率的に分化誘導する技術や、創薬に適した表現型※を構築するためのノウハウ・技術に優れている。さらに、再生医療等製品として神経細胞に分化誘導し移植するためのノウハウや技術においても、世界最先端の水準にあるとされ、同社の強みとなっている。
※ 薬物の候補となる化合物を細胞などに加えることで、対象とする疾患に関連して起きる現象。
(1) iPS創薬事業
iPS創薬とは、患者から採取した細胞から疾患特異的iPS細胞を作製して神経細胞に分化誘導し、1,200を超える既存薬のライブラリを使ってin vitro※スクリーニングによって複数の表現型に対して効果が見込める候補化合物を絞り込む創薬手法を指し、同社によると世界でも初の試みとなる。同手法を用いることで候補化合物を効率的に探索できるほか、表現型を使ってスクリーニングを行うことで作用機序の解析も進めやすくなる。
※ 試験管や培養器の中で人や動物の細胞を用いて、体内と同様の環境を人工的に作り、薬物の反応を検出するもの。
また、iPS創薬の手法は従来の創薬手法と異なり、前臨床段階での動物の疾患モデルでの評価を介さす、直接的にヒトの病態を反映した細胞を活用していることから、従来の創薬開発プロセスよりも短期間で行うことが可能な点が特徴となっている。さらには、他の疾患のために開発された医薬品を新しい疾患の治療薬として開発を行うドラッグリポジショニング(既存薬再開発)であるため、ヒトでの安全性については既に確認済みであることから、研究開発費用や開発期間について大幅に低減または短縮できる可能性がある点も特徴と言える。なお、既存薬を使うことになるため、特許期限切れとなっている既存薬の用法特許を取得または申請して開発を進めている。
(2) 再生医療事業
再生医療事業では、脊髄損傷などの神経損傷疾患に対し、他家由来のiPS細胞から分化誘導した神経前駆細胞を移植することで、損傷部位の治療を目指す再生医療の研究開発を行っている。自家由来のiPS細胞ではなく、他家由来iPS細胞で開発を進めているのは、汎用性や市場性が高いと判断したためだ。iPS細胞を用いた神経再生の開発を進めているのは、同社によれば世界でも同社が初めてである。再生医療等製品は、一定数の症例から安全性の確認と有効性が推定される治験結果が得られた場合は、条件期限付きで承認され、上市後に一定の症例数をもって有効性の検証が行われる(原則7年間)早期承認制度がある。同社も同制度を活用して上市を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 会社沿革
ケイファーマ<4896>は、エーザイで長く研究開発に従事していた現代表取締役社長である福島弘明(ふくしま こうめい)氏と、慶應義塾大学医学部教授で脳・神経領域の世界的研究者である取締役の岡野栄之氏、整形外科領域の世界的研究者である取締役の中村雅也氏の3人で2016年に創業した慶應義塾大学発のバイオベンチャーで、「医療イノベーションを実現し、医療分野での社会貢献を果たします」を経営理念として掲げている。
研究開発テーマとしては、岡野氏と中村氏が長らく研究を続けてきた脊髄損傷に対する再生医療の開発に加えて、早期に収益化が見込める創薬事業を同時に進めることにした。2020年にはiPS細胞を活用した医薬品及び再生医療など製品の開発を目的とした共同研究契約を(学)慶應義塾と締結し、2022年には亜急性期脊髄損傷に対するiPS細胞由来神経前駆細胞を用いた再生医療の治験に向けた共同研究契約も締結した。iPS創薬事業においては、2023年3月にアルフレッサ ファーマと日本におけるALS治療薬候補である「KP2011」のライセンス契約を締結し、同年6月には(学)北里研究所と難聴治療薬の企業治験に向けた共同研究契約を締結した。また、同年8月には(独)国立病院機構大阪医療センターと慢性期脳梗塞、脳出血及び外傷性中枢神経損傷の再生医療の企業治験に向けた共同研究契約を締結するなど、開発パイプラインの上市に向けて、アカデミアとの連携も活発に進めている。
2023年10月には東京証券取引所グロース市場に株式を上場し、約15億円の資金調達を行った。調達した資金で研究開発、人材投資を進めている。2024年12月末時点の従業員数は17名(前年末比2名増)で、そのうち研究開発人員は11名となっている。
医薬品、再生医療等製品を開発し、製薬企業に導出して収益を得る
2. 事業内容
同社が開発ターゲットとする疾患は、いまだ有効な治療法が確立されておらず患者からも開発が強く望まれているアンメットメディカルニーズの高い分野で、中枢神経疾患領域を中心に開発を進めている。事業としてはiPS細胞を活用したiPS創薬事業と再生医療事業の2つの事業を展開し、アカデミアと連携しながら研究開発を推進するとともに、バリューチェーンを構成する各企業とも連携して事業活動を推進している。
ビジネスモデルとしては、開発パイプラインに関して、製薬会社などのパートナーと協力し、基礎研究・探索研究から企業治験の各段階において、共同研究開発を行い、または将来の製造・販売に関する権利の一部または全部を譲渡するライセンス契約を締結する。この契約により、契約一時金や開発の進捗に応じたマイルストーン収入、さらには上市後の販売額に応じたロイヤリティ収入や販売達成額に応じた販売マイルストーン収入などをパートナーから受領する形となる。
同社の強みは、中枢神経疾患領域において、世界的権威を持つ自社の研究者が長年にわたり蓄積した基礎研究をもとに開発を進めている点にある。特に、iPS細胞から神経細胞へ適切かつ効率的に分化誘導する技術や、創薬に適した表現型※を構築するためのノウハウ・技術に優れている。さらに、再生医療等製品として神経細胞に分化誘導し移植するためのノウハウや技術においても、世界最先端の水準にあるとされ、同社の強みとなっている。
※ 薬物の候補となる化合物を細胞などに加えることで、対象とする疾患に関連して起きる現象。
(1) iPS創薬事業
iPS創薬とは、患者から採取した細胞から疾患特異的iPS細胞を作製して神経細胞に分化誘導し、1,200を超える既存薬のライブラリを使ってin vitro※スクリーニングによって複数の表現型に対して効果が見込める候補化合物を絞り込む創薬手法を指し、同社によると世界でも初の試みとなる。同手法を用いることで候補化合物を効率的に探索できるほか、表現型を使ってスクリーニングを行うことで作用機序の解析も進めやすくなる。
※ 試験管や培養器の中で人や動物の細胞を用いて、体内と同様の環境を人工的に作り、薬物の反応を検出するもの。
また、iPS創薬の手法は従来の創薬手法と異なり、前臨床段階での動物の疾患モデルでの評価を介さす、直接的にヒトの病態を反映した細胞を活用していることから、従来の創薬開発プロセスよりも短期間で行うことが可能な点が特徴となっている。さらには、他の疾患のために開発された医薬品を新しい疾患の治療薬として開発を行うドラッグリポジショニング(既存薬再開発)であるため、ヒトでの安全性については既に確認済みであることから、研究開発費用や開発期間について大幅に低減または短縮できる可能性がある点も特徴と言える。なお、既存薬を使うことになるため、特許期限切れとなっている既存薬の用法特許を取得または申請して開発を進めている。
(2) 再生医療事業
再生医療事業では、脊髄損傷などの神経損傷疾患に対し、他家由来のiPS細胞から分化誘導した神経前駆細胞を移植することで、損傷部位の治療を目指す再生医療の研究開発を行っている。自家由来のiPS細胞ではなく、他家由来iPS細胞で開発を進めているのは、汎用性や市場性が高いと判断したためだ。iPS細胞を用いた神経再生の開発を進めているのは、同社によれば世界でも同社が初めてである。再生医療等製品は、一定数の症例から安全性の確認と有効性が推定される治験結果が得られた場合は、条件期限付きで承認され、上市後に一定の症例数をもって有効性の検証が行われる(原則7年間)早期承認制度がある。同社も同制度を活用して上市を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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