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オーバル Research Memo(7):アジアNo.1のセンシング・ソリューション・カンパニーを目指す(2)
配信日時:2024/07/17 14:47
配信元:FISCO
*14:47JST オーバル Research Memo(7):アジアNo.1のセンシング・ソリューション・カンパニーを目指す(2)
■中長期の成長戦略
2024年3月期には、サービス事業及びシステム事業の両方に関わる成長戦略として、2024年2月にENEOS(株)堺製油所向け陸上出荷制御システム更新工事の包括契約を締結した。陸上出荷制御システムは、ガソリンや軽油といった燃料油を正確に計量してタンクローリーに積載する工程で使用されることにより、市中への安定供給につながる非常に重要なシステムである。堺製油所の陸上出荷システムの各種制御装置の更新に伴い、オーバル<7727>が基本設計から詳細設計、調達、建設工事、納入後の保守までをワンストップで担うこととなった。同社がこれまでに培った燃料油の出荷システムの技術や実績が評価されたものと同社は考えている。
また、システム事業の成長戦略としては、2023年4月に産業技術総合研究所向けに、世界最高精度である石油流量標準設備の更新・点検整備・改修作業を受注している。石油の公正な取引の成立には、正確な流量計測とそれを支える計量標準(国家標準)が必要となる。石油流量標準設備は、世界最高精度を達成した大型かつ超精密な設備で、石油流量の計量トレーサビリティ制度の頂点に位置する国家標準である。今回の受注により、石油流量標準設備を構成する複数の設備(石油大流量校正設備及び石油中流量校正設備)に対して、更新・点検整備・改修を実施する。同社では、JCSS(計量法校正事業者登録制度)事業者として、流量の国家標準の適切な維持・管理に今後も同社の技術や知見を生かす計画である。さらに、産業技術総合研究所からの受注については、2024年5月には気体中流量校正設備改修を、2024年6月にも液体流量標準設備用の超音波流量計及び設置工事と北事業所流体輸送実験施設改修工事を公表するなど、実績が積み上がっている。
加えて、2024年3月期には、センサ事業の成長戦略として、自動車関連市場向け塗料計測用の円ギア・メーターなど、新アプリケーションの拡販も進めた。また、海外では中国四川省の成都に新たな拠点を設けるなど、コリオリ流量計を中心に拡販を進めている。
一方、経営基盤強化戦略の具体的な取り組み計画は以下のとおりである。
(1) 製造BCL戦略
徹底したBCL(ベスト コスト ロケーション)として、原材料・生産工程を考慮した設計、並びに生産方式・サプライチェーンの見直しを実施し、コスト(材料費・製造経費)削減と品質・納期の安定の両立を図る。また、プロダクトポートフォリオの活用として、変わりゆく市場環境の中で各製品における収益性や成長性などを分析し、重視すべき製品や撤退すべき製品などを明確化する。
(2) 人事財務強化戦略
人事戦略としては、適正な人数の人員を適材適所に配置することを徹底し、生産性の向上を図るとともに、将来を見据えた次世代を担う人財の育成とグループ一体となった人財育成システムの構築を目指す。また、財務戦略としては、新規事業や収益を創出する事業に経営資源を集中投下する。
(3) DX推進戦略
DXの推進として、専任部署を新設し、全社でデジタルツールを活用し企業の成長を加速させる。また、情報資産の有効活用として、蓄積された納入実績・修理実績・顧客情報のデジタルマーケティングへの活用を図る。さらに、DXマインドの醸成としては、全従業員がデジタルを活用し、新しいことへの挑戦に対するマインドを醸成する。
(4) サステナビリティ推進戦略
事業活動を通じた環境課題への取り組みとして、化石燃料の代替エネルギー関連商品をはじめとした環境に配慮した製品及びサービスを提供するとともに、事業活動により排出されるCO2量の削減、廃棄物の削減と再利用の推進を目指す。また、人権尊重としては、性別や年齢、国籍や社会的身分、障がいの有無など個人の属性に関係なく、すべてのステークホルダーの人権を尊重する。さらに、法令や規則の遵守としては、公正な競争・適時適切な情報開示など、誠実な企業活動を実践し、ガバナンス体制の強化を図る。
これらの経営基盤強化戦略の実績としては、製造BCL戦略では、2024年3月期にはCAM(Computer Aided Manufacturingの略。CADで作成した図面をもとに、工作機械での加工に必要な数値制御プログラムなどを作成するツール)を横浜事業所のマシニングセンタに導入し効率化を図ったほか、業務の棚卸なども行い、外部委託していた一部のプロセスを自社生産へ切り換えて工場稼働率の向上を進めるなど、製造経費の圧縮に努めている。
また、DX推進戦略では、2023年9月には、経済産業省より同省が定めるDX認定制度に基づき、「DX認定事業者」の認定を取得した。DX認定制度とは、デジタル技術による社会変革に対して経営者に求められる事項を取りまとめた「デジタルガバナンス・コード」に対応し、DX推進の準備が整っていると認められた企業を国が認定する制度である。同社グループでは、DX認定のロゴマークを名刺に印刷するなど、各種ビジネス推進に活用している。
さらに、サステナビリティでは、2024年5月には、地球と同社が持続可能であるために、いまから力を入れるべき5つのテーマ「マテリアリティ(経営の重要課題)」を特定した。具体的には、(1) 従業員のウェルビーイングの追求、(2) 革新を生み出すリーダーシップの実践、(3) グリーン技術の開発と波及、(4) 責任ある調達への完全移行、(5) サーキュラーエコノミーへの移行、である。気候変動が着実に進む未来の社会でも必要とされる会社になるために、今から何に注力すべきなのかを考え、経営戦略に組み込んでいく方針だ。また、2022年11月にはクロスカントリースキーヤーの宮崎日香里選手と所属契約を締結している。スポーツの振興に貢献するとともに、気候変動問題に大きな影響を受けるウィンタースポーツを通して、環境問題を社会的責任と捉え、持続可能な発展に貢献し続ける考えだ。近年、わが国でもESG(Environment、Social、Governanceの頭文字)の観点から企業を分析して投資をするESG投資が増えており、2022年には残高4.2兆米ドル、世界シェア14.1%にまで急拡大しており、今後も成長余地が大きいと考えられる。その意味でも、積極的に社会的課題に取り組む同社が注目されるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<SO>
2024年3月期には、サービス事業及びシステム事業の両方に関わる成長戦略として、2024年2月にENEOS(株)堺製油所向け陸上出荷制御システム更新工事の包括契約を締結した。陸上出荷制御システムは、ガソリンや軽油といった燃料油を正確に計量してタンクローリーに積載する工程で使用されることにより、市中への安定供給につながる非常に重要なシステムである。堺製油所の陸上出荷システムの各種制御装置の更新に伴い、オーバル<7727>が基本設計から詳細設計、調達、建設工事、納入後の保守までをワンストップで担うこととなった。同社がこれまでに培った燃料油の出荷システムの技術や実績が評価されたものと同社は考えている。
また、システム事業の成長戦略としては、2023年4月に産業技術総合研究所向けに、世界最高精度である石油流量標準設備の更新・点検整備・改修作業を受注している。石油の公正な取引の成立には、正確な流量計測とそれを支える計量標準(国家標準)が必要となる。石油流量標準設備は、世界最高精度を達成した大型かつ超精密な設備で、石油流量の計量トレーサビリティ制度の頂点に位置する国家標準である。今回の受注により、石油流量標準設備を構成する複数の設備(石油大流量校正設備及び石油中流量校正設備)に対して、更新・点検整備・改修を実施する。同社では、JCSS(計量法校正事業者登録制度)事業者として、流量の国家標準の適切な維持・管理に今後も同社の技術や知見を生かす計画である。さらに、産業技術総合研究所からの受注については、2024年5月には気体中流量校正設備改修を、2024年6月にも液体流量標準設備用の超音波流量計及び設置工事と北事業所流体輸送実験施設改修工事を公表するなど、実績が積み上がっている。
加えて、2024年3月期には、センサ事業の成長戦略として、自動車関連市場向け塗料計測用の円ギア・メーターなど、新アプリケーションの拡販も進めた。また、海外では中国四川省の成都に新たな拠点を設けるなど、コリオリ流量計を中心に拡販を進めている。
一方、経営基盤強化戦略の具体的な取り組み計画は以下のとおりである。
(1) 製造BCL戦略
徹底したBCL(ベスト コスト ロケーション)として、原材料・生産工程を考慮した設計、並びに生産方式・サプライチェーンの見直しを実施し、コスト(材料費・製造経費)削減と品質・納期の安定の両立を図る。また、プロダクトポートフォリオの活用として、変わりゆく市場環境の中で各製品における収益性や成長性などを分析し、重視すべき製品や撤退すべき製品などを明確化する。
(2) 人事財務強化戦略
人事戦略としては、適正な人数の人員を適材適所に配置することを徹底し、生産性の向上を図るとともに、将来を見据えた次世代を担う人財の育成とグループ一体となった人財育成システムの構築を目指す。また、財務戦略としては、新規事業や収益を創出する事業に経営資源を集中投下する。
(3) DX推進戦略
DXの推進として、専任部署を新設し、全社でデジタルツールを活用し企業の成長を加速させる。また、情報資産の有効活用として、蓄積された納入実績・修理実績・顧客情報のデジタルマーケティングへの活用を図る。さらに、DXマインドの醸成としては、全従業員がデジタルを活用し、新しいことへの挑戦に対するマインドを醸成する。
(4) サステナビリティ推進戦略
事業活動を通じた環境課題への取り組みとして、化石燃料の代替エネルギー関連商品をはじめとした環境に配慮した製品及びサービスを提供するとともに、事業活動により排出されるCO2量の削減、廃棄物の削減と再利用の推進を目指す。また、人権尊重としては、性別や年齢、国籍や社会的身分、障がいの有無など個人の属性に関係なく、すべてのステークホルダーの人権を尊重する。さらに、法令や規則の遵守としては、公正な競争・適時適切な情報開示など、誠実な企業活動を実践し、ガバナンス体制の強化を図る。
これらの経営基盤強化戦略の実績としては、製造BCL戦略では、2024年3月期にはCAM(Computer Aided Manufacturingの略。CADで作成した図面をもとに、工作機械での加工に必要な数値制御プログラムなどを作成するツール)を横浜事業所のマシニングセンタに導入し効率化を図ったほか、業務の棚卸なども行い、外部委託していた一部のプロセスを自社生産へ切り換えて工場稼働率の向上を進めるなど、製造経費の圧縮に努めている。
また、DX推進戦略では、2023年9月には、経済産業省より同省が定めるDX認定制度に基づき、「DX認定事業者」の認定を取得した。DX認定制度とは、デジタル技術による社会変革に対して経営者に求められる事項を取りまとめた「デジタルガバナンス・コード」に対応し、DX推進の準備が整っていると認められた企業を国が認定する制度である。同社グループでは、DX認定のロゴマークを名刺に印刷するなど、各種ビジネス推進に活用している。
さらに、サステナビリティでは、2024年5月には、地球と同社が持続可能であるために、いまから力を入れるべき5つのテーマ「マテリアリティ(経営の重要課題)」を特定した。具体的には、(1) 従業員のウェルビーイングの追求、(2) 革新を生み出すリーダーシップの実践、(3) グリーン技術の開発と波及、(4) 責任ある調達への完全移行、(5) サーキュラーエコノミーへの移行、である。気候変動が着実に進む未来の社会でも必要とされる会社になるために、今から何に注力すべきなのかを考え、経営戦略に組み込んでいく方針だ。また、2022年11月にはクロスカントリースキーヤーの宮崎日香里選手と所属契約を締結している。スポーツの振興に貢献するとともに、気候変動問題に大きな影響を受けるウィンタースポーツを通して、環境問題を社会的責任と捉え、持続可能な発展に貢献し続ける考えだ。近年、わが国でもESG(Environment、Social、Governanceの頭文字)の観点から企業を分析して投資をするESG投資が増えており、2022年には残高4.2兆米ドル、世界シェア14.1%にまで急拡大しており、今後も成長余地が大きいと考えられる。その意味でも、積極的に社会的課題に取り組む同社が注目されるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<SO>
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