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品川リフラ Research Memo(3):2024年3月期より、セクター制を核としたグループ経営体制へ移行(1)
配信日時:2024/07/08 14:03
配信元:FISCO
*14:03JST 品川リフラ Research Memo(3):2024年3月期より、セクター制を核としたグループ経営体制へ移行(1)
■事業概要
1. 経営体制
今後の持続的な成長に向けて、2024年3月期より事業区分を変更した。従来の経営体制は、品川リフラクトリーズ<5351>単体とグループ会社各社の事業・運営を基本とし、事業セグメントを「耐火物及び関連製品」「エンジニアリング」「その他(不動産)」に分けていた。新たな区分では、「耐火物及び関連製品」を「耐火物」「断熱材」及び「セラミックス」に分け、「エンジニアリング」を加えた主要4区分と「その他」とした。従来区分では耐火物の関連製品という位置付けであった「断熱材」と「セラミックス」が、「耐火物」と並列的な地位に格上げされた。グループ企業の事業ドメイン別内訳は、「耐火物セクター」が耐火物事業本部(同社)、品川ゼネラル(株)、(株)セラテクノ、海外関係会社、「断熱材セクター」がイソライト工業グループ、「セラミックスセクター」が品川ファインセラミックス(株)と事業譲受をした米国子会社、「エンジニアリングセクター」がエンジニアリング事業本部(同社)と品川ロコー(株)となる。加えて企画管理本部を擁する「コーポレート本部」の組織立てとなった。経営の運営体制は、従来の「社長(CEO)+常務会」から「社長(CEO)+経営会議)+グループ経営戦略会議」に改変された。なお、「セラミックスセクター」は2025年3月期より「先端機材セクター」に組織改編した。2024年3月に半導体製造装置の組み立てを主な事業とするコムイノベーション(有)を買収により連結子会社としたことを契機に、今後の成長の柱として半導体製造装置業界に関する事業を事業領域に取り込む。
新たな経営体制により、4つの事業セクターはドメインごとに利益と資本効率を考慮した経営を心がけるようになった。グループ経営戦略会議での議論も活発であり、従来は耐火物と断熱材の一体販売を進めていたが、現在は断熱材とセラミックスが半導体製造装置メーカーなどお互いの顧客を紹介し合うといった動きが活発化している。
2024年3月期の事業区分別売上高構成比・セグメント利益構成比(いずれも調整額控除前)、売上高セグメント利益率は、「耐火物」が67.4%・58.0%、8.2%、「断熱材」が12.7%・24.8%、18.5%、「セラミックス」が2.4%、1.0%、3.9%、「エンジニアリング」が16.8%・12.4%、7.0%、「その他」が0.6%・3.9%、59.8%であった。「その他」は、保有不動産の賃貸や土地の有効活用を行う不動産事業であり、売上高構成比は小さいが、収益性が高い。
2. 事業内容
(1) 耐火物セクター
耐火物セクターは、同社の耐火物事業本部、セラテクノ、品川ゼネラルの国内関係会社2社、及び瀋陽品川(中国)、品川和豊(中国)、SRA(豪州)、SAM(米国)、SRB(ブラジル)、SGSR(インド)等の海外関係会社9社から構成されており、グローバル展開をしている。耐火物事業は、顧客ごとの使用条件に適合した製品を提供する顧客密着型ソリューションが求められる。グループ一丸となってグローバルな顧客から第一に選ばれる事業者となることを目指している。
連結の売上高の顧客業種別売上高構成比は、鉄鋼業向けが8割超を占め依存度が高く、その他焼却炉、セメントと続く。JFEスチールと神戸製鋼所への連結売上高の依存度は5割を超える。高炉メーカーへの売上依存度が高いため、同社は主要顧客の製鉄所内に営業所やエンジニアリング事業部の拠点を置くなど顧客密着型の体制を取っている。装置産業である鉄鋼メーカーのニーズは、設備稼働率の維持、高い歩留り、高品質である。今後は、GHG排出量削減への貢献が加わる。同社は、主要顧客に対して緊密な営業と迅速なサポート体制を取り、顧客ニーズに応えている。
a) 国内生産体制
2009年の合併以降、第2次中期経営計画まで統合効果と競争力強化のため生産集約による最適生産体制への再編を行った。現在では、湯本工場、鹿島工場、赤穂工場、日生工場、岡山工場、帝窯工場及び玉島工場の7工場体制をとっている。さらに、第5次中期経営計画では、2022年3月期の上期から西日本地区の不定形耐火物の生産拠点集約(4拠点→2拠点)に取りかかり、赤穂工場に建設した最新鋭プラントが2024年6月に稼働開始した。
主要国内定形耐火物プラントの多くは、高度に自動化されており、省力化・自動化のために工業用ロボットが導入されている。製造工程は、秤量・混練・成形・乾燥・焼成・検査・梱包となる。最新のコンピュータ統合生産システムによる生産管理方式を取り入れ、製造工程の管理と自動全数検査システムの導入による徹底した品質管理体制の実現に取り組んでいる。成形には、最大5,000トンの油圧真空プレス機を使用し、焼成の最高温度は1,850℃、トンネルキルンで約1週間かけて焼き上げる。
b) 主要製品
耐火物及び関連製品は、定形耐火物、不定形耐火物、連続鋳造用モールドパウダー、断熱材、ファインセラミックスで構成される。
定形耐火物は、それぞれの高温設備の操業条件に合わせて組成と形状を最適化させた製品で、塩基性れんが、カーボン含有れんが、粘土質れんが、高アルミナ質れんが、炭化珪素質れんが、珪石れんがなどをラインナップとしている。
不定形耐火物は、キャスタブル(流し込み材)、プレキャスト、吹付材、プラスチック、ラミングミックス、モルタル、圧入材、こて塗り材など、用途や施工方法に合わせた製品が数多くある。緻密性、断熱性、耐酸性など各種要求、施工方法や工期に応じた最適な製品を揃える。吹付材は、施工枠が不要で、大量の施工が短時間に行え、緊急時の熱間補修にも最適である。プレキャストは、現場での流し込み施工が困難な場合に、キャスタブルを所定の形状に最適条件で流し込み成形した製品で、工期の短縮になる。欧州の鉄鋼メーカーは、製造設備に標準化された製品を使用してコストダウンを図る経営スタイルをとっている。日本の鉄鋼メーカーは、継続的な改善により、炉の設計や炉材を常に進化させている。耐火物の需要は、海外では定形品4:不定形品6の割合だが、日本では定形品3:不定形品7となる。
連続鋳造用モールドパウダーは、高品質な鋼材生産に不可欠な製品である。国内の耐火物メーカーでは同社だけが手掛けており、競争力が高い。鋳型内に添加される粉末状潤滑剤で、溶鋼表面の保温と酸化防止、鋳型と鋼塊間の潤滑などの重要な機能を持つ。連続鋳造とは、溶融した鋼を連続的に冷却・凝固させて、板状や棒状の鋼塊にする工程である。その工程で使用されるスライドゲートプレート、浸漬ノズルなどの機能性耐火物とともに、モールドパウダーは戦略製品に位置付けられている。浸漬ノズルは、連続鋳造工程において溶鋼の酸化防止やモールド内の流動の制御など重要な役割を果たす。同社は、浸漬ノズルの販売だけでなく浸漬ノズル迅速交換装置も提供しており、顧客の作業負荷の低減にも貢献している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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1. 経営体制
今後の持続的な成長に向けて、2024年3月期より事業区分を変更した。従来の経営体制は、品川リフラクトリーズ<5351>単体とグループ会社各社の事業・運営を基本とし、事業セグメントを「耐火物及び関連製品」「エンジニアリング」「その他(不動産)」に分けていた。新たな区分では、「耐火物及び関連製品」を「耐火物」「断熱材」及び「セラミックス」に分け、「エンジニアリング」を加えた主要4区分と「その他」とした。従来区分では耐火物の関連製品という位置付けであった「断熱材」と「セラミックス」が、「耐火物」と並列的な地位に格上げされた。グループ企業の事業ドメイン別内訳は、「耐火物セクター」が耐火物事業本部(同社)、品川ゼネラル(株)、(株)セラテクノ、海外関係会社、「断熱材セクター」がイソライト工業グループ、「セラミックスセクター」が品川ファインセラミックス(株)と事業譲受をした米国子会社、「エンジニアリングセクター」がエンジニアリング事業本部(同社)と品川ロコー(株)となる。加えて企画管理本部を擁する「コーポレート本部」の組織立てとなった。経営の運営体制は、従来の「社長(CEO)+常務会」から「社長(CEO)+経営会議)+グループ経営戦略会議」に改変された。なお、「セラミックスセクター」は2025年3月期より「先端機材セクター」に組織改編した。2024年3月に半導体製造装置の組み立てを主な事業とするコムイノベーション(有)を買収により連結子会社としたことを契機に、今後の成長の柱として半導体製造装置業界に関する事業を事業領域に取り込む。
新たな経営体制により、4つの事業セクターはドメインごとに利益と資本効率を考慮した経営を心がけるようになった。グループ経営戦略会議での議論も活発であり、従来は耐火物と断熱材の一体販売を進めていたが、現在は断熱材とセラミックスが半導体製造装置メーカーなどお互いの顧客を紹介し合うといった動きが活発化している。
2024年3月期の事業区分別売上高構成比・セグメント利益構成比(いずれも調整額控除前)、売上高セグメント利益率は、「耐火物」が67.4%・58.0%、8.2%、「断熱材」が12.7%・24.8%、18.5%、「セラミックス」が2.4%、1.0%、3.9%、「エンジニアリング」が16.8%・12.4%、7.0%、「その他」が0.6%・3.9%、59.8%であった。「その他」は、保有不動産の賃貸や土地の有効活用を行う不動産事業であり、売上高構成比は小さいが、収益性が高い。
2. 事業内容
(1) 耐火物セクター
耐火物セクターは、同社の耐火物事業本部、セラテクノ、品川ゼネラルの国内関係会社2社、及び瀋陽品川(中国)、品川和豊(中国)、SRA(豪州)、SAM(米国)、SRB(ブラジル)、SGSR(インド)等の海外関係会社9社から構成されており、グローバル展開をしている。耐火物事業は、顧客ごとの使用条件に適合した製品を提供する顧客密着型ソリューションが求められる。グループ一丸となってグローバルな顧客から第一に選ばれる事業者となることを目指している。
連結の売上高の顧客業種別売上高構成比は、鉄鋼業向けが8割超を占め依存度が高く、その他焼却炉、セメントと続く。JFEスチールと神戸製鋼所への連結売上高の依存度は5割を超える。高炉メーカーへの売上依存度が高いため、同社は主要顧客の製鉄所内に営業所やエンジニアリング事業部の拠点を置くなど顧客密着型の体制を取っている。装置産業である鉄鋼メーカーのニーズは、設備稼働率の維持、高い歩留り、高品質である。今後は、GHG排出量削減への貢献が加わる。同社は、主要顧客に対して緊密な営業と迅速なサポート体制を取り、顧客ニーズに応えている。
a) 国内生産体制
2009年の合併以降、第2次中期経営計画まで統合効果と競争力強化のため生産集約による最適生産体制への再編を行った。現在では、湯本工場、鹿島工場、赤穂工場、日生工場、岡山工場、帝窯工場及び玉島工場の7工場体制をとっている。さらに、第5次中期経営計画では、2022年3月期の上期から西日本地区の不定形耐火物の生産拠点集約(4拠点→2拠点)に取りかかり、赤穂工場に建設した最新鋭プラントが2024年6月に稼働開始した。
主要国内定形耐火物プラントの多くは、高度に自動化されており、省力化・自動化のために工業用ロボットが導入されている。製造工程は、秤量・混練・成形・乾燥・焼成・検査・梱包となる。最新のコンピュータ統合生産システムによる生産管理方式を取り入れ、製造工程の管理と自動全数検査システムの導入による徹底した品質管理体制の実現に取り組んでいる。成形には、最大5,000トンの油圧真空プレス機を使用し、焼成の最高温度は1,850℃、トンネルキルンで約1週間かけて焼き上げる。
b) 主要製品
耐火物及び関連製品は、定形耐火物、不定形耐火物、連続鋳造用モールドパウダー、断熱材、ファインセラミックスで構成される。
定形耐火物は、それぞれの高温設備の操業条件に合わせて組成と形状を最適化させた製品で、塩基性れんが、カーボン含有れんが、粘土質れんが、高アルミナ質れんが、炭化珪素質れんが、珪石れんがなどをラインナップとしている。
不定形耐火物は、キャスタブル(流し込み材)、プレキャスト、吹付材、プラスチック、ラミングミックス、モルタル、圧入材、こて塗り材など、用途や施工方法に合わせた製品が数多くある。緻密性、断熱性、耐酸性など各種要求、施工方法や工期に応じた最適な製品を揃える。吹付材は、施工枠が不要で、大量の施工が短時間に行え、緊急時の熱間補修にも最適である。プレキャストは、現場での流し込み施工が困難な場合に、キャスタブルを所定の形状に最適条件で流し込み成形した製品で、工期の短縮になる。欧州の鉄鋼メーカーは、製造設備に標準化された製品を使用してコストダウンを図る経営スタイルをとっている。日本の鉄鋼メーカーは、継続的な改善により、炉の設計や炉材を常に進化させている。耐火物の需要は、海外では定形品4:不定形品6の割合だが、日本では定形品3:不定形品7となる。
連続鋳造用モールドパウダーは、高品質な鋼材生産に不可欠な製品である。国内の耐火物メーカーでは同社だけが手掛けており、競争力が高い。鋳型内に添加される粉末状潤滑剤で、溶鋼表面の保温と酸化防止、鋳型と鋼塊間の潤滑などの重要な機能を持つ。連続鋳造とは、溶融した鋼を連続的に冷却・凝固させて、板状や棒状の鋼塊にする工程である。その工程で使用されるスライドゲートプレート、浸漬ノズルなどの機能性耐火物とともに、モールドパウダーは戦略製品に位置付けられている。浸漬ノズルは、連続鋳造工程において溶鋼の酸化防止やモールド内の流動の制御など重要な役割を果たす。同社は、浸漬ノズルの販売だけでなく浸漬ノズル迅速交換装置も提供しており、顧客の作業負荷の低減にも貢献している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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