NY外為市場=ドル上昇、欧米インフレ統計控えポジション調整
[ニューヨーク 28日 ロイター] - 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルがユーロと円に対して上昇した。欧米のインフレ統計を控え投資家がポジションを調整したほか、月末のポートフォリオリバランスも影響したという。
一方、暗号資産(仮想通貨)のビットコインは市場全体の流動性の高さを背景に2年超ぶりの高値を付けた。
ジェフリーズのグローバルFX責任者ブラッド・ベクテル氏は、28日の外為市場ではボラティリティーが上昇したと指摘。「インフレ指標を控えたヘッジ取引」によるものかもしれないし、月末のフローが要因の可能性もあるとした。
ユーロ・ドルの3カ月物オプションのインプライド・ボラティリティー(IV)はこの日、6.01と2月15日以来の高水準を付けた。終盤は5.74だった。
市場では、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始時期を探る上で手掛かりとなるデータに注目している。
29日に発表される1月の米個人消費支出(PCE)価格指数は前月比0.3%上昇、前年同月比2.4%上昇となる見込み。コア指数は前月比0.4%上昇、前年同月比2.8%上昇と予想されている。
またドイツ、フランス、スペインの消費者物価指数(CPI)も29日に発表される。3月1日にはユーロ圏のCPIが発表される。
ダンスケ銀行のストラテジストは「ユーロ圏ではディスインフレが進行する可能性が高まっており、欧州中央銀行(ECB)の早期利下げにつながる可能性がある」と指摘。「米国のインフレ率がユーロ圏のインフレ率より粘り強いならドルは強くならざるを得ない」と述べた。
ドル指数は0.12%高の103.96。ユーロ/ドルは0.11%安の1.0832ドル。
日本円も対ドルで弱含み、2月13日につけた150.88円という11月16日以来の円安水準に接近した。
ベクテル氏は、対円でのドル上昇は「キャリートレードの指標」であり、「現在、外為市場を牽引していると思われる、非常に『リスクオン』で流動性の高い環境」を反映していると述べた。
終盤のドル/円は0.12%高の150.68円
ニュージーランドドル/米ドルは一時、2月15日以来の安値0.6083米ドルに達した。終盤は1.23%安の0.6094米ドル。
NZ準備銀行(中央銀行)は28日、政策金利のオフィシャルキャッシュレート(OCR)を5.5%に据え置くと同時に金利の先行き見通しを引き下げた。
豪ドル/米ドルは、2月15日以来の安値となる0.6488米ドルを付けた後、0.75%安の0.6493米ドルとなった。
オーストラリア統計局が28日発表した1月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比3.4%と前月から変わらず、2年ぶりの低水準にとどまった。予想(3.6%)を下回り、追加利上げが必要ないという市場の見方を強める結果となった。
暗号資産のビットコインは2021年11月以来初めて6万ドルを突破し、6万4000ドルに接近。終盤は6.5%高の6万0334ドルだった。
ドル/円 NY午後4時 150.67/150.70
始値 150.62
高値 150.84
安値 150.55
ユーロ/ドル NY午後4時 1.0836/1.0840
始値 1.0814
高値 1.0845
安値 1.0808