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構造的な賃上げ実現への貢献が責務、物価動向を重視=経団連・経労委報告

配信日時:2024/01/16 14:22 配信元:REUTERS

Kentaro Sugiyama

[東京 16日 ロイター] - 経団連は16日、2024年の春季労使交渉に向けた経営側の基本スタンスを示す「経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)を公表した。構造的な賃上げの実現に貢献していくことが経団連・企業の社会的な責務だと明記。物価動向を重視し、自社に適した結論を得ることが必要だと強調した。

報告書は、賃上げ機運醸成には中小企業の構造的な賃上げの実現が不可欠だとも指摘。中小における自発的な取り組みに加え、適正な価格転嫁に向けたサプライチェーン全体での取り組み、社会全体での環境整備・意識解決が不可欠とした。

十倉雅和会長(住友化学会長)は序文で「物価動向を重視し、ベースアップを念頭に置きながら、自社に適した方法でできる限りの賃金引き上げの検討・実施を強くお願いしたい」と要請した。

連合は24年の春闘で、賃上げ分3%以上、定期昇給相当分(賃金カーブ維持相当分)を含め5%以上の賃上げを目安とする方針を示している。経労委報告は、連合がこれらを「目安」と位置付けたことについて「企業労使において自社の実態を踏まえた検討・議論に資する」との認識を示した。

報告書では、政府・日銀に対し「適度な物価上昇の実現に向けた政策を期待する」と言及した。会見した大橋徹二・経営労働政策特別委員長(コマツ会長)は、最近の物価高は輸入品など為替に起因するものもあり、そういうものは個社や一つずつの業界で対応できることではないと指摘。「政府・日銀など全体で一緒にやっていく項目だ」と述べた。

斉藤健経産相は同日の閣議後会見で、経済界に対して昨年を上回る賃上げへの協力を改めて要請。政府として「賃上げ促進税制の強化や労務費を含む価格転嫁の推進、省力化投資などの生産性向上を支援することによって賃上げを強力に後押ししていきたい」と語った。

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