みんかぶニュース その他

株価指数先物 【週間展望】 ―自律反発を期待も、日米金融政策を受けた不安定な展開に

配信日時:2023/12/10 17:00 配信元:MINKABU
 今週の日経225先物は、先週の大幅な下落に対する自律反発狙いのロングが先行することになりそうだ。ただし、日経平均株価が12月のSQ値3万2639.57円を早期に回復できないと、ショートの強まりやすい不安定な展開になる可能性がある。  8日に発表された11月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比19万9000人増と、市場予想(18万5000人増程度)を上回った。失業率は3.7%と前月の3.9%から低下し、平均時給が前月比0.4%増と予想を上回るなど総じて強い内容だった。雇用統計の結果を受けて、米長期金利は上昇した。ただし、米連邦準備理事会(FRB)が来年早期に利下げに動くとの期待は後退したものの、金融引き締めを長期化させるほどの内容でもないとの見方から、8日の米国市場では主要な株価指数が上昇した。  この流れを受けたナイトセッションの日経225先物は、日中大阪比320円高の3万2520円だった。ただ、週末の下落でボリンジャーバンドの-1σを割り込み、75日移動平均線まで下げたことで、値幅的には調整一巡が意識されやすく、想定内のリバウンドといったところである。ナイトセッションで-1σまで戻しており、早い段階で同水準をクリアできれば、25日線が位置する3万3000円辺りを射程に入れたロング優勢の展開が期待される。  一方で、ボリンジャーバンドが収斂するなかで戻りの鈍さが意識されるようだと、-2σの3万2050円やオーバーシュート気味に-3σが位置する3万1590円が射程に入ってくる可能性がある。そのきっかけとなるのは、12~13日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)になるだろう。  足もとの景気指標の結果を受けて、今回のFOMCでは3会合連続での金利据え置きが見込まれる。パウエルFRB議長は、市場で広がる来年の利下げ観測について、「時期尚早であり、追加引き締めの選択肢がある」との見解を維持している。今回の会見でもこのスタンスを変えることはないとみられる。ただし、仮に来年の利下げに関してヒントとなる言葉が示されるようだと、米長期金利の低下を背景に為替市場では円高基調が強まり、日米金利差を狙ったポジションを解消する流れに向かいやすいだろう。  一方で、米長期金利は11月以降、先回り的に低下基調を強めていたこともあり、FOMC通過を機にリバランスの動きをみせてくる可能性がある。その場合には先週の下落に対する買い戻しを強めてくる展開も想定しておく必要がありそうだ。ただし、翌週には12月の日銀の金融政策決定会合が控えている。  先週は日銀の植田和男総裁が参議院の財政金融委員会に出席し、金融政策の運営について「一段とチャレンジングになる」と述べたことがトリガーとなり、金融政策の早期正常化を急速に織り込む流れとなった。行き過ぎた値動きではあったものの、金融政策決定会合を見極めたいとする慎重姿勢が市場では強まりやすく、積極的なロングには向かわせにくいだろう。  今週は米国で12日に11月消費者物価指数(CPI)、13日に11月生産者物価指数(PPI)、14日に11月小売売上高、15日に12月製造業PMIなどが発表される。消費の減速やインフレ鈍化がデータで証明されると、来年の早期利下げ観測が強まりやすい。  そのため、先週の大幅な下落に対する自律反発が期待されるなかで、オプション権利行使価格の3万2500円を中心とした上下の権利行使価格である3万2000円から3万3000円のレンジを想定する。ただし、SQ値が抵抗として強く意識されるようだと、3万1625円から3万2625円によるレンジに移行する展開を意識しておきたい。  先週末のVIX指数は12.35に低下した。25日線に上値を抑えられるなか、ボトム圏での保ち合いを下放れてきており、ショートカバーを誘い込みやすい。2020年1月に付けた12.10倍が射程に入ってきており、米国市場では年末高に向けた意識が強まりそうである。  先週末のNT倍率は、先物中心限月で13.89倍に低下した。全面安商状となるなか、週末にはファーストリテイリング <9983> [東証P]や信越化学工業 <4063> [東証P]、東京エレクトロン <8035> [東証P]といった指数インパクトの大きい値がさ株の下落が影響していた。日銀の政策変更を巡る思惑から日米金利差を狙ったポジションを解消する流れが続く可能性がある一方で、米国では米長期金利の低下を受けたハイテク株物色が強まる可能性がある。その場合、国内のハイテク株への下支えとなるため、NTロングでのスプレッド狙いが意識されそうだ。  11月第5週(11月27日-12月1日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では2週連続で売り越しており、売り越し額は4016億円(11月第4週は4162億円の売り越し)だった。なお、現物は3687億円の売り越し(同10億円の売り越し)と2週連続の売り越しであり、先物は328億円の売り越し(同4152億円の売り越し)と2週連続で売り越している。個人は現物と先物の合算で856億円の買い越しで、5週ぶりの買い越し。信託銀行は現物と先物の合算で211億円の買い越しとなり、2週連続の買い越しだった。  経済スケジュールでは、11日に10-12月期法人企業景気予測調査、12日に11月国内企業物価指数、米国11月消費者物価指数(CPI)、13日に日銀短観、米国11月生産者物価指数(PPI)、FOMC政策金利、パウエルFRB議長記者会見、14日に10月機械受注、欧州中央銀行(ECB)政策金利、ラガルドECB総裁会見、米国11月小売売上高、15日に中国11月鉱工業生産指数、中国11月小売売上高、米国12月ニューヨーク連銀製造業景気指数、米国11月鉱工業生産指数、米国12月製造業PMIなどが予定されている。 ――プレイバック・マーケット―― ●SQ値 01月限 日経225 26325.21  TOPIX  1900.71 02月限 日経225 27779.75  TOPIX  1986.19 03月限 日経225 28377.34  TOPIX  2047.32 04月限 日経225 28519.43  TOPIX  2019.76 05月限 日経225 29235.08  TOPIX  2090.33 06月限 日経225 32018.38  TOPIX  2211.13 07月限 日経225 32484.24  TOPIX  2245.68 08月限 日経225 32013.86  TOPIX  2278.68 09月限 日経225 32921.39  TOPIX  2370.93 10月限 日経225 32360.91  TOPIX  2326.75 11月限 日経225 32454.88  TOPIX  2318.99 12月限 日経225 32639.57  TOPIX  2343.77 ◆日経225先物(日足)          始値   高値   安値   清算値  前日比 23/03 12月08日  32780  32800  32090  32200  -660 23/12 12月07日  33400  33470  32790  33010  -440 23/12 12月06日  32700  33450  32700  33450  +670 23/12 12月05日  33110  33170  32720  32780  -380 23/12 12月04日  33430  33490  33010  33160  -260 ◇TOPIX先物(日足)          始値   高値   安値   清算値  前日比 23/03 12月08日  2356.0  2358.5  2312.0  2318.0  -42.0 23/12 12月07日  2385.5  2389.5  2352.5  2365.0  -24.0 23/12 12月06日  2337.0  2390.0  2337.0  2389.0  +46.0 23/12 12月05日  2358.0  2365.0  2339.0  2343.0  -16.0 23/12 12月04日  2380.0  2384.0  2347.0  2359.0  -20.0 ●シカゴ日経平均 円建て           清算値  前日大阪比 12月08日(12月限) 32520  +320 12月07日(12月限) 32360  -500 12月06日(12月限) 33160  -290 12月05日(12月限) 32905  +125 12月04日(12月限) 33050  -110 ※前日比は大阪取引所終値比 □裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)         売り   前週末比   買い    前週末比 12月01日    307億円  +30億円 1兆0362億円  +1656億円  11月24日    277億円  +30億円  8706億円  +564億円 11月17日    247億円  +187億円  8141億円  +1466億円 11月10日     60億円  -349億円  6674億円  +1526億円 □裁定取引に係る現物ポジション(株数)         売り      前日比  買い       前日比 12月06日    3190万株   +1320万株  4億6799万株   +3281万株 12月05日    1869万株    -47万株  4億3517万株   +6549万株 12月04日    1917万株   +955万株  3億6968万株   -1158万株 12月01日    962万株   -105万株  3億8126万株   -684万株 11月30日    1067万株   +257万株  3億8810万株   -813万株 11月29日    810万株   -332万株  3億9624万株   +834万株 11月28日    1142万株   +101万株  3億8790万株   +2956万株 11月27日    1041万株      0株  3億5833万株   +593万株 11月24日    1041万株    -46万株  3億5239万株   +366万株 11月22日    1088万株      0株  3億4873万株   +3032万株 11月21日    1088万株   -116万株  3億1841万株   +2343万株 11月20日    1205万株   +233万株  2億9498万株   -2824万株 ■日本銀行による指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れ推移(通常ETF分) 【2022年】 1月14日  701億円 1月25日  701億円 2月14日  701億円 3月07日  701億円 4月07日  701億円 5月19日  701億円 6月13日  701億円 6月17日  701億円 12月2日  701億円 【2023年】 3月13日  701億円 3月14日  701億円 10月4日  701億円 株探ニュース

Copyright (C) MINKABU, Inc. All rights reserved.

ニュースカテゴリ