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焦点:パウエル議長講演、強気投資家がハト派部分を好感 希望的解釈に警告も

配信日時:2023/12/04 08:37 配信元:REUTERS

David Randall Lewis Krauskopf

[1日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長による1日の講演の発言を巡り、足元の株高・債券高を正当化できる内容があった、と投資家が好感している。

米国では物価上昇鈍化の兆しを受け、FRBが想定よりも早めに金融政策を緩和方向に転換するとの期待から、S&P総合500種は11月の上昇率が1年余りぶりの大きさを記録。米10年国債利回りも過去10年強で最大の低下となった。

一部の投資家は、パウエル氏が今回、見通しをハト派方向へじわじわと移行させていることを示唆したのではないか、と考えている。その根拠は、利上げを急激に進め過ぎることのリスクと、インフレを抑えるための利上げが不十分になるリスクは「よりバランスが取れてきた」と述べたことだ。

パウエル氏の発言後、S&P総合500種は一段高となり、金融政策の変化を敏感に反映する2年国債利回りは6月以来の最低水準に下がった。

もっともパウエル氏は、インフレとの闘いはまだ終わったと言うには程遠く、必要があればさらなる金融引き締めに動く用意があるとくぎを刺した。

マーフィー・アンド・シルベスト・ウエルス・マネジメントのシニア・ウエルスアドバイザー兼市場ストラテジスト、ポール・ノルテ氏は「パウエル氏は、ハト派とタカ派の間でちょうど釣り合うコメントを提供した。(ところが)市場はタカ派部分はほとんど無視し、FRBが実質的に利上げを終えたとみなせるハト派的な部分に飛びついている」と指摘した。

ここ数週間で物価上昇が減速してきているのは間違いない。11月30日に発表された、FRBが重視するコア個人消費支出(PCE)物価指数の10月分も、他の指標同様に物価と経済活動の勢いが弱まっていることが読み取れた。

11月28日には、タカ派と目されるウォラーFRB理事が、インフレが和らいだ際に金融政策が過度に引き締め的にならないようにする必要があるとして、今後の利下げの可能性を示唆すると、市場では来年前半に利下げが始まるとの観測が強まった。

LSEGデータによると、フェデラルファンド(FF)先物が想定する来年7月末の政策金利は3カ月前の5.121%から4.533%まで切り下がっており、早ければ来年3月に利下げが始まる展開が見込まれている。

コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツのシニアアナリスト、エド・アルフセイニ氏は「パウエル氏は実質的に、インフレが想定よりも急速に下振れていて、事態を見守ることができると言っている。それが伝えたい内容だ。そして市場参加者の1人として、私は常にこのようなメッセージをハト派的と受け止めている」と語った。

とはいえここ何年かは、市場がFRBと経済動向を何度も読み違えていたことは否定できず、またそうなるかもしれない。例えば昨年終盤は、2023年に米経済は景気後退に突入し、FRBは利下げを迫られるとの見方が大勢だったが、結局経済は底堅さを維持し、金融政策は引き締めが続いた。

シエラ・インベストメント・マネジメントのジェームズ・セントオービン最高投資責任者は、パウエル氏は政策の先行きを示すという面では非常に慎重なやり方にしようとしていて、ハト派とタカ派のどちらか一方を強調し過ぎるサインは出していない、と希望的な解釈を戒めている。

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