インタビュー:りそなHD、貸出に注力 収益構造再考の局面=南社長
Ritsuko Shimizu Makiko Yamazaki
[東京 29日 ロイター] - りそなホールディングスの南昌宏社長は、収益力拡大に向けた戦略について、今後、金利の上昇が見込まれるとして貸し出しに力を入れる方針を示した。超低金利が続く中で資金利益に過度に依存しない収益構造作りを進めてきたが、環境の変化を捉えて積極的に戦略を練り直す必要性を強調した。
ロイターのインタビューで語った。
りそなはこれまで、金利のない環境下で手数料収益増加やコスト構造の改革など取り組みを進めてきた。南社長は「金利の正常化が近付いているのならば、国内の預貸金利益のインパクトが大きな局面に差し掛かかる。もう一度収益のベストミックスを考えることができるタイミングにきている」と述べた。
金利がある世界が訪れることで、調達サイドでは預金の重要性が高まるほか、運用面では、5年辺りの中期ゾーンにも金利が付き始め「我々にとって良い環境が近付いてきている。これをどう捉えていくか、どのようにマネージしていくか、仮説を立てて準備している」とした。
日銀は植田和男総裁が4月に就任した後、7月、10月と2回にわたってイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の柔軟化を実施。10年の国債金利は一時、0.970%と10年ぶりの水準まで上昇した。
同社は、5月に出した中期計画で、2026年3月末の法人向け融資残高を21.3兆円(23年9月末は18.8兆円)に伸ばす計画を出している。26年3月末までマイナス金利が維持されることを前提としていた。南社長は「顧客のニーズが変化するこのタイミングで貸出金の増強を図っていくことが、収益のベストミックスを変えていく大きな起爆剤になる」と語った。
法人向け貸し出し分野の人員は、26年3月末までに200人増員する計画。
先行きの金融政策を占ううえでは賃上げがポイントとなっている。同社の来年度の賃上げについて、南社長は「今年度はグループで約5%上げた。来年度はそれを上回る数値をベースに考えていくべき」と述べた。
<りそなAM、運用資産残高は1.5倍へ>
政府は資産運用立国を掲げ、年内の政策プラン策定に着手している。グループで資産運用を担うりそなアセットマネジメントについて、南社長は「60年の企業年金で培ったプロ向けの運用をリテールに提供する」とし、23年3月末に44兆円だった資産運用残高を30年に65兆円に拡大することを目指す、と打ち出した。
このうち、1.44兆円だった投資信託の残高は10倍の15兆円に引き上げる。南社長は「大きなムーブメントを起こしていく必要がある」とし、運用の世界に個人が一歩足を踏み入れ、中長期のメリットを体感してもらうことが重要だと指摘した。
*インタビューは21日に実施しました。