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ispace、来冬に2回目の月面着陸挑戦、「準備は順調」

配信日時:2023/11/16 14:47 配信元:REUTERS

Maki Shiraki

[東京 16日 ロイター] - 宇宙ベンチャーのispace(アイスペース)の袴田武史代表取締役CEO(最高経営責任者)は16日、月探査計画「HAKUTO-R」で2024年の打ち上げを予定する2回目の挑戦「ミッション2」を同年冬に行うと表明した。

袴田CEOはミッション2の進捗報告会で「準備は順調に進んでいる」と述べ、継続的な複数のミッションのための資金調達も並行して行い、「今後の長期的な持続可能性を確保してきている」と話した。

ミッション2では、初回の挑戦での成果を踏まえた月着陸船の設計・技術、月面の輸送・データサービス提供という事業モデルのさらなる検証と強化を目指す。月面探査車が着陸地点で周辺を探査し、米国航空宇宙局(NASA)との契約に基づき「レゴリス」と呼ばれる月の土を採取してその所有権をNASAに譲渡することも計画する。

11月にスウェーデンの土木鉱山機械メーカー、エピロックと「コーポレートパートナー」契約を締結。同社はレゴリス採取に使われるスコップを設計開発したほか、ペイロード(搭載品)を制御する電子機器やソフトウエアを設計。両社は今年初めには長期的な協力協定を結んでおり、既存・将来の商業的な月でのミッションの技術やソリューション分野で協業する。

ミッション2では5つのペイロードを輸送予定で、そのひとつが高砂熱学工業が開発した月面用水電解装置。この装置で水素・酸素の生成実験を行う計画で、飲料水や燃料などの生産につながれば月面での生活や活動が可能になる。宇宙での食料生産に向けた月面環境実験として、ユーグレナの藻類バイオ観測機能を持つ自己完結型モジュールなども運ぶ。

ispaceは今年4月12日に東京株式市場に上場。10月には経済産業省の「中小企業イノベーション創出推進企業」において予算額(補助上限)120億円の補助対象事業にも採択された。4月26日未明、民間企業として初めて挑んだ月面着陸は失敗したが原因は把握できており、月着陸船の基本構造は大きく変更せずソフトウエア改良などで改善を図って2回目のミッションに挑む。

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