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米住宅ローン金利、国債利回りピークアウトで今後低下へ

配信日時:2023/11/16 13:14 配信元:REUTERS

Amina Niasse

[ニューヨーク 15日 ロイター] - 米国債利回りは既に天井を打って今後は低下するとの見方が強まっていることから、住宅ローン金利は向こう数週間にわたって低下する見通しだ。

14日に発表された米消費者物価指数(CPI)でインフレの鈍化が示されたため、投資家の間では米連邦準備理事会(FRB)が利上げを終えたとの観測が強固になり、今月に入り堅調に推移していた米国債相場を一段と押し上げた。

住宅ローン金利に影響する10年国債利回りは先月には2007年以降で初めて5%を突破していたが、14日には4.50%を割り込んだ。

こうした動きと歩調を合わせて、住宅ローンのコストも減少。米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)のデータによると、30年固定住宅ローンの金利は2週間前には約7.9%と2000年以降で最高の水準だったが、先週には7.5%に低下した。

一部のアナリストは、30年固定住宅ローン金利と10年国債利回りの金利差は現時点では1980年代以降で最大に近いが、これが正常化するのに伴い、住宅ローン金利は今後一段と急速に下がると考えている。

フレディマックの次席エコノミスト、レン・キーファー氏はこの金利差について、住宅ローン担保証券(MBS)市場の変動が激しくなっていることが一因だと説明した。

債券市場の変動性を示す指標は今年これまでよりも低下しており、債券利回りがさらに低下する兆候が示されているため、住宅購買力は今後改善しそうだ。

米抵当銀行協会(MBA)の次席エコノミスト、ジョエル・カン氏は30年固定住宅ローン金利について「今年第4・四半期には平均で6.2%程度になると考えている。10年国債利回りもこれから年末にかけて下がると予想している」と語った。

MBAの指数によると、米国の住宅ローン返済額の9月中央値は、前月比で微増だった8月の2170ドルから15ドル減少した。返済額の中央値は2022年以降着実に高まり、現在は前年同期比で11%増となっている。

住宅ローン金利は今後低下すると見込まれるものの、エコノミストはローン金利が依然として過去10年間の中央値であるおよそ3.5%より高い水準にとどまると予想している。

FRBは今月の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を2会合連続で5.25─5.50%に据え置いた。景気の減速を示すデータに加え、FRBが昨年3月に開始した積極的な利上げのサイクルが終了するとの観測により、FRBが景気の「ソフトランディング(軟着陸)」を実現するとの期待が高まっている。ソフトランディングが実現すれば利回りが下がり、住宅ローンを含む信用コストが軽減される余地が生じる。

カン氏は「製造業とサービス業の指標に着目すると、今後は冷え込むとの兆候が示されている」と指摘。雇用と賃金が沈静化し続ければ、「サービス業で一段と大きな減速が見られ。最終的には経済全体で信用が緩むと見込まれる」と話した。

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