ランチタイムコメント
日経平均は続落、マイナス圏で軟調もみ合い展開続く
配信日時:2023/09/11 12:11
配信元:FISCO
*12:11JST 日経平均は続落、マイナス圏で軟調もみ合い展開続く
日経平均は続落。62.80円安の32544.04円(出来高概算6億6726万株)で前場の取引を終えている。
前週末8日の米国株式市場のダウ平均は75.86ドル高(+0.22%)と続伸。中国との対立を警戒した売りが一段落した。中国政府によるアイフォーン使用制限が警戒され売られていたアップル株が反発したことも相場支援材料となった。金利動向も安定したため主要株式指数は終日底堅く推移し、プラス圏を維持し終了。ナスダックは小反発、主要株価指数がそろって上昇した米株市場を横目に、本日の日経平均は上昇スタートとなった。ただ、早々にマイナス圏に転落して、さえない動きとなっている。
個別では、レーザーテック<6920>やディスコ<6146>、東エレク<8035>などの半導体関連株が軟調に推移。川崎汽船<9107>や商船三井<9104>などの海運株の一角、JR西<9021>などの陸運株、トヨタ自<7203>、キーエンス<6861>、三菱重工業<7011>、三菱地所<8802>、信越化<4063>なども軟調に推移した。そのほか、第1四半期の営業赤字転落を嫌気されたgumi<3903>、通期業績予想の下方修正を発表したベステラ<1433>などが急落、HEROZ<4382>、エイチーム<3662>、YTL<1773>などが値下がり率上位に顔を出した。
一方、三井住友<8316>や三菱UFJ<8306>、みずほ<8411>などの金融株、三菱商事<8058>や三井物産<8031>などの商社株が堅調に推移。また、ソフトバンクG<9984>、神戸製鋼所<5406>、ソニーG<6758>、任天堂<7974>、INPEX<1605>、ホンダ<7267>なども上昇。そのほか、第1四半期は想定以上の大幅増益決算となったフリービット<3843>、前期業績上振れ着地で今期も2ケタ増益・増配見通しとなったアイル<3854>が急騰、JMDC<4483>、アルトナー<2163>などが値上がり率上位に顔を出した。
セクターでは、不動産業、サービス業、機械が下落率上位となった一方で、銀行業、保険業、電気・ガスが上昇率上位となった。東証プライムの値上がり銘柄は全体の46%、対して値下がり銘柄は51%となっている。
9月11日の日経平均は前週末比83.70円高の32690.54円と反発でスタートした。シカゴ日経225先物清算値(12月限)は、大阪比100円高の32520円。本日の日経平均は、前週末に大幅安となった反動からやや買いが先行。ただ、値がさハイテク株の動きが重く、その後マイナスに転じている。そのほか、香港ハンセンなどが軟調に推移している点も重しとなっているか。
新興市場も軟調な展開となっている。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は下落スタート後、一時的にプラス圏に浮上するも即座に再度マイナス圏転落。前引けにかけて下げ幅を広げる展開となっている。米長期金利は高水準で推移しており、バリュエーション面での割高感が意識されやすい新興株を手掛けにくい地合いが続いている。また、今週は重要インフレ指標の発表を控えており、積極的に買い進む動きは限定的か。前引け時点での東証グロース市場Core指数は0.60%安、東証マザーズ指数は0.91%安となった。
さて、日本の物価上昇率が2%を上回る状態が続く中、国内の長期金利は一時0.7%
と2014年1月以来の高水準を付けた。日銀の植田和男総裁が9日付の読売新聞のインタビューで、マイナス金利政策を解除する上で「年末までに十分な情報やデータがそろう可能性はゼロではない」とも述べたと伝わり、イールドカーブ・コントロール(YCC)撤廃や早期のマイナス金利解除への思惑が強まった。本日は、金利上昇に伴い貸出の利ざやが拡大するとの期待から銀行株は思惑買いが向かっている一方で、金利上昇が収益環境のデメリットとなる不動産関連株は売り優勢の展開となっている。
話は変わって、今週は重要インフレ指標の発表が控えている。13日には米8月消費者物価指数(CPI)、14日には米8月小売売上高及び米8月生産者物価指数(PPI)、15日にはミシガン大学消費者信頼感指数が発表される。米雇用関連指標は、労働市場の逼迫緩和を示唆する結果となったが、CPIとPPIは全体では伸びの加速が予想されている。詳細は休日の「国内株式市場見通し」をご確認いただきたいが、兎にも角にも今週は米連邦準備制度理事会(FRB)が重要視するインフレ指標の結果を見極めたい動きが優勢となろう。
イエレン米財務長官は10日、ブルームバーグとのインタビューで、米国が労働市場に大きな打撃を与えずにインフレを抑制できると一段と自信を強めていると述べたようだ。同長官は「インフレの全ての指標が下降方向にある」と指摘したうえで、労働市場で需給緩和を目にしていることは「重要で良いことだ」とも発言した。前週は、FRB当局者らも米経済のソフトランディングは可能、と楽観的な見方を強めていた。
CMEのFEDウォッチツールでも、9月のFOMCでは金利据え置きが大方の予想となっている。ただ、11月FOMCでの予想は、据え置きに53.5%、0.25%の利上げに43.5%と警戒感がぬぐえていない。足元では、サウジアラビアの想定以上の減産延長の発表を受けて原油市況が昨年11月中旬以来の水準にまで上昇している。原油市況の上昇は今回の調査にはまだ反映されていないかもしれないが、今後の警戒材料となる。
また、14日には欧州中央銀行(ECB)定例理事会が一足先に開催されるため、ECBの決定やラガルド総裁の発言にも注目が集まるだろう。
そのほか、9月7日に発表された最新週(8月28日~9月1日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物株を3週ぶりに買い越した。買い越し金額は3393億円となった一方で、個人投資家は現物株を9226億円と2週連続で売り越した。年金基金の売買動向を反映するとされる信託銀行は3週連続の買い越しとなった。さて、後場の日経平均はマイナス圏での軟調推移を継続か。手掛かり材料に乏しい中、売り手優位の状況が続くか注目しておきたい。また、銀行株買い・不動産株売りの動きが加速するかも注視したい。
(山本 泰三)
<AK>
前週末8日の米国株式市場のダウ平均は75.86ドル高(+0.22%)と続伸。中国との対立を警戒した売りが一段落した。中国政府によるアイフォーン使用制限が警戒され売られていたアップル株が反発したことも相場支援材料となった。金利動向も安定したため主要株式指数は終日底堅く推移し、プラス圏を維持し終了。ナスダックは小反発、主要株価指数がそろって上昇した米株市場を横目に、本日の日経平均は上昇スタートとなった。ただ、早々にマイナス圏に転落して、さえない動きとなっている。
個別では、レーザーテック<6920>やディスコ<6146>、東エレク<8035>などの半導体関連株が軟調に推移。川崎汽船<9107>や商船三井<9104>などの海運株の一角、JR西<9021>などの陸運株、トヨタ自<7203>、キーエンス<6861>、三菱重工業<7011>、三菱地所<8802>、信越化<4063>なども軟調に推移した。そのほか、第1四半期の営業赤字転落を嫌気されたgumi<3903>、通期業績予想の下方修正を発表したベステラ<1433>などが急落、HEROZ<4382>、エイチーム<3662>、YTL<1773>などが値下がり率上位に顔を出した。
一方、三井住友<8316>や三菱UFJ<8306>、みずほ<8411>などの金融株、三菱商事<8058>や三井物産<8031>などの商社株が堅調に推移。また、ソフトバンクG<9984>、神戸製鋼所<5406>、ソニーG<6758>、任天堂<7974>、INPEX<1605>、ホンダ<7267>なども上昇。そのほか、第1四半期は想定以上の大幅増益決算となったフリービット<3843>、前期業績上振れ着地で今期も2ケタ増益・増配見通しとなったアイル<3854>が急騰、JMDC<4483>、アルトナー<2163>などが値上がり率上位に顔を出した。
セクターでは、不動産業、サービス業、機械が下落率上位となった一方で、銀行業、保険業、電気・ガスが上昇率上位となった。東証プライムの値上がり銘柄は全体の46%、対して値下がり銘柄は51%となっている。
9月11日の日経平均は前週末比83.70円高の32690.54円と反発でスタートした。シカゴ日経225先物清算値(12月限)は、大阪比100円高の32520円。本日の日経平均は、前週末に大幅安となった反動からやや買いが先行。ただ、値がさハイテク株の動きが重く、その後マイナスに転じている。そのほか、香港ハンセンなどが軟調に推移している点も重しとなっているか。
新興市場も軟調な展開となっている。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は下落スタート後、一時的にプラス圏に浮上するも即座に再度マイナス圏転落。前引けにかけて下げ幅を広げる展開となっている。米長期金利は高水準で推移しており、バリュエーション面での割高感が意識されやすい新興株を手掛けにくい地合いが続いている。また、今週は重要インフレ指標の発表を控えており、積極的に買い進む動きは限定的か。前引け時点での東証グロース市場Core指数は0.60%安、東証マザーズ指数は0.91%安となった。
さて、日本の物価上昇率が2%を上回る状態が続く中、国内の長期金利は一時0.7%
と2014年1月以来の高水準を付けた。日銀の植田和男総裁が9日付の読売新聞のインタビューで、マイナス金利政策を解除する上で「年末までに十分な情報やデータがそろう可能性はゼロではない」とも述べたと伝わり、イールドカーブ・コントロール(YCC)撤廃や早期のマイナス金利解除への思惑が強まった。本日は、金利上昇に伴い貸出の利ざやが拡大するとの期待から銀行株は思惑買いが向かっている一方で、金利上昇が収益環境のデメリットとなる不動産関連株は売り優勢の展開となっている。
話は変わって、今週は重要インフレ指標の発表が控えている。13日には米8月消費者物価指数(CPI)、14日には米8月小売売上高及び米8月生産者物価指数(PPI)、15日にはミシガン大学消費者信頼感指数が発表される。米雇用関連指標は、労働市場の逼迫緩和を示唆する結果となったが、CPIとPPIは全体では伸びの加速が予想されている。詳細は休日の「国内株式市場見通し」をご確認いただきたいが、兎にも角にも今週は米連邦準備制度理事会(FRB)が重要視するインフレ指標の結果を見極めたい動きが優勢となろう。
イエレン米財務長官は10日、ブルームバーグとのインタビューで、米国が労働市場に大きな打撃を与えずにインフレを抑制できると一段と自信を強めていると述べたようだ。同長官は「インフレの全ての指標が下降方向にある」と指摘したうえで、労働市場で需給緩和を目にしていることは「重要で良いことだ」とも発言した。前週は、FRB当局者らも米経済のソフトランディングは可能、と楽観的な見方を強めていた。
CMEのFEDウォッチツールでも、9月のFOMCでは金利据え置きが大方の予想となっている。ただ、11月FOMCでの予想は、据え置きに53.5%、0.25%の利上げに43.5%と警戒感がぬぐえていない。足元では、サウジアラビアの想定以上の減産延長の発表を受けて原油市況が昨年11月中旬以来の水準にまで上昇している。原油市況の上昇は今回の調査にはまだ反映されていないかもしれないが、今後の警戒材料となる。
また、14日には欧州中央銀行(ECB)定例理事会が一足先に開催されるため、ECBの決定やラガルド総裁の発言にも注目が集まるだろう。
そのほか、9月7日に発表された最新週(8月28日~9月1日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物株を3週ぶりに買い越した。買い越し金額は3393億円となった一方で、個人投資家は現物株を9226億円と2週連続で売り越した。年金基金の売買動向を反映するとされる信託銀行は3週連続の買い越しとなった。さて、後場の日経平均はマイナス圏での軟調推移を継続か。手掛かり材料に乏しい中、売り手優位の状況が続くか注目しておきたい。また、銀行株買い・不動産株売りの動きが加速するかも注視したい。
(山本 泰三)
<AK>
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