後場の投資戦略
米株高受けて買い優勢の展開
配信日時:2023/07/03 12:25
配信元:FISCO
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;33704.73;+515.69TOPIX;2317.67;+29.07
[後場の投資戦略]
シカゴ日経225先物清算値は大阪比245円高の33435円。米株高の流れもあり、本日の日経平均は買いが先行。米国ではアップルの時価総額が3兆ドルに乗せるなど、ハイテク株の強い動きが目立ったことから、東京市場においても指数インパクトの大きい値がさハイテク株がけん引する展開になっている。
一方、新興市場は上値の重い展開が続いている。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は上昇スタート後、上げ幅をじりじりと縮小する展開となっている。金利先高観が気がかりになっていたが、米経済指標の結果を受けて目先の安心感が台頭しており個人投資家心理が改善した。ただ、本日は東証プライム市場の主力株中心に注目が集まっており、新興株はやや蚊帳の外状態となっている。前引け時点での東証マザーズ指数は0.18%高、東証グロース市場Core指数は0.86%高。
日本銀行が本日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)は、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が7四半期ぶりに改善した。大企業・非製造業も5期連続の改善となった。半導体不足の影響が緩和して生産が持ち直している自動車が大きく改善し、石油・石炭製品や食料品、造船・重機も改善した。宿泊・飲食サービスは0から36ポイント改善し36となり、改善幅、水準ともに2004年の調査開始以来最大となったようだ。
欧米の急速な利上げで海外経済への懸念は強く一部業種では悪化予想もみられるが、大企業・製造業の景況感悪化に歯止めがかかり、日本経済が「緩やかに回復していく」という日銀の見通しを支える結果となった。製造業および非製造業ともに前回からの改善が見込まれていたが、想定通りの結果となり市場もポジティブに反応している。ただ、7月の金融政策決定会合で物価見通しの上方修正に合わせて政策修正に踏み切るとの思惑は依然としてくすぶっていることは頭の片隅に置いておきたい。
さて、3日にはISM製造業景気指数、5日には6月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録、6日にはISM非製造業景気指数、など今週は注目材料が多い。また、7日には米雇用統計が発表される予定。非農業部門雇用者数はエコノミスト予想で前月比22万5000人増と依然として堅調な伸びが見込まれており、失業率の予想は3.6%、平均時給の伸びは前年同月比で鈍化する見通し。雇用統計で、想定より強い数字が出て金融引き締めが長期化する懸念が強まれば、ハイテク株の調整につながる可能性も高いため、同指標の結果には大きな注目が集まるだろう。
そのほか、東証の投資部門別売買状況では、海外投資家が6月第3週(6月19日-6月23日)に13週ぶりに売り越しに転じたことが明らかになった。海外投資家の売越額は3604億円で、年金基金の売買動向を反映するとされる信託銀行は13週連続で売り越した。
株価上昇を受けたリバランスや持ち高調整に絡んだ売りが広がっている。一方で、個人は3週ぶりに買い越しに転じており、買越額は3446億円となった。このまま海外投資家の売り越しが継続する場合は警戒感が広がっていきそうで、買い越しに転じた個人の動きも注視する必要があろう。
さて、後場の日経平均はプラス圏で堅調推移が続くか。米株先物の動向を横目に、6月19日に付けたバブル後最高値33772.89円に迫る展開も期待される。
(山本泰三)
<AK>
日経平均;33704.73;+515.69TOPIX;2317.67;+29.07
[後場の投資戦略]
シカゴ日経225先物清算値は大阪比245円高の33435円。米株高の流れもあり、本日の日経平均は買いが先行。米国ではアップルの時価総額が3兆ドルに乗せるなど、ハイテク株の強い動きが目立ったことから、東京市場においても指数インパクトの大きい値がさハイテク株がけん引する展開になっている。
一方、新興市場は上値の重い展開が続いている。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は上昇スタート後、上げ幅をじりじりと縮小する展開となっている。金利先高観が気がかりになっていたが、米経済指標の結果を受けて目先の安心感が台頭しており個人投資家心理が改善した。ただ、本日は東証プライム市場の主力株中心に注目が集まっており、新興株はやや蚊帳の外状態となっている。前引け時点での東証マザーズ指数は0.18%高、東証グロース市場Core指数は0.86%高。
日本銀行が本日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)は、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が7四半期ぶりに改善した。大企業・非製造業も5期連続の改善となった。半導体不足の影響が緩和して生産が持ち直している自動車が大きく改善し、石油・石炭製品や食料品、造船・重機も改善した。宿泊・飲食サービスは0から36ポイント改善し36となり、改善幅、水準ともに2004年の調査開始以来最大となったようだ。
欧米の急速な利上げで海外経済への懸念は強く一部業種では悪化予想もみられるが、大企業・製造業の景況感悪化に歯止めがかかり、日本経済が「緩やかに回復していく」という日銀の見通しを支える結果となった。製造業および非製造業ともに前回からの改善が見込まれていたが、想定通りの結果となり市場もポジティブに反応している。ただ、7月の金融政策決定会合で物価見通しの上方修正に合わせて政策修正に踏み切るとの思惑は依然としてくすぶっていることは頭の片隅に置いておきたい。
さて、3日にはISM製造業景気指数、5日には6月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録、6日にはISM非製造業景気指数、など今週は注目材料が多い。また、7日には米雇用統計が発表される予定。非農業部門雇用者数はエコノミスト予想で前月比22万5000人増と依然として堅調な伸びが見込まれており、失業率の予想は3.6%、平均時給の伸びは前年同月比で鈍化する見通し。雇用統計で、想定より強い数字が出て金融引き締めが長期化する懸念が強まれば、ハイテク株の調整につながる可能性も高いため、同指標の結果には大きな注目が集まるだろう。
そのほか、東証の投資部門別売買状況では、海外投資家が6月第3週(6月19日-6月23日)に13週ぶりに売り越しに転じたことが明らかになった。海外投資家の売越額は3604億円で、年金基金の売買動向を反映するとされる信託銀行は13週連続で売り越した。
株価上昇を受けたリバランスや持ち高調整に絡んだ売りが広がっている。一方で、個人は3週ぶりに買い越しに転じており、買越額は3446億円となった。このまま海外投資家の売り越しが継続する場合は警戒感が広がっていきそうで、買い越しに転じた個人の動きも注視する必要があろう。
さて、後場の日経平均はプラス圏で堅調推移が続くか。米株先物の動向を横目に、6月19日に付けたバブル後最高値33772.89円に迫る展開も期待される。
(山本泰三)
<AK>
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