後場の投資戦略
強い日本株に対して要注意なのは米国株か
配信日時:2023/06/21 12:30
配信元:FISCO
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;33523.53;+134.62TOPIX;2293.48;+9.63
[後場の投資戦略]
連休明け20日の米株式市場は続落し、主要株価指数は一時は揃って1%程度の下落率まで下げ幅を広げる場面があった。今晩の米下院でのパウエル米連邦準備制度理事会
(FRB)議長の議会証言を控え、やや警戒感が高まったとみられる。一方、米株式市場は序盤に売りが先行した後は、中盤にかけて急速に下げ渋り、底堅い動きとなった。
ただ、主要株価3指数は中盤にはすでに前営業日終値に近い水準にまで戻していたにもかかわらず、その後は一進一退にとどまり、結局、プラス圏で推移する時間帯はほとんどなかった。
先週末の米株式市場は、株価指数や個別株を対象とした先物・オプション取引の決済期日が重なるクアドラプル・ウィッチングだった。米商品先物取引委員会(CFTC)
によると、投機筋のEミニ・S&P500種価指数先物を対象としたショートポジション(売り持ち高)は5月30日時点で43万4170枚に達し、QUICKでさかのぼれる2001年以降で最高となっていた。年末年始の予想とは大きく異なる形で株式市場が戻りを試す展開となるなか、ウィッチングに向けては売り方の買い戻しなどに拍車がかかったと考えられる。
一方、シカゴ・オプション取引所(CBOE)によると、5日移動平均ベースでのプット
(売る権利)の売買代金をコール(買う権利)の売買代金で割って算出するプット・コールレシオは過去3年におけるレンジ下限まで低下してきている。先高観からコールを買っている強気目線の投資家が増加していることが示唆されている。
また、米個人投資家協会(AAII)の週次調査によると、6月16日時点で相場の先行きに対して「強気(ブル)」目線の米個人投資家の割合は45.2%と、2021年11月以来の高さにまで上昇しており、「弱気(ベア)」目線の投資家の割合である22.7%を大幅に上回っている。
米クアドラプル・ウィッチングに向けては、投資家は既存のポジションをロールオーバーするか(乗り換えるか)、反対売買で清算するかのどちらかを迫られる。このため、ウィッチングが一つの需給の転換点となることが多く、売り方の買い戻しは先週末まででいったん一巡した可能性が高いと推察される。
また、上述したように足元では強気目線の投資家が増え始めている。先物で弱気なポジションが維持されつつも、オプションでは強気のポジションも構築されてきており、これまでのように、投資家の身軽なポジションが株価の意外高を引き起こす余地は小さくなってきたといえる。
他方、本日の日経平均は米国株の下落を横目に、朝方の下落スタート後は大きく切り返して安値から400円近くも上昇するなど、非常に強い動きを見せている。週前半は久々に軟調な展開となり、さすがに上昇一服かと思われたが、どうやら外国人投資家の買い意欲はまだまだ健在のようだ。
ただ、米国株についてはクアドラプル・ウィッチングを通過した直後の今週の動きが重要で、米株の動向次第では、日本株も無傷でいられるとは考えにくい。米株が崩れたとしても、相対感でみた際の日本株の堅調さは続くだろうが、指数への影響力が大きい値がさ株や大型株などの上値追いには慎重になるべきタイミングと考える。
一方、朝安後に切り返して大きく上昇してきている本日のマザーズ指数の動きや、これまでの新規株式公開(IPO)銘柄の良好な初値形成、そして本日東証グロース市場に新規上場するシーユーシー<9158>に対する旺盛な買い注文状況などを見る限り、中小型株や新興株には引き続き強気目線で臨みたい。
(仲村幸浩)
<AK>
日経平均;33523.53;+134.62TOPIX;2293.48;+9.63
[後場の投資戦略]
連休明け20日の米株式市場は続落し、主要株価指数は一時は揃って1%程度の下落率まで下げ幅を広げる場面があった。今晩の米下院でのパウエル米連邦準備制度理事会
(FRB)議長の議会証言を控え、やや警戒感が高まったとみられる。一方、米株式市場は序盤に売りが先行した後は、中盤にかけて急速に下げ渋り、底堅い動きとなった。
ただ、主要株価3指数は中盤にはすでに前営業日終値に近い水準にまで戻していたにもかかわらず、その後は一進一退にとどまり、結局、プラス圏で推移する時間帯はほとんどなかった。
先週末の米株式市場は、株価指数や個別株を対象とした先物・オプション取引の決済期日が重なるクアドラプル・ウィッチングだった。米商品先物取引委員会(CFTC)
によると、投機筋のEミニ・S&P500種価指数先物を対象としたショートポジション(売り持ち高)は5月30日時点で43万4170枚に達し、QUICKでさかのぼれる2001年以降で最高となっていた。年末年始の予想とは大きく異なる形で株式市場が戻りを試す展開となるなか、ウィッチングに向けては売り方の買い戻しなどに拍車がかかったと考えられる。
一方、シカゴ・オプション取引所(CBOE)によると、5日移動平均ベースでのプット
(売る権利)の売買代金をコール(買う権利)の売買代金で割って算出するプット・コールレシオは過去3年におけるレンジ下限まで低下してきている。先高観からコールを買っている強気目線の投資家が増加していることが示唆されている。
また、米個人投資家協会(AAII)の週次調査によると、6月16日時点で相場の先行きに対して「強気(ブル)」目線の米個人投資家の割合は45.2%と、2021年11月以来の高さにまで上昇しており、「弱気(ベア)」目線の投資家の割合である22.7%を大幅に上回っている。
米クアドラプル・ウィッチングに向けては、投資家は既存のポジションをロールオーバーするか(乗り換えるか)、反対売買で清算するかのどちらかを迫られる。このため、ウィッチングが一つの需給の転換点となることが多く、売り方の買い戻しは先週末まででいったん一巡した可能性が高いと推察される。
また、上述したように足元では強気目線の投資家が増え始めている。先物で弱気なポジションが維持されつつも、オプションでは強気のポジションも構築されてきており、これまでのように、投資家の身軽なポジションが株価の意外高を引き起こす余地は小さくなってきたといえる。
他方、本日の日経平均は米国株の下落を横目に、朝方の下落スタート後は大きく切り返して安値から400円近くも上昇するなど、非常に強い動きを見せている。週前半は久々に軟調な展開となり、さすがに上昇一服かと思われたが、どうやら外国人投資家の買い意欲はまだまだ健在のようだ。
ただ、米国株についてはクアドラプル・ウィッチングを通過した直後の今週の動きが重要で、米株の動向次第では、日本株も無傷でいられるとは考えにくい。米株が崩れたとしても、相対感でみた際の日本株の堅調さは続くだろうが、指数への影響力が大きい値がさ株や大型株などの上値追いには慎重になるべきタイミングと考える。
一方、朝安後に切り返して大きく上昇してきている本日のマザーズ指数の動きや、これまでの新規株式公開(IPO)銘柄の良好な初値形成、そして本日東証グロース市場に新規上場するシーユーシー<9158>に対する旺盛な買い注文状況などを見る限り、中小型株や新興株には引き続き強気目線で臨みたい。
(仲村幸浩)
<AK>
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