後場の投資戦略
上昇一服感が台頭か
配信日時:2023/05/22 12:22
配信元:FISCO
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;30833.94;+25.59TOPIX;2164.95;+3.26
[後場の投資戦略]
シカゴ日経225先物清算値は大阪比45円安の30855円。シカゴ先物にサヤ寄せする格好から、本日の日経平均はやや売りが先行した。先週の日経平均は連日のギャップアップからの上昇でバブル後の高値を更新したこともあり、急ピッチの上昇に対する利益確定の動きが入りやすく、朝方の下げは想定内といったところ。ただ、その後は買い戻しも優勢でプラス圏に浮上した。
一方、新興市場はもみ合い展開が続いている。マザーズ指数は下落スタート後、朝方にプラス圏に浮上。その後は前週末終値付近でのもみ合い展開となっている。一方、グロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は下落スタート後、下げ幅を縮小するもマイナス圏での推移が続いている。連邦政府の債務上限問題を巡る交渉が一時停止されたと伝わったことが国内の投資家心理にもネガティブに働いているか。前引け時点での東証マザーズ指数は0.17%高、東証グロース市場Core指数は0.53%安。
さて、5月のFOMCではフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジが0.25ポイント引き上げられて5-5.25%となり、利上げ停止の可能性が示唆された。前週は、ボウマン理事やクリーブランド連銀のメスター総裁などは利上げ継続すべきとの見解を示している一方で、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は19日に6月は利上げ休止に傾いていると発言。銀行の貸し渋りなど信用収縮がもたらす金融引き締め効果を指摘したようだ。次回の6月FOMCは6月13-14日に開かれる。CMEのFedウォッチツールでは、利上げ確率は9.2%で利上げ停止確率は90%に及んでいる。
一方、米連邦政府の債務上限問題については、マッカーシー下院議長が21日にバイデン大統領と電話で協議し、話し合いは「建設的だった」と連邦議会議事堂で記者団に話したようだ。ただ、議長は記者団への発言で、まだ合意に達していないことを強調しており、本日22日に再び会談して話し合いを続けるという。6月1日にも米国がデフォルト(債務不履行)に陥る恐れがあると警戒されているなか、引き続き米債務上限問題の動向に注目が集まろう。
そのほか、バブル崩壊後の高値を更新した日経平均株価だが、背景としては東証によるPBR改善要請や米著名投資家バフェット氏の追加投資表明、新日銀体制下での追加緩和継続などが挙げられている。また、投資主体別売買動向を見てみると、海外投資家は4月から6週連続で日本株を買い越している。推移を確認すると海外投資家が3月2週目から売り越し幅が縮小して4月2週目にかけて大きく買い越しに転じている一方で、信託銀行は6週連続で売り越している。日本株市場のメインプレーヤーである海外投資家の動向は今後も注目していく必要がある。
また、日本企業に対してアクティビスト(物言う株主)ファンドの動きが活発化しているようだ。アイ・アールジャパンホールディングスの資料によると、5月11日時点でアクティビストによる株主提案の提出件数は43件と前年同時点の27件を大きく上回っており、過去最多となった2022年の58件に迫る勢いだという。日本株がバブル崩壊後の戻り高値を更新するなか、こういった情報も頭の片隅に置いておきたい。
さて、米国の外部環境は不透明感を払しょくしきれていないが、株価が上下どちらにむかってもいいように引き続き今後のシナリオを考えていきたい。月曜日の当欄を担当する筆者は引き続き今後の下落シナリオを想定して相場を見守っているが、理由や要因などは過去の当欄をご覧いただきたい。後場の日経平均は、こう着感の強い展開が続くか。引き続き東証プライム市場を中心に物色が継続するか注目しておきたい。
(山本泰三)
<AK>
日経平均;30833.94;+25.59TOPIX;2164.95;+3.26
[後場の投資戦略]
シカゴ日経225先物清算値は大阪比45円安の30855円。シカゴ先物にサヤ寄せする格好から、本日の日経平均はやや売りが先行した。先週の日経平均は連日のギャップアップからの上昇でバブル後の高値を更新したこともあり、急ピッチの上昇に対する利益確定の動きが入りやすく、朝方の下げは想定内といったところ。ただ、その後は買い戻しも優勢でプラス圏に浮上した。
一方、新興市場はもみ合い展開が続いている。マザーズ指数は下落スタート後、朝方にプラス圏に浮上。その後は前週末終値付近でのもみ合い展開となっている。一方、グロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は下落スタート後、下げ幅を縮小するもマイナス圏での推移が続いている。連邦政府の債務上限問題を巡る交渉が一時停止されたと伝わったことが国内の投資家心理にもネガティブに働いているか。前引け時点での東証マザーズ指数は0.17%高、東証グロース市場Core指数は0.53%安。
さて、5月のFOMCではフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジが0.25ポイント引き上げられて5-5.25%となり、利上げ停止の可能性が示唆された。前週は、ボウマン理事やクリーブランド連銀のメスター総裁などは利上げ継続すべきとの見解を示している一方で、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は19日に6月は利上げ休止に傾いていると発言。銀行の貸し渋りなど信用収縮がもたらす金融引き締め効果を指摘したようだ。次回の6月FOMCは6月13-14日に開かれる。CMEのFedウォッチツールでは、利上げ確率は9.2%で利上げ停止確率は90%に及んでいる。
一方、米連邦政府の債務上限問題については、マッカーシー下院議長が21日にバイデン大統領と電話で協議し、話し合いは「建設的だった」と連邦議会議事堂で記者団に話したようだ。ただ、議長は記者団への発言で、まだ合意に達していないことを強調しており、本日22日に再び会談して話し合いを続けるという。6月1日にも米国がデフォルト(債務不履行)に陥る恐れがあると警戒されているなか、引き続き米債務上限問題の動向に注目が集まろう。
そのほか、バブル崩壊後の高値を更新した日経平均株価だが、背景としては東証によるPBR改善要請や米著名投資家バフェット氏の追加投資表明、新日銀体制下での追加緩和継続などが挙げられている。また、投資主体別売買動向を見てみると、海外投資家は4月から6週連続で日本株を買い越している。推移を確認すると海外投資家が3月2週目から売り越し幅が縮小して4月2週目にかけて大きく買い越しに転じている一方で、信託銀行は6週連続で売り越している。日本株市場のメインプレーヤーである海外投資家の動向は今後も注目していく必要がある。
また、日本企業に対してアクティビスト(物言う株主)ファンドの動きが活発化しているようだ。アイ・アールジャパンホールディングスの資料によると、5月11日時点でアクティビストによる株主提案の提出件数は43件と前年同時点の27件を大きく上回っており、過去最多となった2022年の58件に迫る勢いだという。日本株がバブル崩壊後の戻り高値を更新するなか、こういった情報も頭の片隅に置いておきたい。
さて、米国の外部環境は不透明感を払しょくしきれていないが、株価が上下どちらにむかってもいいように引き続き今後のシナリオを考えていきたい。月曜日の当欄を担当する筆者は引き続き今後の下落シナリオを想定して相場を見守っているが、理由や要因などは過去の当欄をご覧いただきたい。後場の日経平均は、こう着感の強い展開が続くか。引き続き東証プライム市場を中心に物色が継続するか注目しておきたい。
(山本泰三)
<AK>
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