後場の投資戦略
リターン・リバーサル終了でハイテク・グロース機運復活か
配信日時:2023/03/29 12:17
配信元:FISCO
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;27625.99;+107.74TOPIX;1976.39;+9.72
[後場の投資戦略]
本日は配当・優待権利付き最終売買日ということもあり、週明けから強まっているバリュー(割安)・高配当利回り銘柄を物色し直す動きがまだ続いている様子。一方、過度な金融システム不安の後退に伴うバリュー買い戻しと表裏の関係にあるハイテク・グロース(成長)売りも緩やかながらまだ続いている。ただ、バリューの買い戻し&ハイテク・グロースの売りの動きは週明けに比べれば大分弱まってきた印象。
明日の権利落ち日を境に再びハイテク・グロースに物色機運が戻ってくる可能性がありそうだ。
また、米株式市場の取引終了後に発表された半導体メモリ大手、マイクロン・テクノロジーの決算もこうした動きを後押ししそうだ。同社の3-5月売上高見通しは前年同期比60%減と大幅減収の予想ながらも、市場予想よりは良かった。最高経営責任者
(CEO)は「顧客在庫は改善しつつあり、業界の需給バランスは徐々に好転していくと考えている」と指摘。また、今年の人員削減目標を従来の10%から15%に引き上げることも発表。厳しい市況環境が最悪期を脱しつつあるとの見方が強まると同時に、収益性の改善に対する期待も高まっているようだ。米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は先週末から3日続落となっているが、今晩以降、持ち直すことができれば、ハイテク株の物色機運が再燃しそうだ。
米民間調査機関のコンファレンスボードが発表した3月消費者信頼感指数は104.2と、前月の103.4から予想に反して改善。6カ月先の見通しを示す期待指数も上昇した。今回の調査の締め切り日は20日で、米シリコンバレー銀行(SVB)などの経営破綻から約10日後だったが、今回の調査を見る限り、金融システム不安の消費者への影響はさほど大きくない様子。しかし、今後、信用収縮の影響が及ぶ先として懸念されている不動産セクターなどについて、業績など実体に反映されてくるのにはタイムラグがあるため、単に影響が経済指標にはまだ顕在化していないだけとも考えられる。
一方、同調査における雇用情勢については、職が「十分」との回答割合が減少した反面、「あまり豊富でない」との割合が増加した。労働市場の逼迫緩和が示唆されたことは賃金インフレのピークアウト期待を高めるものとして歓迎される。足元のバリュー買い戻し&ハイテク・グロース売りの背景には単純なリターン・リバーサルに加えて、米長期金利が再上昇していたこともあるため、雇用データの軟化は金利上昇の一服を通してこれもハイテク・グロースの物色機運再燃に寄与する可能性があろう。
今週末には米連邦準備制度理事会(FRB)が重要視する米2月個人消費支出(PCE)コアデフレーターが発表されるが、ハイテク物色機運を高める材料となるかに注目したい。
(仲村幸浩)
<AK>
日経平均;27625.99;+107.74TOPIX;1976.39;+9.72
[後場の投資戦略]
本日は配当・優待権利付き最終売買日ということもあり、週明けから強まっているバリュー(割安)・高配当利回り銘柄を物色し直す動きがまだ続いている様子。一方、過度な金融システム不安の後退に伴うバリュー買い戻しと表裏の関係にあるハイテク・グロース(成長)売りも緩やかながらまだ続いている。ただ、バリューの買い戻し&ハイテク・グロースの売りの動きは週明けに比べれば大分弱まってきた印象。
明日の権利落ち日を境に再びハイテク・グロースに物色機運が戻ってくる可能性がありそうだ。
また、米株式市場の取引終了後に発表された半導体メモリ大手、マイクロン・テクノロジーの決算もこうした動きを後押ししそうだ。同社の3-5月売上高見通しは前年同期比60%減と大幅減収の予想ながらも、市場予想よりは良かった。最高経営責任者
(CEO)は「顧客在庫は改善しつつあり、業界の需給バランスは徐々に好転していくと考えている」と指摘。また、今年の人員削減目標を従来の10%から15%に引き上げることも発表。厳しい市況環境が最悪期を脱しつつあるとの見方が強まると同時に、収益性の改善に対する期待も高まっているようだ。米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は先週末から3日続落となっているが、今晩以降、持ち直すことができれば、ハイテク株の物色機運が再燃しそうだ。
米民間調査機関のコンファレンスボードが発表した3月消費者信頼感指数は104.2と、前月の103.4から予想に反して改善。6カ月先の見通しを示す期待指数も上昇した。今回の調査の締め切り日は20日で、米シリコンバレー銀行(SVB)などの経営破綻から約10日後だったが、今回の調査を見る限り、金融システム不安の消費者への影響はさほど大きくない様子。しかし、今後、信用収縮の影響が及ぶ先として懸念されている不動産セクターなどについて、業績など実体に反映されてくるのにはタイムラグがあるため、単に影響が経済指標にはまだ顕在化していないだけとも考えられる。
一方、同調査における雇用情勢については、職が「十分」との回答割合が減少した反面、「あまり豊富でない」との割合が増加した。労働市場の逼迫緩和が示唆されたことは賃金インフレのピークアウト期待を高めるものとして歓迎される。足元のバリュー買い戻し&ハイテク・グロース売りの背景には単純なリターン・リバーサルに加えて、米長期金利が再上昇していたこともあるため、雇用データの軟化は金利上昇の一服を通してこれもハイテク・グロースの物色機運再燃に寄与する可能性があろう。
今週末には米連邦準備制度理事会(FRB)が重要視する米2月個人消費支出(PCE)コアデフレーターが発表されるが、ハイテク物色機運を高める材料となるかに注目したい。
(仲村幸浩)
<AK>
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