後場の投資戦略
概ね予想通りもあく抜け感高まらない米CPI
配信日時:2023/02/15 12:20
配信元:FISCO
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;27491.51;-111.26TOPIX;1988.30;-4.79
[後場の投資戦略]
前日発表された米1月消費者物価指数(CPI)は総合で前年比+6.4%(12月:+6.5%)と小幅に鈍化も、予想(+6.2%)を上回った。食品・エネルギーを除いたコア指数も前年比+5.6%(前月:+5.7%)と僅かに鈍化も、予想(+5.5%)を上振れた。前月比では総合で+0.5%と予想(+0.5%)に一致も12月(+0.1%)からは加速。コア指数も前月比+0.4%と予想(+0.4%)一致にとどまったが、12月(+0.4%)と同様に加速が続き、モメンタムの鈍化は確認されなかった。
家賃などから構成され、CPIの約3分の1と最大の割合を占める住居費が前月比+0.7%(12月:+0.8%)となり、引き続きCPIの加速に寄与した。ただ、住居費より1年程先行する傾向のある米国の住宅価格指数は昨年4月頃にピークを打っているため、住居費の鈍化も時間の問題だろう。
一方、これまでCPI総合の鈍化に寄与してきたエネルギー価格が前月比+2.0%(12月:-3.1%)と3カ月ぶりに加速に転換。食料品も前月比+0.5%(12月:+0.4%)
とモメンタムに鈍化の兆しが見られず、インフレ懸念がくすぶる内容となった。サービス分野のインフレも、遅行性のある住居費が鈍化すれば問題解決かというと、そう簡単な話でもなさそうだ。家賃を除いたサービス価格は前月比+0.6%(12月:+0.6%)、また、大幅な減速が続いている医療ケアサービスを除いた場合のサービス価格も前月比+0.8%(12月:+0.7%)と、それぞれ鈍化の兆しが見られていない。
また、警戒されていた中古車価格は今回の1月CPIではむしろ減速となったわけだが、それにもかかわらず指標が全体的に上振れ傾向となったことはネガティブに捉えられる。このため、2月分以降への警戒感はくすぶることになろう。
次回の3月21-22日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)までの間に、米雇用統計と米CPIをそれぞれもう一回分確認することができるため、それまでは神経質な地合いが続くと想定しておいた方がよさそうだ。
他方、今週もまだ重要な予定が控えている。今晩の米国市場では、米1月の小売売上高と鉱工業生産が発表される。ともに前回の12月分は前月比でマイナス、市場予想を下振れたことで昨年末にかけては景気後退懸念が強まる経緯があった。今回はどちらも前月比でプラスへの回帰が予想されているが、年始から過度な景気後退懸念は既に和らいできているため、今回の指標のプラス回帰が景気動向に関して投資家心理に与える影響は小さいだろう。むしろ、景気の底堅さが意識されれば、利上げ長期化の思惑を強める可能性があるため、注意しておきたい。
さらに、16日にはCPIより先行性の高い米卸売物価指数(PPI)の1月分が発表される。PPIの結果を受けて改めてインフレ鈍化一服が意識される展開も想定しておいた方がよいだろう。
(仲村幸浩)
<AK>
日経平均;27491.51;-111.26TOPIX;1988.30;-4.79
[後場の投資戦略]
前日発表された米1月消費者物価指数(CPI)は総合で前年比+6.4%(12月:+6.5%)と小幅に鈍化も、予想(+6.2%)を上回った。食品・エネルギーを除いたコア指数も前年比+5.6%(前月:+5.7%)と僅かに鈍化も、予想(+5.5%)を上振れた。前月比では総合で+0.5%と予想(+0.5%)に一致も12月(+0.1%)からは加速。コア指数も前月比+0.4%と予想(+0.4%)一致にとどまったが、12月(+0.4%)と同様に加速が続き、モメンタムの鈍化は確認されなかった。
家賃などから構成され、CPIの約3分の1と最大の割合を占める住居費が前月比+0.7%(12月:+0.8%)となり、引き続きCPIの加速に寄与した。ただ、住居費より1年程先行する傾向のある米国の住宅価格指数は昨年4月頃にピークを打っているため、住居費の鈍化も時間の問題だろう。
一方、これまでCPI総合の鈍化に寄与してきたエネルギー価格が前月比+2.0%(12月:-3.1%)と3カ月ぶりに加速に転換。食料品も前月比+0.5%(12月:+0.4%)
とモメンタムに鈍化の兆しが見られず、インフレ懸念がくすぶる内容となった。サービス分野のインフレも、遅行性のある住居費が鈍化すれば問題解決かというと、そう簡単な話でもなさそうだ。家賃を除いたサービス価格は前月比+0.6%(12月:+0.6%)、また、大幅な減速が続いている医療ケアサービスを除いた場合のサービス価格も前月比+0.8%(12月:+0.7%)と、それぞれ鈍化の兆しが見られていない。
また、警戒されていた中古車価格は今回の1月CPIではむしろ減速となったわけだが、それにもかかわらず指標が全体的に上振れ傾向となったことはネガティブに捉えられる。このため、2月分以降への警戒感はくすぶることになろう。
次回の3月21-22日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)までの間に、米雇用統計と米CPIをそれぞれもう一回分確認することができるため、それまでは神経質な地合いが続くと想定しておいた方がよさそうだ。
他方、今週もまだ重要な予定が控えている。今晩の米国市場では、米1月の小売売上高と鉱工業生産が発表される。ともに前回の12月分は前月比でマイナス、市場予想を下振れたことで昨年末にかけては景気後退懸念が強まる経緯があった。今回はどちらも前月比でプラスへの回帰が予想されているが、年始から過度な景気後退懸念は既に和らいできているため、今回の指標のプラス回帰が景気動向に関して投資家心理に与える影響は小さいだろう。むしろ、景気の底堅さが意識されれば、利上げ長期化の思惑を強める可能性があるため、注意しておきたい。
さらに、16日にはCPIより先行性の高い米卸売物価指数(PPI)の1月分が発表される。PPIの結果を受けて改めてインフレ鈍化一服が意識される展開も想定しておいた方がよいだろう。
(仲村幸浩)
<AK>
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