後場の投資戦略
一部好決算が支えも米CPIに向けた警戒感が徐々に台頭
配信日時:2023/02/10 12:19
配信元:FISCO
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;27722.92;+138.57TOPIX;1992.13;+7.13
[後場の投資戦略]
強い米雇用統計が発表されて以降、FRB高官からのタカ派発言が連日で続いており、前日はリッチモンド連銀のバーキン総裁も継続的な利上げを主張。フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込むターミナルレート(政策金利の最終到達点)は5.15%と前の日から0.02ptほど上昇した。依然として年末にかけての1回の利下げ予想は残っているものの、12月の政策金利水準予想も4.86%へと徐々に切り上がってきた。
前日はブルームバーグ通信が、オプション市場で政策金利が6%に到達することを見込んだ大口ポジションが構築されていることを報じていた。さらに、その後、ブルームバーグ通信は、調査会社のマクロ・ハイブのストラテジストがインフレを完全に制御するには政策金利を約8%に引き上げなくてはならないと主張していることを伝えた。同報道によると、ラッカー前リッチモンド連銀総裁とプロッサー前フィラデルフィア連銀総裁も最近、インフレが現状のままと仮定すると年末までに6.5から8%の金利水準が推奨されることを主張していたという。
先週までターミナルレートは5%未満、年後半には2回の利下げまでを頑なに織り込んでいた市場の予想は大分FRBの主張に寄り始め、両者の乖離は縮小してきた。しかし、来週は14日に米1月消費者物価指数(CPI)が発表される予定で、これが要注意なイベントとなる。米CPIは食品・エネルギーを除くコア指数で前月比+0.3%が予想されているが、米クリーブランド連銀が公表しているCPIナウキャストでは同+0.46%(9日時点)と予想されている。仮に上振れとなると、これまでのインフレ鈍化を好感した動きも一服し、再びインフレ高止まり・利上げ長期化への懸念が高まりかねない。
前日は米2年債利回りが昨年11月以来の4.5%超えを一時見せたが、14日の米CPIが上振れれば、足元で3.67%にまで戻している米10年債利回りが再び4%を意識した上昇基調を強める可能性もある。アナリストの業績予想の下方修正が進む中での年始からの力強い株価上昇の要因はほとんど株価収益率(PER)の上昇で説明がつく。米CPI後に米10年債利回りが上昇基調を強め、実質金利も上昇となれば、年始から上昇した株価バリュエーションは再び調整を余儀なくされるだろう。
力強い動きが続いていた米株式市場も、S&P500種株価指数は前日にかけて2日連続の陰線を形成し、調整局面入りを示唆している。一方、米個人投資家協会(AAII)の週次調査によると、ブルベア・スプレッドはプラス12.5と、前週のマイナス4.7から上昇し、2022年4月以降で初めて強気に転じたという。ただ、こうしたセンチメント指標は逆バリの好機を示唆しているようにも捉えられ、この点からも目先は注意が必要な局面になってきたといえる。短期的には調整相場入りに警戒したい。
(仲村幸浩)
<AK>
日経平均;27722.92;+138.57TOPIX;1992.13;+7.13
[後場の投資戦略]
強い米雇用統計が発表されて以降、FRB高官からのタカ派発言が連日で続いており、前日はリッチモンド連銀のバーキン総裁も継続的な利上げを主張。フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込むターミナルレート(政策金利の最終到達点)は5.15%と前の日から0.02ptほど上昇した。依然として年末にかけての1回の利下げ予想は残っているものの、12月の政策金利水準予想も4.86%へと徐々に切り上がってきた。
前日はブルームバーグ通信が、オプション市場で政策金利が6%に到達することを見込んだ大口ポジションが構築されていることを報じていた。さらに、その後、ブルームバーグ通信は、調査会社のマクロ・ハイブのストラテジストがインフレを完全に制御するには政策金利を約8%に引き上げなくてはならないと主張していることを伝えた。同報道によると、ラッカー前リッチモンド連銀総裁とプロッサー前フィラデルフィア連銀総裁も最近、インフレが現状のままと仮定すると年末までに6.5から8%の金利水準が推奨されることを主張していたという。
先週までターミナルレートは5%未満、年後半には2回の利下げまでを頑なに織り込んでいた市場の予想は大分FRBの主張に寄り始め、両者の乖離は縮小してきた。しかし、来週は14日に米1月消費者物価指数(CPI)が発表される予定で、これが要注意なイベントとなる。米CPIは食品・エネルギーを除くコア指数で前月比+0.3%が予想されているが、米クリーブランド連銀が公表しているCPIナウキャストでは同+0.46%(9日時点)と予想されている。仮に上振れとなると、これまでのインフレ鈍化を好感した動きも一服し、再びインフレ高止まり・利上げ長期化への懸念が高まりかねない。
前日は米2年債利回りが昨年11月以来の4.5%超えを一時見せたが、14日の米CPIが上振れれば、足元で3.67%にまで戻している米10年債利回りが再び4%を意識した上昇基調を強める可能性もある。アナリストの業績予想の下方修正が進む中での年始からの力強い株価上昇の要因はほとんど株価収益率(PER)の上昇で説明がつく。米CPI後に米10年債利回りが上昇基調を強め、実質金利も上昇となれば、年始から上昇した株価バリュエーションは再び調整を余儀なくされるだろう。
力強い動きが続いていた米株式市場も、S&P500種株価指数は前日にかけて2日連続の陰線を形成し、調整局面入りを示唆している。一方、米個人投資家協会(AAII)の週次調査によると、ブルベア・スプレッドはプラス12.5と、前週のマイナス4.7から上昇し、2022年4月以降で初めて強気に転じたという。ただ、こうしたセンチメント指標は逆バリの好機を示唆しているようにも捉えられ、この点からも目先は注意が必要な局面になってきたといえる。短期的には調整相場入りに警戒したい。
(仲村幸浩)
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