後場の投資戦略
景気後退懸念くすぶる材料がちらほら
配信日時:2023/01/27 12:26
配信元:FISCO
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;27381.18;+18.43TOPIX;1979.85;+1.45
[後場の投資戦略]
前日の米株式市場は堅調な推移が続き、ハイテク株を中心に上昇。機関投資家がベンチマークとして使用する代表的なS&P500種株価指数は、日足チャートで5本連続の陽線を形成し、上値抵抗線だった200日移動平均線を超えてから、同線上での推移が4日目となった。過去の高値同士を結んだレジスタンスラインも超え、テクニカル的にはトレンド転換を示唆するかのような強さを見せている。
一方、本日の東京市場は米株高の追い風を素直に反映しきれず、主要株価指数は前日終値近辺でのもみ合いにとどまっている。日経平均が27500円を超えられずに伸び悩んでいるあたり、上値の重さが強く意識される。また、前日は電気自動車テスラが急伸するなど、米ハイテク・グロース株は好調だったが、本日のマザーズ先物も冴えない動き。ここのところの米金利低下や米株高の流れを追い風に、今週は上昇が続いてきたが、米連邦公開市場委員会(FOMC)を来週に控える中、さすがに様子見ムードが強まってきたか。
前日も米国市場では重要な経済指標や企業決算があったが、総じて景気後退懸念を残す内容となった。米国の10−12月期国内総生産(GDP)速報値は前期比年率+2.9%と市場予想(+2.6%)を上回ったものの、GDPの約7割を占める個人消費は同+2.1%と予想(+2.9%)を下回った。また、GDPから変動の大きい純輸出と在庫を除いた実質国内最終需要は、同+0.8%と、前四半期の+1.5%から大きく減速した。
ほか、好調が見込まれていた電子決済処理ネットワークのビザとクレジットカード大手のマスターカードの10−12月決算では、カード決済額が市場予想ほどには伸びず、こちらも個人消費の減速を懸念させる内容となった。
さらに、半導体大手インテルが10−12月期決算は、売上高が前年同期比−32%の大幅減収で、純損益は赤字に転落。PC用チップを扱うクライアントコンピューティング部門の売上高は同−36%だったが、こちらは民生向け市場の落ち込みからある程度は想定線である。ただ、データセンター部門の売上高も3割超える減収となったのはネガティブな印象が否めない。サーバー市場向けなどは年後半からは回復するとの見方を示しているようだが、1−3月期見通しも市場予想を大幅に下回る内容で、全体的に疑念が残る。
来週はFOMCが開催される。年内の利下げはないと主張する米連邦準備制度理事会(FRB)と、年後半の利下げを予想する市場との間の開きは依然として大きく、FOMC後のパウエル議長の会見などが攪乱材料となる可能性もあろう。日経平均の一段の上昇には新規の好材料が必要だろう。なお、本日引け後にはファナック<6954>、ミスミG<9962>、日立建機<6305>などの決算が予定されている。米国では12月個人消費支出(PCE)・個人所得、12月PCEコアデフレータのほか、アメリカン・エキスプレスなどの決算が予定されている。
(仲村幸浩)
<AK>
日経平均;27381.18;+18.43TOPIX;1979.85;+1.45
[後場の投資戦略]
前日の米株式市場は堅調な推移が続き、ハイテク株を中心に上昇。機関投資家がベンチマークとして使用する代表的なS&P500種株価指数は、日足チャートで5本連続の陽線を形成し、上値抵抗線だった200日移動平均線を超えてから、同線上での推移が4日目となった。過去の高値同士を結んだレジスタンスラインも超え、テクニカル的にはトレンド転換を示唆するかのような強さを見せている。
一方、本日の東京市場は米株高の追い風を素直に反映しきれず、主要株価指数は前日終値近辺でのもみ合いにとどまっている。日経平均が27500円を超えられずに伸び悩んでいるあたり、上値の重さが強く意識される。また、前日は電気自動車テスラが急伸するなど、米ハイテク・グロース株は好調だったが、本日のマザーズ先物も冴えない動き。ここのところの米金利低下や米株高の流れを追い風に、今週は上昇が続いてきたが、米連邦公開市場委員会(FOMC)を来週に控える中、さすがに様子見ムードが強まってきたか。
前日も米国市場では重要な経済指標や企業決算があったが、総じて景気後退懸念を残す内容となった。米国の10−12月期国内総生産(GDP)速報値は前期比年率+2.9%と市場予想(+2.6%)を上回ったものの、GDPの約7割を占める個人消費は同+2.1%と予想(+2.9%)を下回った。また、GDPから変動の大きい純輸出と在庫を除いた実質国内最終需要は、同+0.8%と、前四半期の+1.5%から大きく減速した。
ほか、好調が見込まれていた電子決済処理ネットワークのビザとクレジットカード大手のマスターカードの10−12月決算では、カード決済額が市場予想ほどには伸びず、こちらも個人消費の減速を懸念させる内容となった。
さらに、半導体大手インテルが10−12月期決算は、売上高が前年同期比−32%の大幅減収で、純損益は赤字に転落。PC用チップを扱うクライアントコンピューティング部門の売上高は同−36%だったが、こちらは民生向け市場の落ち込みからある程度は想定線である。ただ、データセンター部門の売上高も3割超える減収となったのはネガティブな印象が否めない。サーバー市場向けなどは年後半からは回復するとの見方を示しているようだが、1−3月期見通しも市場予想を大幅に下回る内容で、全体的に疑念が残る。
来週はFOMCが開催される。年内の利下げはないと主張する米連邦準備制度理事会(FRB)と、年後半の利下げを予想する市場との間の開きは依然として大きく、FOMC後のパウエル議長の会見などが攪乱材料となる可能性もあろう。日経平均の一段の上昇には新規の好材料が必要だろう。なお、本日引け後にはファナック<6954>、ミスミG<9962>、日立建機<6305>などの決算が予定されている。米国では12月個人消費支出(PCE)・個人所得、12月PCEコアデフレータのほか、アメリカン・エキスプレスなどの決算が予定されている。
(仲村幸浩)
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