NY市場サマリー(18日)ドル上昇・利回り低下、株下落
[18日 ロイター] -
<為替> 不安定な展開となる中、ドルが主要通貨に対し上昇。米連邦準備理事会(FRB)当局者のタカ派発言を受け、リスク心理が悪化する中、安全資産としてのドルへの投資妙味が強まった。
ただ、アナリストの間ではドルはすでにピークに達しているという見方は根強い。コンベラのシニアマーケットアナリスト、ジョー・マニンボ氏は「米インフレおよびFRBの政策を巡る見通しはともに弱含んでおり、ドルの低迷は続くだろう」とし、「市場が今年後半の米利下げリスクを織り込んでいる限り、ドルの下落基調が続く公算が大きい」と述べた。
クリーブランド地区連銀のメスター総裁は、FRBがインフレ抑制に向け、政策金利を5.00─5.25%のレンジを「やや」上回る水準に引き上げる必要があると述べた。
セントルイス地区連銀のブラード総裁は、利上げ打ち止め前に政策金利を「可能な限り迅速に」5%を上回る水準に引き上げるべきと述べた。
朝方発表された一連の米指標が低調な内容となり、利上げサイクル停止が迫っているという見方から、ドルは一時全面安となった。
米商務省が18日発表した昨年12月の米小売売上高(季節調整済み)は前月比1.1%減り、2カ月連続で減った。ロイターがまとめた市場予想の0.8%を超える落ち込みとなった。
また、12月の米卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.5%下落と市場予想(0.1%下落)以上の落ち込みとなった。エネルギーと食品の価格が下落した。
12月の鉱工業生産指数も製造業生産指数が1.3%低下し、ロイターがまとめたエコノミスト予想(0.3%低下)を超える大幅な低下となった。
日銀は17―18日に開いた金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決定したことを受け、金融市場は円安・株高・債券高(金利低下)方向に動いた。
ドル/円は最大2.7%上昇し、131.58円を付けた。その後は上げ幅を縮小し、終盤は0.6%高の128.825円。
米ドルはリスクに敏感な豪ドルやニュージーランドドル、カナダドルに対し上昇。
豪ドルは一時昨年8月以来の高値を付けた後、0.7%安の0.6936米ドル。NZドルも1カ月ぶり高値を更新した後、横ばいの0.6430米ドル。米ドル/カナダドルは0.8%高の1.3497カナダドル。
ユーロ/ドルはほぼ変わらずの1.0790ドル。欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのビルロワドガロー仏中銀総裁は、インフレとの戦いは終わっておらず、今後数カ月で大幅利上げを行うとのガイダンスに変更はないと述べた。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 利回りが4カ月ぶりの水準に低下した。2022年12月の米小売売上高が予想以上に減少したことや、日銀が18日まで開催した政策決定会合で政策の現状維持を決めたことが背景。
12月の小売売上高(季節調整済み)は前月比1.1%減。減少率は市場予想の0.8%より大きく、個人消費や経済全体が弱含んでいることを示した。
12月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)も前月比0.5%下落と市場予想(0.1%下落)以上の落ち込みとなった。
FRBの地区連銀経済報告(ベージュブック)でも、インフレ圧力と労働力不足が緩和される兆候が見られた。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む同金利のピークは、6月時点で4.87%まで低下した。この日の経済指標発表前には4.90%だった。12月には4.34%に低下すると予想されている。
指標10年債利回りは9月13日以来の低水準となる3.372%まで低下した。2年債利回りは4.072%と10月4日以来の低水準を付けた。
2・10年債の利回り格差はマイナス70ベーシスポイント(bp)。
日銀金融政策決定会合の結果を受け、序盤から利回りは低下していた。日銀がYCC(イールドカーブ・コントロール)を解除すれば、日本国債の利回りが一段と上昇し、米国債からの資金流出が発生する可能性が指摘されていた。
米財務省がこの日実施した120億ドルの20年国債には旺盛な需要があった。最高落札利回りは3.678%と、入札前取引を2bp超下回った。
19日には170億ドルの10年物インフレ指数連動債(TIPS)入札が行われる。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 主要株価指数が下落して引けた。弱い経済指標やタカ派的なFRB当局者発言を受けて、FRBの金融引き締め継続により景気が後退するとの懸念が強まった。
取引開始前に発表された12月の米小売売上高と米卸売物価指数は予想以上の落ち込みとなった。12月の米鉱工業生産も市場予想を下回った。
米セントルイス地区連銀のブラード総裁と米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は、インフレを抑制するためには、政策金利を5%を超える水準に引き上げる必要があるとの認識を示した。
米株式相場は年明けから戻りを試す展開が続いていたため、投資家は弱い経済指標を利益確定の売りを出す機会と捉えたとの指摘がある。
ナスダック総合株価指数は8営業日ぶりに反落した。S&P総合500種とダウ工業株30種の下落率は12月15日以来の大きさとなった。
IBMは下落。アナリストが投資判断を引き下げたことを受けた。
バイオ医薬品大手モデルナは3.3%上昇。同社は前日、RSウイルスワクチンの有効性を実証するデータを発表した。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 米利上げ減速観測を背景に買いが先行したものの、あと利益確定の売りに押され、小幅続落した。中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前日比2.90ドル(0.15%)安の1オンス=1907.00ドルとなった。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 米株安をきっかけに利益確定の売りが先行し、9営業日ぶりに反落した。米国産標準油種WTIの中心限月2月物は前日清算値(終値に相当)比0.70ドル(0.87%)安の1バレル=79.48ドルだった。3月物は0.65ドル安の79.80ドル。
相場は前日まで8営業日続伸していた反動から利益確定の売りが出やすかった。米株式相場が下げに転じたことで、投資家のリスク回避姿勢が広がり、原油にも追随売りが広がった。
一方、国際エネルギー機関(IEA)は18日発表した月報で、中国での厳格な新型コロナウイルス規制が解除されたことを受け、2023年の世界の石油需要が過去最高を更新するとの見通しを示した。また翌19日に発表が予定される米エネルギー情報局(EIA)の週間在庫統計で在庫の取り崩しが予想されていることも追い風となり、相場は朝方、プラス圏で推移。一時82ドルを上回る水準で取引される場面があった。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 128.88/128.91
始値 128.99
高値 129.24
安値 127.58
ユーロ/ドル NY終値 1.0792/1.0796
始値 1.0814
高値 1.0887
安値 1.0788
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 108*13.50 3.5403%
前営業日終値 106*11.50 3.6480%
10年債(指標銘柄) 17時05分 106*07.50 3.3734%
前営業日終値 104*27.50 3.5350%
5年債(指標銘柄) 17時05分 101*31.00 3.4385%
前営業日終値 101*06.25 3.6090%
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*09.75 4.0846%
前営業日終値 100*03.38 4.1920%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 33296.96 -613.89 -1.81
前営業日終値 33910.85
ナスダック総合 10957.01 -138.10 -1.24
前営業日終値 11095.11
S&P総合500種 3928.86 -62.11 -1.56
前営業日終値 3990.97
COMEX金 2月限 1907.0 ‐2.9
前営業日終値 1909.9
COMEX銀 3月限 2364.7 ‐42.1
前営業日終値 2406.8
北海ブレント 3月限 84.98 ‐0.94
前営業日終値 85.92
米WTI先物 2月限 79.48 ‐0.70
前営業日終値 80.18
CRB商品指数 276.1319 ‐1.0881
前営業日終値 277.2200