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中国指標:識者はこうみる

配信日時:2023/01/17 13:20 配信元:REUTERS

[17日 ロイター] - 中国国家統計局が17日発表した2022年第4・四半期の国内総生産(GDP)伸び率は前年比2.9%と、市場予想の1.8%を上回った。ただ、厳格な新型コロナウイルス規制が響き、前期の3.9%から減速した。12月の鉱工業生産は1.3%増で11月の2.2%増から鈍化した。アナリスト予想は0.2%増。小売売上高は1.8%減で11月の5.9%に続きマイナスだった。アナリスト予想は8.6%減だった。市場関係者の見方は以下の通り。

●第4四半期GDP、インフレが影響か

<MUFG銀行(中国)の金融市場担当チーフアナリスト、マルコ・サン氏>

第4・四半期と通年の国内総生産(GDP)伸び率は予想を上回った。ただ、前四半期比の成長率はゼロだった。このため、第4・四半期の予想を上回る経済成長率はインフレの影響かもしれない。

●最大のサプライズは小売売上高

<ING(香港)の大中華圏担当エコノミスト、アイリス・パン氏>

最大のサプライズは小売売上高で、予想を大幅に上回った。第1・四半期は小売売上高が急増し、国内総生産(GDP)も増加する可能性がある。

新型コロナウイルスの流行は年内に収束するだろうが、外需の低迷が中国の新たな課題になる。外部要因のため、金融政策はあまり助けにならない。残された政策は財政だけで、今年は強力なインフラ支援が予想される。

●12月に底入れか、人口動態が逆風に

<上海保銀投資管理(ピンポイント・アセット・マネジメント)のチーフエコノミスト、張智威氏>

中国経済は12月に底入れした可能性が高い。新型コロナウイルス流行の第一波は予想よりかなり早く起きた。多くの都市では第一波のピークがすでに過ぎたとみられる。

交通渋滞指数など高頻度指標は1月に急回復している。移動の正常化で消費回復も進んでいる。

中国の人口は1961年以降初めて減少した。今後数年、減少傾向が続くだろう。これは非常に重要で、潜在成長率と内需に影響する。構造的な経済成長要因として人口ボーナスに依存できない。

今後は人口動態が逆風になる。経済成長は生産性向上への依存度を上げる必要がある。これは政府の政策に左右される。

●3月から統計は予想以上に改善へ

<オックスフォード・エコノミクスのシニアエコノミスト、ルイーズ・ルー氏>

2022年末にかけて打ち出された政策支援が比較的底固いインフラ投資や与信の伸びに表れ、安定の兆しが見られることが朗報だ。さらに良いことに、23年に入っても財政以外のルートで政策緩和が続いている。

今後数カ月に出てくる統計は新年に関連した季節要因の影響を受けるため、回復の正確な状況を把握するのは依然難しい。

3月以降は統計がおおむね予想を上振れると予想する。移動や交通の関する指標は暫定的な回復の兆候を示し、今四半期から成長が前期比で上向くというわれわれの予想を補強している。

●回復は第2四半期に加速へ

<UOBのエコノミスト、WOEI CHEN HO氏>

第4・四半期の成長率は当社予想(2.2%)を上回り、12月の各指標も全般に同様だった。第1・四半期に回復の勢いが強まることを示唆している。

新型コロナウイルスの集団免疫を獲得し、回復は第2・四半期に加速するだろう。経済活動のさらなる正常化と個人消費のⅤ字回復も期待される。

主要先進国の景気後退リスクで海外見通しは依然慎重なため、内需の強まりが今年の中国経済の成長をけん引するだろう。

●予想上回る、市場の関心は春節後の統計に

<みずほ銀行(香港)のアジア通貨担当チーフストラテジスト、ケン・チュン氏>

中国の指標は全体として予想ほど悪くなかった。ロックダウン(都市封鎖)と大規模感染に伴う混乱が予想ほど深刻ではなかった。

市場の関心は今年の景気回復、特に春節休暇後のデータに移っており、予想ほど悪くなかった今回の指標は、人民元の押し上げに寄与しなかった。

12月の指標については、新型コロナウイルス流行に伴うゆがみや、この時期のデータ収集の際の統計上のミスで、懐疑的な見方も出るかもしれない。

今回の指標の影響は長続きせず、人民元は目先、ドルの動きの方に左右されるだろう。

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