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自動車総連、企業内最低賃金5000円以上要求 ベアは5年連続掲げず

配信日時:2023/01/12 19:34 配信元:REUTERS

[12日 ロイター] - 自動車メーカーなどの労働組合で構成する自動車総連は12日、2023年春闘の統一要求として基本給を底上げするベースアップ(ベア)は掲げず、企業内最低賃金を昨年から5000円以上引き上げる方針を決めた。上げ幅は直近の約10年間で過去最大となる。人材確保の必要性や、急激な物価上昇が続く中で生活水準の維持を訴える。

ベアの要求額目標を掲げないのは5年連続。各労働組合がそれぞれの事情に合わせて要求額を柔軟に決められるようにし、中小企業と大手企業との賃金格差是正を目指す。

自動車総連はこの日、熊本市で中央委員会を開き、要求方針を決定した。企業内最低賃金とは、労使が協定を結び、同じ職場で働く人すべてに適用される最低賃金で、今回の統一要求額は18歳以上で月収17万3000円以上とする。組合員は約79万人。

金子晃浩会長は、人手不足の状況が続けばサプライチェーン(供給網)自体の維持が困難になる恐れがあるとし、賃上げは「自動車産業の魅力向上につながり、人材確保につながる」と述べた。また、歴史的な物価高で生活者の負担が大きくなっており、「具体的な要求に十分に反映させる必要がある」と話した。

岸田文雄政権はインフレ率以上の賃上げを経済界に求め、経団連の十倉雅和会長も「企業の責務」と応じるなど、賃上げの機運は例年以上に高まっている。特に裾野が広い自動車産業の労使交渉は注目されている。

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