NY市場サマリー(9日)ドル/ユーロが7カ月ぶり安値、国債価格上昇 利上げ鈍化期待
[9日 ロイター] -
<為替> ドルが対ユーロで7カ月ぶりの安値を付けた。直近で発表された経済指標を受け、米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースが鈍化するとの見方が強まった。一方、中国の国境再開を背景にリスク通貨に資金が流入した。
ユーロ/ドルは0.96%高の1.0747ドルと6月9日以来の高値を付けた。前週末6日には1.17%上昇していた。
ポンド/ドルは0.87%高の1.21975ドル。6日は1.5%高だった。スイスフランは対ドルで0.82%上昇の0.92フランと3月上旬以来の高値を付けた。
先週6日に発表された2つの経済指標は全体的な活動が景気後退に傾いていることを示唆。米雇用統計では雇用者数の伸びが予想を上回る一方で賃金の伸びが鈍化したほか、米供給管理協会(ISM)が発表した2022年12月の非製造業総合指数(NMI)は20年5月以来2年7カ月ぶりに50を割り込んだ。
ドル指数は0.81%安の103.033と7カ月ぶりの安値。6日は1.15%安だった。
12日に発表される米消費者物価指数(CPI)が注目されており、「インフレ圧力の一段の緩和が予想されるものの、幅広い改善でなければ、投資家の神経を逆なでし、FRBの対応が引き続き求められる」(バンクレートのチーフ・ファイナンシャル・アナリスト、グレッグ・マクブライド氏)という。
一方、中国は8日、新型コロナウイルス感染対策の入国時の隔離義務を撤廃。香港からの入境時の隔離も廃止し、昨年12月から段階的に緩和してきたゼロコロナ政策が事実上終了した。
これを受け、オフショア人民元は対ドルで5カ月ぶりの高値を付けた。
豪ドル/米ドルは0.8%高の0.69305米ドルと8月30日以来の高値。ニュージーランドドル/米ドルは0.45%高の0.6378米ドルだった。
<債券> 米金利上昇ペース減速への期待から国債価格が上昇した。10日に予定されるパウエルFRB議長の発言が注目される。
パウエル議長はスウェーデン中銀主催の中銀の独立性に関する討論会に出席し、インフレが抑制されていると確認するには一段の時間が必要という見解を示す可能性がある。一方、12日に発表される米消費者物価指数(CPI)はインフレがFRBの目標である2%に向け低下しているという市場の見方を支える内容となる可能性がある。
先週末発表された2022年12月の米雇用統計では、雇用者数が増加し失業率も改善。同時に、時間当たり平均賃金は前月比、前年比ともに伸びが鈍化した。また、米供給管理協会(ISM)が発表した12月の非製造業総合指数(NMI)は49.6と20年5月以来、2年7カ月ぶりに節目の50を割り込んだ。
RBCグローバル・アセット・マネジメントでブルーベイ米債チームを率いるアンドレイ・スキバ氏は、「市場ではFRBが長期間にわたり金利を高水準に維持することに懐疑的な見方と、FRBがインフレ低下と低調な経済指標を踏まえ、下期のいずれかの時点で利下げに転じるという期待の綱引きになっている」と指摘。同時に、FRBが金利のピークが年内に5%を超える可能性を示す半面、指標となる10年債利回りが3.6%を下抜けている状況について、市場の動きは過度に速く、行き過ぎの可能性があると述べた。
アトランタ地区連銀のボスティック総裁は9日、金利を「24年まで」高水準で維持する必要があるという認識を改めて示した。
終盤の取引で、10年債利回りは3.9ベーシスポイント(bp)低下し、3.532%。
2年債利回りは5.7bp低下の4.204%。
3カ月物証券と10年債の利回り差は一時マイナス136.10と、逆転幅は過去最大となった。終盤はマイナス108.5だった。
30年債利回りは2.6bp低下の3.666%。
米財務省は今週、総額900億ドルの国債入札を実施する。10日は400億ドルの3年債、11日は320億ドルの10年債、12日は180億ドルの30年債の入札が行われる。
<株式> S&P総合500種がほぼ横ばいで取引を終了した。FRBの利上げ減速観測で日中は上昇したが、インフレへの警戒が根強く終盤にかけて伸び悩んだ。
ダウ工業株30種は小反落し、ナスダック総合は続伸したが、午後に上げ幅を縮小した。
市場参加者は10日にスウェーデンで開かれるイベントでのパウエルFRB議長の発言に注目している。インフレ抑制で成果を上げるまでにはなお時間を要するとの見解を示すとの予想も一部で聞かれた。
キングスビュー・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ポール・ノルテ氏は、12日の米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、市場がこのところ急伸した反動で「利益を確定する売りが多少出た」と指摘。
先週末発表の12月の米雇用統計では賃金上昇率が鈍化し、FRBが金融引き締めを鈍化させるとの期待が広がった。
S&P業種別指数の中では情報技術が米国債利回りの低下を受けて買いを集めた。
一般消費財も上昇。アマゾンは、ジェフリーズが今年下半期にコスト上昇圧力が和らぐとの見方を示したことを受け、値を上げた。
市場参加者は、今週始まる米銀行大手の2022年第4・四半期決算発表にも注目している。
テスラは中国で「モデルY」の一部車種の納車待ちが長くなっていることが示されたことを受け、上昇。値下げが需要を刺激した可能性がある。
百貨店大手メーシーズとスポーツ衣料大手ルルレモン・アスレティカは年末商戦を含む四半期について低調な見通しを示したため、売りに押された。
<金先物> ドル下落に伴う割安感を受けた買いに支えられ、続伸した。中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前週末比8.10ドル(0.43%)高の1オンス=1877.80ドル。
金相場は一時1885ドル台まで上昇した後、頭重い展開。買い一巡後はポジション調整の売りに上げ幅を一部縮小した。
<米原油先物> 中国の防疫対策緩和に伴う需要拡大期待を受けて買われ、3営業日続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月2月物の清算値(終値に相当)は、前週末比0.86ドル(1.17%)高の1バレル=74.63ドル。3月物は0.88ドル高の74.92ドルだった。
ドル/円 NY終値 131.88/131.89
始値 132.51
高値 132.51
安値 131.54
ユーロ/ドル NY終値 1.0728/1.0732
始値 1.0682
高値 1.0760
安値 1.0681
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 106*10.00 3.6508%
前営業日終値 105*17.00 3.6920%
10年債(指標銘柄) 17時05分 104*30.00 3.5266%
前営業日終値 104*18.00 3.5710%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*30.00 3.6668%
前営業日終値 100*23.25 3.7140%
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*02.50 4.2077%
前営業日終値 99*31.38 4.2600%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 33517.65 -112.96 -0.34
前営業日終値 33630.61
ナスダック総合 10635.65 +66.36 +0.63
前営業日終値 10569.29
S&P総合500種 3892.09 -2.99 -0.08
前営業日終値 3895.08
COMEX金 2月限 1877.8 +8.1
前営業日終値 1869.7
COMEX銀 3月限 2387.1 ‐11.1
前営業日終値 2398.2
北海ブレント 3月限 79.65 +1.08
前営業日終値 78.57
米WTI先物 2月限 74.63 +0.86
前営業日終値 73.77
CRB商品指数 268.6366 +3.8145
前営業日終値 264.8221