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インタビュー:マイナス金利解除なら収益貢献、JGBポート構築これから=みずほFG社長

配信日時:2023/01/05 17:21 配信元:REUTERS

[東京 5日 ロイター] - みずほフィナンシャルグループの木原正裕社長は5日、ロイターとのインタビューで、日銀がマイナス金利解除に動けば収益には「絶対にプラス」と述べた。ただ、日銀がマイナス金利解除に動くかどうかは見極められない段階にあり、日本国債(JGB)のポートフォリオをどうするかは「これから考えていく」とし、慎重な姿勢を示した。

日銀は昨年12月、金融政策の修正に踏み切り、長期金利誘導目標の上限を0.5%に引き上げた。収益拡大期待から、メガバンクの株価は上昇したが、木原社長は「マイナス金利解除ではないため、影響はほとんどない」と話した。

同社は、昨年9月以降「JGBのポートフォリオはほとんどポジションを閉めていた。今回、無傷だった」という。日銀が動き出したことで、新たなポジションを構築するかどうかについては「これから考えていく。今のところ何も動いていない」とした。

マイナス金利解除の可能性については「日銀は物価の状況を当然見るだろう。依然として需給ギャップはある。物価高に追い付くような賃金上昇になっていくかもある。一方で、昨今の価格の上昇を見ていると、必ずしも一過性とは言えないとも解釈できる」とし、現時点では「分からない」と述べるにとどめ、まだ、ポジション構築には動かないと述べた。

<アジアではデジタル企業に投資>

重点分野のひとつであるアジアでの事業展開について、木原社長は「キャピタルマーケットのビジネスをどうしていくか。アジアでのケイパビリティ(組織的能力)を作り上げているところ」と述べたほか、引き続き、デジタルでの金融サービス提供を強化する方針を示した。

これまで、ベトナム最大手デジタル決済事業会社Mサービス、フィリピンでデジタル銀行を展開するトニック・フィナンシャルに出資してきた。新たな国でサービスを展開する場合、「地場に根差したデジタル企業に対して投資していくのが一番」とし、今年以降も投資案件は「出てくる。今でも検討しているものもある」と、積極的な姿勢を示した。ただ、こうした企業やサービスは成長途上にあるため、「100%買収するということではないと思う。20―30%前後の出資で、どこまで成長していくかを一緒になって見極めていく」と述べた。

東南アジアや米国といった海外展開については、みずほFG以外のメガバンクもロイターとのインタビューで、積極的に取り組む姿勢を明らかにしている。

三菱UFJフィナンシャル・グループの亀澤宏規社長は、同社のアジア戦略は第2段階にあるとし、これまで築いた拠点をさらなる買収や出資で面に変え、4―5年かけて成長を取り込む考えを示した。

また、三井住友フィナンシャルグループの太田純社長は、2021年に資本・業務提携した米証券会社ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループとの連携を米国のみならず、アジアや欧州に広げる意向を示した。

(清水律子)

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