Reuters Japan Online Report Business News

NY市場サマリー(23日)ドル下落、株反発 国債利回り上昇

配信日時:2022/12/24 07:26 配信元:REUTERS

[23日 ロイター] - <為替> 薄商いで不安定な地合いの中、ドルが大半の通貨に対して下落した。米経済がやや冷え込んでいることを示す経済指標を受け、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ幅縮小への期待が強まり、投資家のリスク選好度が改善した。

米商務省が23日発表した11月の個人消費支出(PCE)価格指数は前月比0.1%上昇。10月は0.4%上昇していた。11月の前年同月比伸び率は5.5%と、10月の6.1%から鈍化し、2021年10月以来の小幅な伸びとなった。

変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は11月の前月比上昇率が0.2%と、10月の0.3%から鈍化。11月の前年同月比伸び率は4.7%と、10月の5.0%から縮小。同様に21年10月以来の小幅な伸びだった。

この日はS&P総合500種とダウ工業株30種がともに上昇。豪ドル、ニュージーランドドル、カナダドルなど、リスク心理に大きく左右されるコモディティー通貨もドルに対して上昇した。安全資産である国債も売られ、利回りを上昇した。

クラリティFX(サンフランシスコ)のエグゼクティブディレクター、アモ・サホタ氏は「株価はきょう、やや落ち着きを取り戻している。パニックはないようだ」と指摘。「インフレ指標は十分な速さではないものの正しい方向に向かっているし、米経済の成長も大幅に妨げられているわけではない。まだ緩やかなペースで成長しており、経済の息の根が止まることはまだない」と述べた。

ユーロ/ドルは0.2%高の1.0619ドル。週間では0.4%上昇した。上昇は2週連続。

豪ドル/米ドルは0.4%高の0.6710米ドル。ニュージーランドドル/米ドルは0.7%高の0.6288米ドル。米ドル/カナダドルは0.4%安の1.3590カナダドル。

一方、ドル/円は0.4%高の132.82円だった。

米商務省が23日に発表した11月の耐久財受注統計で、民間設備投資の先行指標とされるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注は前月より0.2%増と、伸び率は10月の0.3%から鈍化した。国内総生産(GDP)で設備投資の算出に用いられるコア資本財の出荷は11月に0.1%減り、10月の1.4%増からマイナスに転じた。

米ミシガン大学が23日発表した12月の1年先の期待インフレ率(確報値)は4.4%と速報値の4.6%から下方修正され、2021年6月以来1年6カ月ぶりの低水準となった。

ドル指数は104.35と横ばいだった。

<債券> 米債利回りが上昇した。11月の個人所得が予想を上回ったほか、10月のインフレ指標が上方修正されたことを受け、高止まりするインフレ圧力に対抗するため米連邦準備理事会(FRB)が利上げを継続するとの見方が強まった。

11月の個人所得は0.4%増とエコノミスト予想の0.3%増を上回った。

11月の個人消費支出(PCE)価格指数は前月比0.1%上昇。10月の上昇率は0.3%から0.4%に上方修正された。11月の前年同月比伸び率は5.5%と、10月の6.1%から鈍化した。

11月のPCEは前月比0.1%増加と、小幅な増加にとどまったが、10月分は0.8%増から0.9%増に上方修正された。

クレジットサイツのシニア投資適格ストラテジスト、ザカリー・グリフィス氏は「ちょっとした上向きのサプライズがあった」と指摘。ただ「インフレが冷え込み始めたという見方は引き続き健在で、今回の指標によってFRBが2023年に少なくとももう少し引き締めなければならないという見解が変わるとは思えない」と述べた。

米ミシガン大学が23日発表した12月の1年先の期待インフレ率(確報値)は4.4%と速報値の4.6%から下方修正され、2021年6月以来1年6カ月ぶりの低水準となった。

指標10年債利回りは9ベーシスポイント(bp)上昇の3.749%。2年債利回りは7bp上昇の4.330%。

2・10年債の利回り格差はマイナス幅が約2bp縮小しマイナス58bpとなった。

23日の米債市場は午後2時までの短縮取引。週明け26日は休場となる。

<株式> インフレ指標の結果と利上げ見通しを見極めようとする動きが続く中、上昇して終了した。原油高を受けエネルギー株が急伸したことも押し上げ要因になった。

商務省発表の11月の個人消費支出(PCE)は前月比0.1%増加。ロイターがまとめたエコノミスト予想でPCEは0.2%増だった。

前日の取引では株価は急落。第3・四半期の実質国内総生産(GDP)確報値が年率換算で前期比3.2%増と、改定値の2.9%増から上方修正されたことを受け、米連邦準備理事会(FRB)の利上げが長期化し、景気後退(リセション)が引き起こされるのではないかとの懸念が出たことが背景だった。

ただ、TDアメリトレード(イリノイ州シカゴ)のヘッドトレーディングストラテジスト、ショーン・クルーズ氏は、この日発表のPCEはほぼ予想通りの結果となり、今のところは前日に出たような懸念は緩和されていると指摘。ただ、経済情勢と企業業績に影響が及ぶため、FRBが来年はどのような政策を取るか市場は神経質になっているとの見方を示した。

週間ではS&P総合500種とナスダック総合が3週間続落。ダウ工業株30種は0.9%上昇した。上昇は過去3週間で初めて。

TDアメリトレードのクルーズ氏は、前日から商いが細っているため、値動きが拡大されている可能性があると指摘。特にこの日は3連休を控え売買高が大幅に減少した。

個別銘柄では電気自動車(EV)大手テスラが約2年ぶり高値を更新。イーロン・マスク最高経営任者(CEO)は前日、今後2年間テスラ株を売却しないと表明した。

ダウ・ジョーンズを傘下に持つメディア大手ニューズ・コーポレーションは2.8%高。ブルームバーグLPを所有する実業家マイケル・ブルームバーグ氏が米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)を発行するダウ・ジョーンズか米紙ワシントン・ポストの買収に関心を示していることが分かった。

このほか、ロシアの減産示唆を受け原油価格が上昇し、エネルギー株に買いが入った。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を2.06対1の比率で上回った。ナスダックでも1.09対1で値上がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は77億5000万株。直近20営業日の平均は114億1000万株。

<金先物> 米インフレ指標の伸び率鈍化を受けて買いが優勢となり、反発した。中心限月2 月物の清算値(終値に相当)は前日比8.90ドル(0.50%)高の1オンス=1804.20ドル。

<米原油先物> クリスマスの連休を控えて薄商いの中、ロシア産原油の供給先細りを懸念した買いに反発した。米国産標準油種WTIの中心限月2月物は前日清算値(終値に相当)比2.07ドル(2.67%)高の1バレル=79.56ドルだった。3月物は2.22ドル高の79.64ドル。

ドル/円 NY終値 132.79/132.82

始値 132.7

高値 133.14

安値 132.55

ユーロ/ドル NY終値 1.0614/1.0618

始値 1.0612

高値 1.0632

安値 1.0593

米東部時間

30年債(指標銘柄) 14時30分 103*02.00 3.8269%

前営業日終値 104*30.50 3.7240%

10年債(指標銘柄) 14時30分 103*02.00 3.7509%

前営業日終値 103*23.50 3.6710%

5年債(指標銘柄) 14時30分 100*01.75 3.8622%

前営業日終値 100*12.50 3.7870%

2年債(指標銘柄) 14時29分 100*10.00 4.3275%

前営業日終値 100*13.75 4.2650%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 33203.93 +176.44 +0.53

前営業日終値 33027.49

ナスダック総合 10497.86 +21.74 +0.21

前営業日終値 10476.12

S&P総合500種 3844.82 +22.43 +0.59

前営業日終値 3822.39

COMEX金 2月限 1804.2 +8.9

前営業日終値 1795.3

COMEX銀 3月限 2392.0 +29.8

前営業日終値 2362.2

北海ブレント 2月限 83.92 +2.94

前営業日終値 80.98

米WTI先物 2月限 79.56 +2.07

前営業日終値 77.49

CRB商品指数 278.1068 +4.4640

前営業日終値 273.6428

ニュースカテゴリ