NY市場サマリー(16日)ドル上昇、株式3日続落 債券まちまち
[16日 ロイター] -
<為替> 不安定な値動きとなる中、ドルが上昇。米連邦準備理事会(FRB)が当面利上げを継続するとの観測を背景に、リスク選好の動きが後退した。
シルバー・ゴールド・ブルのFX・貴金属リスクマネジメントディレクター、エリック・ブレガー氏は、今週はFRBと欧州中央銀行(ECB)のタカ派的行動を受けリスク選好度が低下し、ドルの買いが膨らんでいると指摘。「ドルがピークに達したかどうかはまだ分からないが、年末年始にかけリスクオフが継続すれば、ドルが上向き、その勢いは少なくとも向こう1━2週間続くだろう」と述べた。
終盤の取引で、主要通貨に対するドル指数は0.2%高の104.74。
米S&Pグローバルが16日発表した12月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値が44.6と、前月から低下し、6カ月連続で景気拡大・縮小の節目となる50を下回ったことを受け、ドルは一時下落する場面もあった。
ポンド/ドルは0.2%安の1.2157ドル。
ユーロ/ドルは0.3%安の1.0595ドルだった。
ドル/円は0.8%安の136.67円。
FRBは今週の連邦公開市場委員会(FOMC)で、0.5%ポイント利上げを決定。同時に発表された新たな金利見通しでは、23年のFF金利予想中央値が5.1%となり、少なくとも0.75%ポイントの追加利上げが実施されることを示唆した。
ECBも前日の理事会で0.5%の利上げに踏み切り、利上げ継続を示唆した。
米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は16日、FRBが来年、予想以上に政策金利を引き上げる可能性があるという見解を示した。また、米国が景気後退に陥るとは想定していないとも述べた。
リスクに敏感な豪ドルは0.2%安の0.6687米ドル。一方、ニュージーランドドルは0.7%高の0.6383米ドル。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 不安定な取引の中、国債利回りはまちまちの動きを示した。長期債利回りは世界的な動きに連動して上昇した一方、短期債利回りは米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締め長期化を示唆したものの低下した。
市場関係者は年末年始を控え商いが細り始めていることから、相場のボラティリティーが増しているとの見方を示している。
終盤の取引で10年債利回りは3ベーシスポイント(bp)上昇の3.48%。30年債利回りは4bp上昇の3.533%。
一方、2年債利回りは約6bp低下の4.182%。
DWSグループの北米債券部門責任者、グレッグ・ステイプルズ氏は「今日は金曜日であることに加え、ホリデーシーズンを控え、取引はかなり薄くなっている」と指摘。「米市場では、欧州で起きていることが今日になって認識された可能性がある」とも述べた。
世界の主要中央銀行が利上げを決定し、インフレ対応はまだ終わっていないとの見解を示したことで、この日の取引では世界的に債券が売り圧力にさらされた。
FRBは13─14日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、0.50%ポイントの利上げを決定。これに続き欧州中央銀行(ECB)も15日の理事会で0.50%ポイント利上げを決定した。利上げ幅は共に0.75%から縮小したが、共に利上げ継続が必要との見方を示した。
この日発表の経済指標では、米S&Pグローバルの12月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値が44.6と、11月の確定値の46.4から低下した。ロイターがまとめたエコノミスト予想は47.0だった。
経済が弱体化すればFRBが当局者の予測よりも早く利下げを開始する可能性があるとの観測が裏付けられたことで、同指数の発表を受け国債利回りが3─4bp低下する場面もあった。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 3日続落して取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)によるインフレ抑制策が景気を後退させるとの懸念が強まった。週間ベースでも2週連続のマイナスとなった。
この日発言したFRB幹部のコメントも懸念をあおった。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、FRBが来年、予想以上に政策金利を引き上げる可能性があるという見解を示した。また、サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁も、政策金利がピークに達した後、約1年その水準にとどまると考えることは「合理的」と述べた。
アプタス・キャピタル・アドバイザーズのポートフォリマネジャー、デイブ・ワグナー氏は「ようやく市場が『悪いニュースは悪いニュース』と理解し始めたように感じられる。10月の底値以降、市場はFRBがうまく軟着陸できるという過ぎた楽観論を織り込み続けてきた」と指摘した。
週間では、ダウは1.66%、S&Pは2.09%、ナスダックは2.72%下落した。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場は、来年に少なくとも2回の25ベーシスポイント(bp)利上げと、年央までに約4.8%のターミナルレート(利上げの最終到達点)達成、来年末までには約4.4%への利下げを織り込んでいる。
世界の中央銀行の大半が引き締め政策を取っているため、今年の市場が「サンタクロース・ラリー」と呼ばれる年末の上昇を記録する見込みは薄くなっている。
ただ、市場は終盤に下げ幅を縮小した。株式先物やオプションなどの取引期限集中日だったことが市場の変動を高めたとみられる。
S&P500の主要11セクターは全て下落。不動産が2.96%超下落し、下げを主導した。
米メタ・プラットフォームズが2.82%上昇。JPモルガンが「ニュートラル」から「オーバーウエート」に投資判断を引き上げたことを好感した。
アドビも2.99%上昇した。第1・四半期の利益見通しが予想を上回った。
一方、自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)<GM.Nは>3.91%下落した。ロボットタクシー部門「クルーズ」が米当局の安全性調査を受けることとなった。
米取引所の合算出来高は172億8000万株。
ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を2.47対1の比率で上回った。ナスダックでも1.66対1で値下がり銘柄数が多かった。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> リスク回避ムードの拡大を背景に資金の逃避先として選好され、3日ぶりに反発 した。中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前日比12.40ドル(0.69%)高 の1オンス=1800.20ドル。ただ、週間では0.58%下落した。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 世界的なリセッション(景気後退)に伴い、エネルギー需要が減退するとの懸念が広がり、続落した。米国産標準油種WTIの中心限月1月物は前日清算値(終値に相当)比1.82ドル(2.39%)安の1バレル=74.29ドルだった。2月物は1.69ドル安の74.46ドル。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 136.69/136.72
始値 137.01
高値 137.34
安値 136.3
ユーロ/ドル NY終値 1.0582/1.0586
始値 1.0634
高値 1.0648
安値 1.0586
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 108*12.50 3.5426%
前営業日終値 109*10.00 3.4950%
10年債(指標銘柄) 17時05分 105*09.50 3.4877%
前営業日終値 105*20.00 3.4500%
5年債(指標銘柄) 17時05分 101*04.25 3.6225%
前営業日終値 101*03.75 3.6260%
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*18.75 4.1825%
前営業日終値 100*15.00 4.2470%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 32920.46 -281.76 -0.85
前営業日終値 33202.22
ナスダック総合 10705.41 -105.11 -0.97
前営業日終値 10810.53
S&P総合500種 3852.36 -43.39 -1.11
前営業日終値 3895.75
COMEX金 2月限 1800.2 +12.4
前営業日終値 1787.8
COMEX銀 3月限 2332.8 +2.3
前営業日終値 2330.5
北海ブレント 2月限 79.04 ‐2.17
前営業日終値 81.21
米WTI先物 1月限 74.29 ‐1.82
前営業日終値 76.11
CRB商品指数 271.3779 ‐3.3399
前営業日終値 274.7178