米、中国企業の監査「全面点検可能に」 上場廃止リスク回避
[ニューヨーク/香港/ワシントン 15日 ロイター] - 米上場企業会計監視委員会(PCAOB)は15日、米国に上場している中国企業の監査状況を検査するための全面的なアクセスを初めて得たと発表した。
アリババなど米株式市場に上場する中国企業約200社は、上場廃止となるリスクが回避された。
PCAOBのエリカ・ウィリアムズ委員長は「潜在的な問題を根絶し、企業に責任を持って解決させるため、完全かつ徹底的な検査・調査を行うことが史上初めて可能になった」と述べた。
米中は今年8月、米上場の中国企業の監査状況を米当局が検査することを認める協定に調印。中国は長年、国家安全保障上の懸念を理由に検査受け入れに難色を示していた。
協定ではPCAOBに対し、中国企業の未修正の監査書類を入手して中国の監査法人職員から聞き取りを行う権限や、検査対象を独自に選ぶ裁量を与えた。
投資家などの間では、米検査官が実際に合意通りのアクセスを得たかどうかPCAOBの報告に関心が集まっていた。
PCAOBは、独自の裁量でKPMGの中国法人とプライスウォーターハウスクーパース(PwC)の香港法人を検査対象に選定したと明らかにした。
ウィリアムズ委員長は、検査では「多数の潜在的な不備」が見つかったとしたものの詳細には言及せず、他地域での初検査で見られたのと同類と述べるにとどめた。
また「きょうの発表を中国・香港企業(の監査状況)に問題がないことを示すものと誤解すべきではない」とくぎを刺した。報告書は来年に公表する。
米議会は2020年、外国企業が3年連続で米国の監査基準を満たさない場合、米国の取引所から上場廃止にする法律を可決した。
PCAOBを監督する米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長は、PCAOBがこの日示した判断について、3年の順守期間がリセットされると述べた。同時に「中国当局は2023年以降もPCAOBに検査・調査の全面アクセスを付与する必要がある」とも強調した。