NY市場サマリー(13日)ドル全面安・国債利回り低下、株続伸 インフレ鈍化で
[13日 ロイター] -
<為替> ドルが全面安となった。米国のインフレ率鈍化を受け、米連邦準備理事会(FRB)が14日まで開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅を縮小する可能性があるとの期待が高まった。
米労働省が13日発表した11月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年比伸び率が7.1%と10月の7.7%から鈍化し、2021年12月以降で最小となった。
CPIの発表後、ドルは対ユーロで6カ月ぶりの安値に下落。ユーロは6月以来の高値となる1.0673ドルを付けた。終盤では0.9%高の1.0631ドルだった。
ドルは対円では一時1週間ぶりの安値となる134.67円まで下落する場面があった。終盤は1.5%安の135.55円だった。
ドル指数は0.9%安の104.02となった。
CPIはFRBが利上げ幅を50ベーシスポイント(bp)に縮小するとの市場予想を裏付けるものだった。フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込むFRBのターミナルレート(利上げの最終到達点)は、5月に4.8%に低下した。先月末時点では5.1%付近だった。
市場ではまた、2023年の最初の2回のFOMCでそれぞれ25bpの引き上げが行われ、これで打ち止めとなるとの予想が広がっている。ただ一部では、最後の引き上げが3月ではなく5月との見方もある。
ドルはまた、資源国通貨に対しても急落した。
豪ドルは1.6%上昇し、0.6850米ドル。ニュージーランドドルは1.3%高の0.6462米ドルとなった。
対カナダドルでは0.5%下落し1米ドル=1.3560カナダドル。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 国債利回りが低下。朝方発表された11月の米CPIの伸びが予想以上に鈍化したことで、FRBのインフレ抑制に向けた取り組みが効果を発揮し始め、今後はFRBの積極姿勢が弱まる可能性があるという観測が強まった。
11月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年比伸び率が7.1%と10月の7.7%から鈍化し、2021年12月以降で最小となった。伸びは2カ月連続で市場予想も下回った。
CPIの発表を受け、指標10年債利回りは約15bp低下。その後は低下幅を縮小したものの、約10bp低下の3.506%で推移した。
2年債利回りも17bp低下し4.23%。
市場では13─14日のFOMCで0.5%ポイントの利上げが実施されるという見方が大勢。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、ターミナルレートが5月に4.85%に達するという見方が織り込まれ、CPI発表前の約4.98%から低下した。
また、来年2月の会合での0.25%利上げの確率が織り込まれた。CPI発表前は、2月も今週の会合に続き0.50%の利上げが実施されると予想されていた。
インタラクティブ・ブローカーズのシニアエコノミスト、ホセ・トレス氏はCPIについて、今週は0.50%利上げ、その後2回の会合では0.25%利上げが実施され、インフレに対するタカ派姿勢が弱まるという観測を支える内容になったと指摘した。
2年債と10年債の利回り格差はマイナス72.6bp。前日はマイナス77bpだった。
また、米財務省が実施した180億ドルの29年11カ月物国債入札は、最高落札利回りが3.513%と、入札前取引(WI)を約3bp上回った。
30年債利回りは終盤、前日から約5bp低下し、3.529%。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 続伸して取引を終えた。米CPIが市場予想を下回り、FRBがインフレ抑制を目的とした利上げを近く減速させるとの期待が高まった。ただ、積極的な引き締め姿勢を維持するとの懸念もくすぶっている。
米労働省がこの日発表した11月のCPIは前年比伸び率が7.1%と10月の7.7%から鈍化し、2021年12月以降で最小となった。
これを受けてS&P総合500種は一時2.76%高と、3カ月ぶりの水準に上昇。FRBが利上げ幅を縮小し引き締めペースを落とすとの期待から、金利に敏感なS&P500グロース指数や不動産指数が約3カ月ぶり高値を付けた。
ただ、14日のFOMC声明発表を控えて株価は上げ幅を縮小した。
アルビオン・フィナンシャル・グループの最高投資責任者、ジェーソン・ウェア氏は「CPIが再び予想を下回り、鈍化が続いていることが示されたのを受けて当初買いが入ったが、その後は再評価する流れになった。パウエルFRB議長が明日、冷や水を浴びせるのではないかとの警戒感が広がった」と述べた。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 米利上げペースの減速観測を背景とした金利低下とドル下落が追い風となり、反発した。中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前日比33.20ドル(1.85%)高の1オンス=1825.50ドル。これは6月下旬以来、約半年ぶりの高値水準。
金相場は11月の米CPI発表後に一時1836.90ドルと、40ドル程度急伸。ただ、コアCPIの前年比上昇率は6.0%と、FRBが目標とする2%を引き続き大きく上回っていたため、買い一巡後は、翌14日のFOMC声明とパウエル議長の会見に関心が移り、幾分上げ幅を縮小する展開だった。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 対主要通貨でのドル下落を背景に続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月1月物は前日清算値(終値に相当)比2.22ドル(3.03%)高の1バレル=75.39ドルだった。2月物は2.16ドル高の75.44ドル。
カナダ産原油を米中西部の各製油所に輸送しているキーストーン・パイプラインが油漏れの影響で依然として稼働を停止していることも相場の支援要因となった。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY午後4時 135.64/135.65
始値 137.54
高値 137.56
安値 134.67
ユーロ/ドル NY午後4時 1.0625/1.0629
始値 1.0535
高値 1.0673
安値 1.0533
米東部時間
30年債(指標銘柄) 16時36分 108*16.50 3.5363%
前営業日終値 107*24.00 3.5760%
10年債(指標銘柄) 16時36分 105*05.00 3.5048%
前営業日終値 104*08.00 3.6110%
5年債(指標銘柄) 16時36分 101*00.75 3.6474%
前営業日終値 100*10.50 3.8020%
2年債(指標銘柄) 16時34分 100*16.75 4.2183%
前営業日終値 100*05.75 4.4030%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 34108.64 +103.60 +0.30
前営業日終値 34005.04
ナスダック総合 11256.81 +113.08 +1.01
前営業日終値 11143.74
S&P総合500種 4019.65 +29.09 +0.73
前営業日終値 3990.56
COMEX金 2月限 1825.5 +33.2
前営業日終値 1792.3
COMEX銀 3月限 2399.0 +58.7
前営業日終値 2340.3
北海ブレント 2月限 80.68 +2.69
前営業日終値 77.99
米WTI先物 1月限 75.39 +2.22
前営業日終値 73.17
CRB商品指数 275.0328 +5.6643
前営業日終値 269.3685