ランチタイムコメント
日経平均は5日ぶり大幅反発、需給主導の急伸どこまで続くか、CPIに潜むリスク
配信日時:2022/10/14 12:13
配信元:FISCO
日経平均は5日ぶり大幅反発。903.76円高の27141.18円(出来高概算6億6585万株)
で前場の取引を終えている。
13日の米株式市場でダウ平均は827.87ドル高(+2.83%)と大幅反発。9月消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったことで、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペース加速観測が強まり大幅安でスタート。ただ、コアCPIのピークアウト感が広がり長期金利が低下に転じたほか、ドル高も一段落したため買い戻しが加速して大きく上昇に転じた。ナスダック総合指数は+2.22%と大幅反発。米国株高を受けて日経平均は361.9円高で始まった。ダウ平均先物が堅調な中、寄り付きから買い戻しが先行。上海総合指数や香港ハンセン指数も大幅に上昇するなか、断続的な買い戻しが入り、前引けまで一本調子で上げ幅を広げる展開となった。
個別では、ソフトバンクG<9984>、東エレク<8035>、ソニーG<6758>の主力ハイテク株のほか、リクルートHD<6098>、エムスリー<2413>のグロース株が大幅高。伊藤忠<
8001>、丸紅<8002>の商社株も高い。ほか、HOYA<7741>、エーザイ<4523>、日立<6501>、TDK<6762>、オリンパス<7733>、NTTデータ<9613>、三菱自<7211>、大阪チタ<5726>
の上昇率が特に高い。東名<4439>、いちご<2337>は決算を受けて急伸。グッドコムアセット<3475>は増配を発表してこちらも急伸。ファーストリテ<9983>は今期見通し等が好感されて大幅高となり、日経平均をけん引。良品計画<7453>も前期上振れ着地などが好材料視された。竹内製作所<6432>は業績上方修正で買われた。一方、業績予想を下方修正した大黒天物産<2791>が急落。ビーウィズ<9216>、ホギメディカル<3593>、S FOODS<2292>は決算を材料に大きく売られた。
セクターでは精密機器、卸売、電気機器を筆頭に全面高。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の98%、対して値下がり銘柄は2%となっている。
前日に発表された米9月CPIは前年同月比+8.2%と8月(+8.3%)からは減速したものの、予想(+8.1%)を上回り、前月比では+0.4%と予想(+0.2%)を大幅に超過。さらに、FRBが重視する食品・エネルギーを除いたコア指数は前年同月比+6.6%
と8月(+6.3%)から大きく加速し、予想(+6.5%)も上回った。また、前月比の伸びは+0.6%と予想(+0.5%)を超過し、大幅な伸びとなった。CPIの3割と最大の割合を占める住居費(家賃等から構成)だけでなく、食品や医療の分野でも強い伸びが見られた。特に、食品は前月比+0.8%と2カ月連続で高い伸び率となり、前年同月比では+11.2%と著しく高い伸びとなった。
総じてネガティブな結果となったが、数値が高過ぎるが故に皮肉にもコアCPIのピークアウト感が台頭し、株式市場では売り方の買い戻しが主導する形で日米ともに大幅反発となっている。米国では、来週末21日にオプション取引に係る特別清算指数算出
(SQ)を迎える。CPIの発表前から株価指数や個別株ともに記録的な水準にまでショート(売り持ち高)が積み上がっていたことを踏まえると、米物価指標イベントを通過したあく抜け感もあり、来週末にかけては、相場は短期的には戻りを試す展開が続きそうだ。
ただ、今晩の米株式市場ではJPモルガン・チェース、モルガンスタンレー、ウェルズ・ファーゴなどの金融大手の決算を控えている。景気後退懸念が強まるなか、貸倒引当金の積み増しなどの動向が注目され、内容次第では今後本格化する7-9月期決算への警戒感が強まりかねず、早ければ週明けから相場のリバウンドは小休止する可能性もあろう。
また、CPIについてはコア指数の方ばかりが注目されているが、石油輸出国機構(OPEC)プラス会合での日量200万バレル規模の減産が決まってから、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)原油先物価格(11月物)の上昇・高止まりが続いている。現在は、1バレル=90ドル前後での推移となっているが、市場では、90ドル台半ばまで上昇すれば、CPIが再び9.0%台に乗せる可能性があるとの指摘も聞かれている。エネルギーインフレは終わったものとされ、コア指数ばかり注目されるが、今後再びCPI総合の方が警戒要素として台頭する可能性があろう。
今後、冬季シーズンを迎えるに伴い、暖房使用などを通じてエネルギー需要は一段と高まってくる。欧州では、今冬を乗り越える分の備蓄は確保できたとされているが、今冬はラニーニャ現象に伴い厳冬になる可能性もあり、予断を許さない。想定以上の厳冬となり、備蓄消費が速く進めば、仮に今冬は乗り切れたとしても、ロシアへの経済制裁が続くなか来季への警戒感が高まり、年明け以降に再びエネルギー危機が到来する可能性もあろう。
日経平均は本日前引け時点で900円を超える大幅反発。10月半ば以降は株式市場が上昇しやすいという季節要因や前述した需給要因もあり、短期的には戻りを試す展開も考えられるが、上述した背景もあり、まだ安心するには早かろう。日経平均は累積売買代金が積み上がっている27500円当たりで戻り待ちの売りが膨らみやすい点などにも注意しておきたい。
(仲村幸浩)
<AK>
で前場の取引を終えている。
13日の米株式市場でダウ平均は827.87ドル高(+2.83%)と大幅反発。9月消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったことで、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペース加速観測が強まり大幅安でスタート。ただ、コアCPIのピークアウト感が広がり長期金利が低下に転じたほか、ドル高も一段落したため買い戻しが加速して大きく上昇に転じた。ナスダック総合指数は+2.22%と大幅反発。米国株高を受けて日経平均は361.9円高で始まった。ダウ平均先物が堅調な中、寄り付きから買い戻しが先行。上海総合指数や香港ハンセン指数も大幅に上昇するなか、断続的な買い戻しが入り、前引けまで一本調子で上げ幅を広げる展開となった。
個別では、ソフトバンクG<9984>、東エレク<8035>、ソニーG<6758>の主力ハイテク株のほか、リクルートHD<6098>、エムスリー<2413>のグロース株が大幅高。伊藤忠<
8001>、丸紅<8002>の商社株も高い。ほか、HOYA<7741>、エーザイ<4523>、日立<6501>、TDK<6762>、オリンパス<7733>、NTTデータ<9613>、三菱自<7211>、大阪チタ<5726>
の上昇率が特に高い。東名<4439>、いちご<2337>は決算を受けて急伸。グッドコムアセット<3475>は増配を発表してこちらも急伸。ファーストリテ<9983>は今期見通し等が好感されて大幅高となり、日経平均をけん引。良品計画<7453>も前期上振れ着地などが好材料視された。竹内製作所<6432>は業績上方修正で買われた。一方、業績予想を下方修正した大黒天物産<2791>が急落。ビーウィズ<9216>、ホギメディカル<3593>、S FOODS<2292>は決算を材料に大きく売られた。
セクターでは精密機器、卸売、電気機器を筆頭に全面高。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の98%、対して値下がり銘柄は2%となっている。
前日に発表された米9月CPIは前年同月比+8.2%と8月(+8.3%)からは減速したものの、予想(+8.1%)を上回り、前月比では+0.4%と予想(+0.2%)を大幅に超過。さらに、FRBが重視する食品・エネルギーを除いたコア指数は前年同月比+6.6%
と8月(+6.3%)から大きく加速し、予想(+6.5%)も上回った。また、前月比の伸びは+0.6%と予想(+0.5%)を超過し、大幅な伸びとなった。CPIの3割と最大の割合を占める住居費(家賃等から構成)だけでなく、食品や医療の分野でも強い伸びが見られた。特に、食品は前月比+0.8%と2カ月連続で高い伸び率となり、前年同月比では+11.2%と著しく高い伸びとなった。
総じてネガティブな結果となったが、数値が高過ぎるが故に皮肉にもコアCPIのピークアウト感が台頭し、株式市場では売り方の買い戻しが主導する形で日米ともに大幅反発となっている。米国では、来週末21日にオプション取引に係る特別清算指数算出
(SQ)を迎える。CPIの発表前から株価指数や個別株ともに記録的な水準にまでショート(売り持ち高)が積み上がっていたことを踏まえると、米物価指標イベントを通過したあく抜け感もあり、来週末にかけては、相場は短期的には戻りを試す展開が続きそうだ。
ただ、今晩の米株式市場ではJPモルガン・チェース、モルガンスタンレー、ウェルズ・ファーゴなどの金融大手の決算を控えている。景気後退懸念が強まるなか、貸倒引当金の積み増しなどの動向が注目され、内容次第では今後本格化する7-9月期決算への警戒感が強まりかねず、早ければ週明けから相場のリバウンドは小休止する可能性もあろう。
また、CPIについてはコア指数の方ばかりが注目されているが、石油輸出国機構(OPEC)プラス会合での日量200万バレル規模の減産が決まってから、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)原油先物価格(11月物)の上昇・高止まりが続いている。現在は、1バレル=90ドル前後での推移となっているが、市場では、90ドル台半ばまで上昇すれば、CPIが再び9.0%台に乗せる可能性があるとの指摘も聞かれている。エネルギーインフレは終わったものとされ、コア指数ばかり注目されるが、今後再びCPI総合の方が警戒要素として台頭する可能性があろう。
今後、冬季シーズンを迎えるに伴い、暖房使用などを通じてエネルギー需要は一段と高まってくる。欧州では、今冬を乗り越える分の備蓄は確保できたとされているが、今冬はラニーニャ現象に伴い厳冬になる可能性もあり、予断を許さない。想定以上の厳冬となり、備蓄消費が速く進めば、仮に今冬は乗り切れたとしても、ロシアへの経済制裁が続くなか来季への警戒感が高まり、年明け以降に再びエネルギー危機が到来する可能性もあろう。
日経平均は本日前引け時点で900円を超える大幅反発。10月半ば以降は株式市場が上昇しやすいという季節要因や前述した需給要因もあり、短期的には戻りを試す展開も考えられるが、上述した背景もあり、まだ安心するには早かろう。日経平均は累積売買代金が積み上がっている27500円当たりで戻り待ちの売りが膨らみやすい点などにも注意しておきたい。
(仲村幸浩)
<AK>
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