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日米中銀会合受け円安・株安進行、ドル24年ぶり145円乗せ 長期金利は低下

配信日時:2022/09/22 14:50 配信元:REUTERS

[東京 22日 ロイター] - 日米の中央銀行の政策決定会合を受けた22日の東京市場では、金利差拡大が意識され、一時1ドル=145円台と24年ぶりのドル高円安が進行したほか、株価が2カ月ぶり安値水準に下落。長期金利の指標となる新発10年国債は、大規模緩和の継続が確認された安心感から、3日ぶりに成立した業者間取引で利回りが低下した。

日銀は21─22日開催の金融政策決定会合で、現行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)付き量的・質的金融緩和政策の継続を全員一致で決定。市場の一部が予想したフォワード・ガイダンスの修正もなかった。

これに先立ち、米連邦準備理事会(FRB、米中央銀行)は20─21日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を3会合連続で0.75ベーシスポイント(bp)引き上げ、3.00─3.25%とした。年内に同規模の追加利上げを少なくとも1回実施する可能性が示されたほか、パウエルFRB議長は記者会見で、痛みを伴ってもインフレを抑制する「強い決意」を表明した。

このうち、東京時間に最も大きく反応したのが為替だ。ドル円相場は正午前に日銀決定会合の結果が伝わった直後に24年ぶりのドル高円安水準の145.40円まで上昇、そのすぐ後には介入への警戒感から143.50円に下落するなど、わずか3分間で2円近く乱高下する荒い値動きを見せた。

午後1時半には神田真人財務官が記者団の取材に応じ、為替介入はまだやっていないが「スタンバイの状態」であるなどコメントしたが、市場の反応は限定的だった。

相場はその後落ち着きを取り戻しているが、基本的には日米の金融政策の方向性の違いを意識したドル買い/円売りが優勢で、午後2時05分現在、ドル円は144.80円付近と日銀の結果が伝わる前と比べて円安に振れている。

また、新発10年物が長期金利の指標となった1999年以来初めて、業者間取引が2日続けて成立しない異例の事態で話題を呼んだ東京円債市場では、日銀会合の結果が伝わった昼休み明けに同銘柄の取引が3営業日ぶりに成立(日本相互証券ベース) 。10年金利は午後2時05分現在で0.230%と、日銀の許容変動幅「上限」の0.25%から低下している。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美チーフ債券ストラテジストは「コロナオペの一部を来年3月末まで延長したことで、おそらくフォワードガイダンスもそこまで変えない、つまり黒田総裁の任期中は基本的に全く変えないとの印象が濃厚になった」と述べた。

一方、東京株式市場では、FOMCが想定よりタカ派との受け止めから米国株が安値引けしたことが相場の重しとなり、株価が続落。日経平均株価は前場の取引で一時、心理的節目の2万7000円を割り込む場面もあった。日銀会合結果については「政策の現状維持は想定内」(国内金融機関)との声が聞かれたが、後場の取引では下げ幅を縮小し、午後2時05分現在の日経平均は2万7100円台で推移している。

ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「FOMCでは利上げペースを緩めないことが示され、全般的にタカ派だった。米国市場の評価はまだ定まらず、今後経済統計をこなしつつ定まっていくだろう。当面、株式市場のボラティリティは高くなりそうだ」との見方を示した。

このあと午後3時半からは日銀の黒田東彦総裁が記者会見を行う。急速に進むドル高円安や、指し値オぺが国債市場の機能低下を招いているとの指摘に対する見解、さらに消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)が前年比3%まで上昇しても現行の緩和政策を維持するのか、などが注目ポイントとなる。

海外でもこの日、スイス、ノルウェー、英国の中央銀行が金融政策決定会合を開催するが、日銀以外はいずれも金融引き締め方向の決定が予想されており、金利差拡大から為替は円安に向かいやすい。このため、日本の当局によるレートチェックや円買い介入の有無に引き続き市場の関心が集まる。

(植竹知子)

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